CVE-2025-71332 Flowise 2.2.7のSQLインジェクション脆弱性解析とAI Security対策ガイド for LLM Gateway開発者

結論
- 危険度: Medium (CVSS 6.5)
- 対象: flowise <= 2.2.7
- 修正: ベンダーアドバイザリ参照
- KEV: No (NVD Critical由来。CISA KEVには未登録)
タイトルの緊急度プレフィックス(【至急】【最重大】等)の意味
| 表記 | 条件 | 意味 | 対応目安 |
|---|---|---|---|
| 【至急/ランサム悪用】 | CISA KEV登録 + ランサムウェア悪用観測 | ランサムグループが現在進行形で悪用 | 本日中に対応開始 |
| 【至急/重大】 | CISA KEV登録 + CVSS 9.0以上 | 実世界で攻撃観測あり + スコア極めて高い | 本日中に対応開始 |
| 【重大/KEV登録】 | CISA KEV登録(CVSS低またはNVD未反映) | 実世界で攻撃観測あり | 数日以内 |
| 【最重大】 | CVSS 9.5以上(KEV未登録) | 理論上の危険度ほぼ満点、攻撃観測はまだない | 1週間以内に対応計画 |
| 【重大】 | CVSS 9.0〜9.4(KEV未登録) | Critical帯の理論的高リスク | 1〜2週間以内 |
| 【高】 | CVSS 7.0〜8.9(KEV未登録) | High帯のリスク | 計画的に対応 |
| (プレフィックスなし) | CVSS 7.0未満 | Medium以下のリスク | 通常メンテで対応 |
「至急」と「最重大」の違い: 「至急」は CISA(米国政府機関)が 実際に悪用を観測した CVEに付与されます。「最重大」は CVSS スコア上は最高峰だが、まだ悪用観測がない ものです。同じCVSS 9.8でもKEV登録の有無で扱いが変わります。
最終更新: 2026-06-24 | 本記事は公式情報をもとに作成しています。最新情報はベンダー公式アドバイザリを必ずご確認ください。
| STEP | やること | かかる目安 |
|---|---|---|
| STEP 1 | 何が起きているか理解する | 3分 |
| STEP 2 | 急ぎ対応すべきか判断する | 3分 |
| STEP 3 | 自分の環境が対象か確認する | 5分 |
| STEP 4 | 修正を適用する | 環境による |
| STEP 5 | 修正されたことを確認する | 3分 |
STEP 1: 何が起きているか
一言でいうと
CVE-2025-71332はFlowise 2.2.7以下のバージョンで発生するSQLインジェクション脆弱性です。認証済みユーザーがAPIに悪意あるデータを送り、不正にデータベースを操作できます。これはLLMプロキシやAI Gatewayを運用するエンジニアにとって最優先で対応すべき問題です。
やさしく説明すると
例えると、鍵付きのドアのシステムに「特定のドア番号の入力に不具合があり、本人以外でも合鍵なしにドアを開けられる」状態です。FlowiseのimportChatflows機能で送るデータの検証が不十分なため、悪意のある利用者が巧妙に細工したファイルでデータベースの秘密情報を盗み出すことができます。
技術的な原因
この問題はSQLインジェクション(CWE-89)に分類されます。SQLインジェクションとは、データベース操作命令を不正に挿入される攻撃です。FlowiseのimportChatflows APIは、chatflow.id の値を適切に検証・無害化せず、SQLのIN句に直接挿入しています。つまり不正なSQL文が実行可能となり、データベースの機密情報を盗み出されたり改ざんされたりします。
影響を受けると何が困るか
- 認証ユーザーが、APIキーや管理用クレデンシャル情報を含むデータベースから機密情報を抜き取れる。
- LLMプロンプトやエージェントの動作に関わる情報改ざんによる、悪意ある動作誘導リスク。
- テナント間やユーザーデータ間の情報漏洩。
- AI GatewayやLLM Proxyの運用を妨げる障害発生リスク。
- CursorやCline、CopilotなどのAI駆動開発ツールに拡大すると、ローカルファイルからの情報漏洩や開発環境侵害の危険がある。
もっと詳しく調べたい人へ — 公式情報源マップ
本記事は以下の公式・準公式の情報源から内容を集約しています。一次情報を確認したい場合や英語で詳細を読みたい場合は、各リンクから直接アクセスできます。
| カテゴリ | 情報源 | 言語 | 何が分かるか | リンク |
