【最重大】CVE-2026-42235 n8nにおけるOAuth認証バイパスによるXSS脆弱性とAIワークフロー運用者向け対策手順

結論
- 危険度: Critical (CVSS 9.6)
- 対象: n8n < 1.123.32 / n8n >= 2.18.0, < 2.18.1 / n8n >= 2.17.0, < 2.17.4
- 修正: 1.123.32 / 2.18.1 / 2.17.4
- KEV: No (NVD Critical由来。CISA KEVには未登録)
タイトルの緊急度プレフィックス(【至急】【最重大】等)の意味
| 表記 | 条件 | 意味 | 対応目安 |
|---|---|---|---|
| 【至急/ランサム悪用】 | CISA KEV登録 + ランサムウェア悪用観測 | ランサムグループが現在進行形で悪用 | 本日中に対応開始 |
| 【至急/重大】 | CISA KEV登録 + CVSS 9.0以上 | 実世界で攻撃観測あり + スコア極めて高い | 本日中に対応開始 |
| 【重大/KEV登録】 | CISA KEV登録(CVSS低またはNVD未反映) | 実世界で攻撃観測あり | 数日以内 |
| 【最重大】 | CVSS 9.5以上(KEV未登録) | 理論上の危険度ほぼ満点、攻撃観測はまだない | 1週間以内に対応計画 |
| 【重大】 | CVSS 9.0〜9.4(KEV未登録) | Critical帯の理論的高リスク | 1〜2週間以内 |
| 【高】 | CVSS 7.0〜8.9(KEV未登録) | High帯のリスク | 計画的に対応 |
| (プレフィックスなし) | CVSS 7.0未満 | Medium以下のリスク | 通常メンテで対応 |
「至急」と「最重大」の違い: 「至急」は CISA(米国政府機関)が 実際に悪用を観測した CVEに付与されます。「最重大」は CVSS スコア上は最高峰だが、まだ悪用観測がない ものです。同じCVSS 9.8でもKEV登録の有無で扱いが変わります。
最終更新: 2026-05-11 | 本記事は公式情報をもとに作成しています。最新情報はベンダー公式アドバイザリを必ずご確認ください。
| STEP | やること | かかる目安 |
|---|---|---|
| STEP 1 | 何が起きているか理解する | 5分 |
| STEP 2 | 急ぎ対応すべきか判断する | 3分 |
| STEP 3 | 自分の環境が対象か確認する | 3〜10分(環境依存) |
| STEP 4 | 修正を適用する | 10分〜(運用体制に依存) |
| STEP 5 | 修正されたことを確認する | 3分 |
STEP 1: 何が起きているか
一言でいうと
n8nの古いバージョンに、悪意のあるOAuthクライアント登録で攻撃可能な脆弱性があります。
やさしく説明すると
例えると、玄関に合鍵を持たない第三者が勝手に合鍵を作るようなものです。正規ユーザーが OAuth の承認をした後、別のユーザーがその承認を取り消すと、画面に悪意のある仕掛け(JavaScript)が出ます。ユーザーがこの仕掛けをクリックすると、攻撃者はユーザーの認証情報やセッションを盗み、操作権限を乗っ取れます。つまり、不正アクセスでワークフローを改ざんされたり、機密情報を盗まれる恐れがあります。
技術的な原因
本脆弱性はクロスサイトスクリプティング(XSS: Cross-Site Scripting、コードが別のユーザーのブラウザで実行される攻撃)に分類されます。具体的には、CWE-79(適切でない入力検証)が根拠です。またCWE-87(不正な権限管理)が関係し、攻撃によって権限昇格やセッションの奪取が可能です。この脆弱性は、n8nがOAuthクライアントの名前を適切に検証・無害化(サニタイズ)しなかったことが原因です。
影響を受けると何が困るか
- ユーザーのセッション情報や認証トークンの漏洩(OpenAIやAnthropicなどAI APIキーの窃取リスク)
- 悪意あるワークフローの挿入や改ざんでAI/LLM処理の挙動を変える
- エージェントやAI Gatewayの乗っ取りによる更なる横展開
- 複数テナント情報の漏洩や混在(マルチユーザー環境での情報漏洩)
- バイブコーダー(Cursor、Cline、Copilotなど)を使ったAI駆動開発での認証情報漏洩
- ブラウザ経由でn8nを操作する管理コンソールの権限昇格
もっと詳しく調べたい人へ — 公式情報源マップ
本記事は以下の公式・準公式の情報源から内容を集約しています。一次情報を確認したい場合や英語で詳細を読みたい場合は、各リンクから直接アクセスできます。
| カテゴリ | 情報源 | 言語 | 何が分かるか | リンク |
|---|---|---|---|---|
| 総合 | NVD(米国 NIST) | 英 | 米国政府の脆弱性データベース。CVSSスコア、影響を受けるCPE、参考リンクの総合ハブ。最も網羅的。 | 開く |
| 総合 | MITRE CVE | 英 | CVE採番機関の公式記録。CVE記述の「正本」。NVDより記載が簡潔だが一次情報。 | 開く |
