CVE-2026-69251 Flowiseにおけるコードインジェクション脆弱性とAI Security対策ガイド for LLMエンジニア

結論
- 危険度: 情報なし
- 対象: flowise <= 3.1.2 / flowise-components <= 3.1.2
- 修正: 3.1.3
- KEV: No (NVD Critical由来。CISA KEVには未登録)
タイトルの緊急度プレフィックス(【至急】【最重大】等)の意味
| 表記 | 条件 | 意味 | 対応目安 |
|---|---|---|---|
| 【至急/ランサム悪用】 | CISA KEV登録 + ランサムウェア悪用観測 | ランサムグループが現在進行形で悪用 | 本日中に対応開始 |
| 【至急/重大】 | CISA KEV登録 + CVSS 9.0以上 | 実世界で攻撃観測あり + スコア極めて高い | 本日中に対応開始 |
| 【重大/KEV登録】 | CISA KEV登録(CVSS低またはNVD未反映) | 実世界で攻撃観測あり | 数日以内 |
| 【最重大】 | CVSS 9.5以上(KEV未登録) | 理論上の危険度ほぼ満点、攻撃観測はまだない | 1週間以内に対応計画 |
| 【重大】 | CVSS 9.0〜9.4(KEV未登録) | Critical帯の理論的高リスク | 1〜2週間以内 |
| 【高】 | CVSS 7.0〜8.9(KEV未登録) | High帯のリスク | 計画的に対応 |
| (プレフィックスなし) | CVSS 7.0未満 | Medium以下のリスク | 通常メンテで対応 |
「至急」と「最重大」の違い: 「至急」は CISA(米国政府機関)が 実際に悪用を観測した CVEに付与されます。「最重大」は CVSS スコア上は最高峰だが、まだ悪用観測がない ものです。同じCVSS 9.8でもKEV登録の有無で扱いが変わります。
最終更新: 2026-08-04 | 本記事は公式情報をもとに作成しています。最新情報はベンダー公式アドバイザリを必ずご確認ください。
| STEP | やること | かかる目安 |
|---|---|---|
| STEP 1 | 何が起きているか理解する | 5分 |
| STEP 2 | 急ぎ対応すべきか判断する | 3分 |
| STEP 3 | 自分の環境が対象か確認する | 5分〜 |
| STEP 4 | 修正を適用する | 環境による |
| STEP 5 | 修正されたことを確認する | 3分 |
STEP 1: 何が起きているか
一言でいうと
CVE-2026-69251はFlowiseというLLM(大規模言語モデル)フロー作成ツールの脆弱性で、認証済みユーザーが任意のJavaScriptコードをサーバー上で実行できます。これはFlowiseを運用するAI GatewayやAgent開発者にとって重大なリスクです。
やさしく説明すると
この脆弱性は、Flowiseの設定で特別なオプションを使い、サーバーが実は知らない間に危険なコードを動かしてしまう問題です。例えると、家の玄関の合鍵を持った人が、自分で勝手に家の中に怪しい装置を置き、その装置が自由に働けるように鍵の設定を変えられるイメージです。開発者や運用者は知らないうちに、悪意あるコードがシステムで実行される可能性があるのです。
技術的な原因
問題の根本は「TypeORM DataSource」というデータベース接続設定をFlowiseが動的に読み込む仕組みにあります。TypeORM(タイプORM)はNode.js用のORM(オブジェクト関係マッピング)ライブラリです。この中の「entities(エンティティ)」や「subscribers(サブスクライバー)」、および「migrations(マイグレーション)」設定でローカルのJavaScriptファイルを読み込めます。悪意あるユーザーは、この機能を悪用しサーバー上で任意コード実行(RCE:リモートコード実行)できます。CWE-94(不適切なコードの評価)が脆弱性の分類です。
影響を受けると何が困るか
- サーバー上で任意のコードを実行され、管理APIやバックエンドが乗っ取られる
- LLMコンテキストや顧客データが不正に読み取られ漏洩する
- 開発用エージェント(Agentフレームワーク)を制御され、自動化処理の改ざんや悪用が起きる
- Flowiseと連携するAPIキー(OpenAIやAnthropicなど)が盗まれ、外部で悪用される
- AI駆動開発環境やAIコーディングツール(Cursor、Cline、Copilotなど)での情報漏洩やコード改ざんリスク