|---|---|---|---|---|
| 総合 | NVD(米国 NIST) | 英 | 米国政府の脆弱性データベース。CVSSスコア、影響を受けるCPE、参考リンクの総合ハブ。最も網羅的。 | 開く |
| 総合 | MITRE CVE | 英 | CVE採番機関の公式記録。CVE記述の「正本」。NVDより記載が簡潔だが一次情報。 | 開く |
| 総合 | JVN iPedia(JPCERT/CC・IPA) | 日 | 日本のCSIRTが運用する脆弱性対策情報データベース。日本語で概要・対策が読める。掲載がない場合あり。 | 開く |
| 総合 | CISA KEV(悪用観測カタログ) | 英 | 米国CISAが実際に悪用を確認している脆弱性のカタログ。掲載されていれば最優先で対応。 | 開く |
| 総合 | GitHub Advisory Database | 英 | OSSパッケージ(npm/pypi/maven/composer/go等)別の脆弱性アドバイザリ。修正PRへのリンクが豊富。 | 開く |
| 総合 | OpenCVE | 英 | 複数CVEデータベースの集約検索サービス。タイムラインや関連CVEの俯瞰に有用。 | 開く |
| Linux | Red Hat CVE | 英 | Red Hat製品(RHEL/CentOS Stream/Rocky/AlmaLinux系)の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| Linux | Ubuntu Security | 英 | Ubuntu の影響評価。各Ubuntuバージョン(22.04/24.04等)でのパッチ提供状況が一目で分かる。 | 開く |
| Linux | Debian Security Tracker | 英 | Debian の影響評価。stable/testing/sid別のパッチ状況。Debian派生ディスト利用者向け。 | 開く |
| Linux | SUSE CVE | 英 | SUSE Linux Enterprise / openSUSE の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| 悪用 | Exploit Database | 英 | 公開エクスプロイトのアーカイブ。検出ツールやペネトレーションテストでの参照用。 | 開く |
| 悪用 | Packet Storm Security | 英 | セキュリティアドバイザリ・エクスプロイトの集約サイト。古めの情報も含む。 | 開く |
| 悪用 | GitHub PoC 検索 | 英 | GitHubコード検索でCVE IDを直接検索。野良PoCの早期発見に。 | 開く |
| 悪用 | X(Twitter)検索 | 日英 | 直近の議論やニュースを観測。In-the-wild悪用の早期検知に有用。 | 開く |
| スキャナ | Snyk Vulnerability DB | 英 | パッケージ別の脆弱性詳細と修正バージョン。OSS依存ライブラリ追跡に有用。 | 開く |
| スキャナ | Tenable(Nessus) | 英 | Nessusスキャナでの検出プラグイン情報。検出ロジックの参考に。 | 開く |
| スキャナ | Rapid7(Metasploit/Nexpose) | 英 | Metasploit悪用モジュール、Nexposeでの検出情報。 | 開く |
掲載しているのは無料でアクセスできる情報源のみです。CVEによっては掲載がないサイトもあります(特にJVN iPediaは日本国内で報告された脆弱性のみ掲載)。
STEP 2: 急ぎ対応すべきか判断する
結論: 中
判断根拠
- CVSS v3.1スコアは6.5(Medium)です。ネットワーク経由での攻撃が可能ですが、高い権限の認証ユーザーが必要です。
- EPSSスコアは提供されていません。つまり直近30日間に確認された悪用予測は不明です。
- ランサムウェアによる悪用は現状「Unknown(不明)」で、実際の攻撃観測はありません。
- 公開されたPoC(攻撃証明)コードは存在せず、GitHub Advisory Databaseの報告も詳細な攻撃パターンは公開されていません。
- 攻撃にネットワーク到達性はありますが、高権限認証が必須です。ユーザ操作は不要です。
誰が動くべきか
- FlowiseをLLM GatewayやAgenticフレームワークとして利用している開発・運用チーム
- Chatflowの管理APIを使うSREやSecOpsチーム