| 総合 | JVN iPedia(JPCERT/CC・IPA) | 日 | 日本のCSIRTが運用する脆弱性対策情報データベース。日本語で概要・対策が読める。掲載がない場合あり。 | 開く |
| 総合 | CISA KEV(悪用観測カタログ) | 英 | 米国CISAが実際に悪用を確認している脆弱性のカタログ。掲載されていれば最優先で対応。 | 開く |
| 総合 | GitHub Advisory Database | 英 | OSSパッケージ(npm/pypi/maven/composer/go等)別の脆弱性アドバイザリ。修正PRへのリンクが豊富。 | 開く |
| 総合 | OpenCVE | 英 | 複数CVEデータベースの集約検索サービス。タイムラインや関連CVEの俯瞰に有用。 | 開く |
| Linux | Red Hat CVE | 英 | Red Hat製品(RHEL/CentOS Stream/Rocky/AlmaLinux系)の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| Linux | Ubuntu Security | 英 | Ubuntu の影響評価。各Ubuntuバージョン(22.04/24.04等)でのパッチ提供状況が一目で分かる。 | 開く |
| Linux | Debian Security Tracker | 英 | Debian の影響評価。stable/testing/sid別のパッチ状況。Debian派生ディストリ利用者向け。 | 開く |
| Linux | SUSE CVE | 英 | SUSE Linux Enterprise / openSUSE の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| 悪用 | Exploit Database | 英 | 公開エクスプロイトのアーカイブ。検出ツールやペネトレーションテストでの参照用。 | 開く |
| 悪用 | Packet Storm Security | 英 | セキュリティアドバイザリ・エクスプロイトの集約サイト。古めの情報も含む。 | 開く |
| 悪用 | GitHub PoC 検索 | 英 | GitHubコード検索でCVE IDを直接検索。野良PoCの早期発見に。 | 開く |
| 悪用 | X(Twitter)検索 | 日英 | 直近の議論やニュースを観測。In-the-wild悪用の早期検知に有用。 | 開く |
| スキャナ | Snyk Vulnerability DB | 英 | パッケージ別の脆弱性詳細と修正バージョン。OSS依存ライブラリ追跡に有用。 | 開く |
| スキャナ | Tenable(Nessus) | 英 | Nessusスキャナでの検出プラグイン情報。検出ロジックの参考に。 | 開く |
| スキャナ | Rapid7(Metasploit/Nexpose) | 英 | Metasploit悪用モジュール、Nexposeでの検出情報。 | 開く |
掲載しているのは無料でアクセスできる情報源のみです。CVEによっては掲載がないサイトもあります(特にJVN iPediaは日本国内で報告された脆弱性のみ掲載)。
STEP 2: 急ぎ対応すべきか判断する
結論: 【最重大】
判断根拠
- CVSS v3.1スコアは9.6(Critical)で、理論上非常に高リスク。n8nのワークフロー制御に重要な権限を奪われる可能性あり。
- EPSSスコアは0.08% (パーセンタイル23.3%)で、直近30日間の実際の悪用予測は低いが、警戒は必要。
- ランサムウェア悪用情報は現在「未確認」であり、観測はされていない。
- 公開PoCは現時点でGitHub上に存在しないが、脆弱性の性質上悪用は容易とされる。
- 攻撃条件はネットワーク越しに可能で、認証不要。ただしユーザ操作(OAuth承認後の通知クリック)が必要。
- デフォルト設定でも脆弱。特にOAuth利用をしているn8n環境は無条件に対象。
誰が動くべきか
- n8nを本番で運用・開発しているAI/LLMアプリケーションのエンジニア・SREチーム
- ワークフロー自動化基盤をAI GatewayやAgentフレームワークの一環で使用しているチーム
- バイブコーダー(Cursor、Cline、Copilot、Aider、Claude Code等)を活用し、AI駆動開発を行う開発者
- n8nのMCP OAuth機能を有効にしているセキュリティ担当および運用担当者
STEP 3: 自分の環境が対象か確認する
影響を受けるバージョン
| 製品 | 脆弱なバージョン範囲 | 修正版 |
|---|---|---|
| n8n | < 1.123.32 | 1.123.32 |
| n8n | >= 2.17.0 & < 2.17.4 | 2.17.4 |
| n8n | 2.18.0 | 2.18.1 |
バージョン確認コマンド
Python (pip)
pip show n8n
出力例:
Name: n8n
Version: 1.120.0
Summary: Workflow automation platform
...