- AI駆動開発でFlowiseを利用中のバイブコーダー開発者(Cursor、Cline、Copilot連携者等)
STEP 3: 自分の環境が対象か確認する
影響を受けるバージョン
| 製品 | 脆弱なバージョン範囲 | 修正版 |
|---|---|---|
| flowise | 2.2.7 以下(<= 2.2.7) | ベンダーアドバイザリ参照(未公開) |
バージョン確認コマンド
Node.js (npm)
npm list flowise
出力例:
flowise@2.2.7
└── (empty)
判定: 出力に 2.2.7 以下のバージョンがあれば脆弱。 2.2.8 以上なら安全。
設定確認
importChatflows APIのchatflow.id値に対する入力検証が不足しています。設定依存の脆弱性ではなく、バージョンが脆弱な範囲内なら攻撃可能です。
Nucleiテンプレートでの検出
公開されたNucleiテンプレートはありません。検出はバージョン確認による方法が推奨されます。
STEP 4: 修正を適用する
パッチ適用
Node.js (npm)
npm install flowise@latest
判定: バージョンが 2.2.8 以上に更新されれば問題解決。
注意: アップグレード前に必ずバックアップを取得し、ステージング環境で動作検証を行ってください。本番環境のダウンタイム計画も検討しましょう。
パッチ即時適用ができない場合の暫定対応
現時点で公式の暫定対応策は提示されていません。不要なユーザーの権限削減やAPIへのアクセス制御強化を検討してください。
STEP 5: 修正されたことを確認する
STEP 3 で実行したバージョン確認コマンドを再度実行してください。
期待される出力
Node.js (npm)
npm list flowise
出力例:
flowise@2.2.8
└── (empty)
判定: バージョンが 2.2.8 以上ならOK
追加で確認すべきこと
公開Nucleiテンプレートがないため、通常のログ監視で不審なimportChatflows API呼び出しがないかをモニタリングしてください。
補足: 悪用観測状況
CVE-2025-71332に関し、現時点ではランサムウェア等による悪用報告はありません。GitHub関連や各種エクスプロイトデータベースに公開PoCも確認されていません。攻撃の複雑度は低いものの、高権限認証が要件となるため悪用は限定的と考えられます。
補足: CVSSメトリクス詳細
- AV (Attack Vector, 攻撃元): NETWORK(リモート攻撃可能)
- AC (Attack Complexity, 攻撃複雑度): LOW(攻撃手順は単純)
- PR (Privileges Required, 必要権限): HIGH(高度な認証権限が必要)
- UI (User Interaction, ユーザ操作): NONE(攻撃にユーザ操作は不要)
- S (Scope, 攻撃範囲): UNCHANGED(攻撃範囲はAPIの範囲内)
- C (Confidentiality, 機密性): HIGH(データ漏洩の可能性大)
- I (Integrity, 完全性): HIGH(データ改ざんの可能性大)
- A (Availability, 可用性): NONE(サービス停止影響なし)
よくある質問(FAQ)
Q. このCVEに対応するために最低限すべきことは何ですか?
A. STEP 3で自環境のFlowiseバージョン確認を行い、脆弱バージョンならSTEP 4で最新版にアップグレードしてください。
Q. パッチが適用できない場合、どうすればよいですか?
A. 権限管理を強化し、importChatflows APIへのアクセスを制限してください。公式の暫定対応は未提示です。
Q. 既に攻撃を受けているか確認する方法はありますか?
A. FlowiseのAPIアクセスログに不審なファイルインポートや多数の認証済みアクセスがないか監査してください。GitHub等にPoCは現在ありません。
Q. なぜEPSSスコアが重要なのですか?
A. CVSSスコアは脆弱性の深刻度を示しますが、EPSSは実際に攻撃に使われる可能性を示す指標です。両方を参考に対応優先度を決めましょう。
Q. このCVEと類似の脆弱性は他にもありますか?
A. SQLインジェクション(CWE-89)はAI/LLM周辺で繰り返し発生しているカテゴリです。他の製品でもAPI入力検証の不備に注意しましょう。
参考文献
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