判定: Version が 1.123.32未満 または 2.17.0〜2.17.3、2.18.0の場合は脆弱。1.123.32、2.17.4、2.18.1以上なら安全。
Node.js (npm)
npm list n8n
出力例:
+-- n8n@2.17.3
...
判定: バージョン番号が 2.17.4未満 または 2.18.0なら脆弱。それ以外は安全。
設定確認
本脆弱性は特定のOAuth登録機能(MCP OAuth client registration)に起因しますが、設定に依存しません。つまり、脆弱なバージョンを使っていれば脆弱です。設定で無効化できる場合は、暫定対応としてSTEP4に記載します。
Nucleiテンプレートでの検出
現時点で本CVE向けの公開Nucleiテンプレートは存在しません。バージョン確認で判定してください。
STEP 4: 修正を適用する
パッチ適用
Python (pip)
pip install --upgrade n8n
出力例:
Successfully installed n8n-2.18.1
...
判定: バージョンが 1.123.32 以上、または 2.17.4、2.18.1 なら修正済み。
Node.js (npm)
npm install n8n@latest
出力例:
+ n8n@2.18.1
added 24 packages, and audited 120 packages in 10s
...
判定: バージョンが 2.17.4 以上、または 2.18.1 なら修正済み。
注意: パッチ適用前に必ず環境のバックアップを取得してください。ステージング環境で動作確認を行い、本番環境でのダウンタイム計画を立てて対応しましょう。
パッチ即時適用ができない場合の暫定対応
- n8nインスタンスへのアクセス制限を行い、信頼できるユーザーのみに限定する
- MCP OAuth登録機能を使用していない場合は、該当機能を無効化する(MCPサーバ機能の停止)
公式からはこれらの暫定対応だけが提示されています。完全な防御には必ずアップグレードが必要です。
STEP 5: 修正されたことを確認する
STEP 3のバージョン確認コマンドを再度実行してください。
期待される出力
Python (pip)
pip show n8n
出力例:
Name: n8n
Version: 1.123.32
Summary: Workflow automation platform
...
判定: バージョンが 1.123.32 以上、または 2.17.4、2.18.1 以上ならOK。
Node.js (npm)
npm list n8n
出力例:
+-- n8n@2.18.1
...
判定: バージョンが 2.17.4 または 2.18.1 以上ならOK。
追加で確認すべきこと
- アクセスログに異常なOAuthクライアント登録や不審な操作がないかを確認する
- パッチ適用後、暫定対応した設定(アクセス制限・無効化)が解除されているかを確認する
補足: 悪用観測状況
2026年5月時点で、CVE-2026-42235についてはランサムウェアグループによる悪用は報告されていません。GitHub上の公的PoCも公開されていません。現状は悪用例は限定的と考えられますが、高リスクかつ認証不要の脆弱性のため、急ぎのパッチ適用を推奨します。
補足: CVSSメトリクス詳細
- AV (Attack Vector/攻撃元): NETWORK(ネットワーク経由で攻撃可能)
- AC (Attack Complexity/攻撃複雑度): LOW(攻撃の手順は簡単)
- PR (Privileges Required/必要権限): NONE(認証不要)
- UI (User Interaction/ユーザ操作): REQUIRED(被害ユーザーの操作が必要)
- S (Scope/影響範囲の変更): CHANGED(システム全体に影響が及ぶ)
- C (Confidentiality/機密性影響): HIGH(機密性が大きく損なわれる)
- I (Integrity/完全性影響): HIGH(情報改ざんが起きる)
- A (Availability/可用性影響): HIGH(システムの稼働に影響する)
よくある質問(FAQ)
Q. このCVEに対応するために最低限すべきことは何ですか?
A. 脆弱なバージョンの確認(STEP3)、修正済みバージョンへのアップデート(STEP4)、アップデート後の再確認(STEP5)を必ず実施してください。
Q. パッチが適用できない場合、どうすればよいですか?
A. アクセス制限やMCP OAuth機能の無効化などの暫定対応を直ちに行い、リスクを低減してください。これはSTEP4の暫定対応に記載しています。
Q. 既に攻撃を受けているか確認する方法はありますか?
A. ログに不審なOAuthクライアント登録や、予期しないワークフロー変更、不正なユーザー操作ログがないかを監視してください。ベンダーのIOC公開はありません。
Q. なぜEPSSスコアが重要なのですか?
A. CVSSは理論的な脆弱性の危険度を示し、EPSSは「実際に悪用される確率」を示します。どちらもみることで対応優先度をより精密に判断できます。
Q. このCVEと類似の脆弱性は他にもありますか?
A. CWE-79(XSS)やCWE-87(権限昇格)に分類される脆弱性は他にも多く存在します。n8n以外のOAuthやウェブUIでのXSSが同様の問題を起こすことがあります。