- 悪意のあるJavaScriptコードでインフラ全体への横展開、または請求コストの急増
もっと詳しく調べたい人へ — 公式情報源マップ
本記事は以下の公式・準公式の情報源から内容を集約しています。一次情報を確認したい場合や英語で詳細を読みたい場合は、各リンクから直接アクセスできます。
| カテゴリ | 情報源 | 言語 | 何が分かるか | リンク |
|---|---|---|---|---|
| 総合 | NVD(米国 NIST) | 英 | 米国政府の脆弱性データベース。CVSSスコア、影響を受けるCPE、参考リンクの総合ハブ。最も網羅的。 | 開く |
| 総合 | MITRE CVE | 英 | CVE採番機関の公式記録。CVE記述の「正本」。NVDより記載が簡潔だが一次情報。 | 開く |
| 総合 | JVN iPedia(JPCERT/CC・IPA) | 日 | 日本のCSIRTが運用する脆弱性対策情報データベース。日本語で概要・対策が読める。掲載がない場合あり。 | 開く |
| 総合 | CISA KEV(悪用観測カタログ) | 英 | 米国CISAが実際に悪用を確認している脆弱性のカタログ。掲載されていれば最優先で対応。 | 開く |
| 総合 | GitHub Advisory Database | 英 | OSSパッケージ(npm/pypi/maven/composer/go等)別の脆弱性アドバイザリ。修正PRへのリンクが豊富。 | 開く |
| 総合 | OpenCVE | 英 | 複数CVEデータベースの集約検索サービス。タイムラインや関連CVEの俯瞰に有用。 | 開く |
| Linux | Red Hat CVE | 英 | Red Hat製品(RHEL/CentOS Stream/Rocky/AlmaLinux系)の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| Linux | Ubuntu Security | 英 | Ubuntu の影響評価。各Ubuntuバージョン(22.04/24.04等)でのパッチ提供状況が一目で分かる。 | 開く |
| Linux | Debian Security Tracker | 英 | Debian の影響評価。stable/testing/sid別のパッチ状況。Debian派生ディスト利用者向け。 | 開く |
| Linux | SUSE CVE | 英 | SUSE Linux Enterprise / openSUSE の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| 悪用 | Exploit Database | 英 | 公開エクスプロイトのアーカイブ。検出ツールやペネトレーションテストでの参照用。 | 開く |
| 悪用 | Packet Storm Security | 英 | セキュリティアドバイザリ・エクスプロイトの集約サイト。古めの情報も含む。 | 開く |
| 悪用 | GitHub PoC 検索 | 英 | GitHubコード検索でCVE IDを直接検索。野良PoCの早期発見に。 | 開く |
| 悪用 | X(Twitter)検索 | 日英 | 直近の議論やニュースを観測。In-the-wild悪用の早期検知に有用。 | 開く |
| スキャナ | Snyk Vulnerability DB | 英 | パッケージ別の脆弱性詳細と修正バージョン。OSS依存ライブラリ追跡に有用。 | 開く |
| スキャナ | Tenable(Nessus) | 英 | Nessusスキャナでの検出プラグイン情報。検出ロジックの参考に。 | 開く |
| スキャナ | Rapid7(Metasploit/Nexpose) | 英 | Metasploit悪用モジュール、Nexposeでの検出情報。 | 開く |
掲載しているのは無料でアクセスできる情報源のみです。CVEによっては掲載がないサイトもあります(特にJVN iPediaは日本国内で報告された脆弱性のみ掲載)。
STEP 2: 急ぎ対応すべきか判断する
結論: 高
判断根拠
- CVSSスコアは未公開だが、GitHub Advisory DatabaseでCritical(最高クラス)に分類されている
- 悪用観測は現時点で報告されていない(PoC公開もゼロ)
- EPSS(悪用予測確率)スコア情報は無し
- 攻撃には認証済みユーザー権限が必要だが、認証ユーザーがコードをアップロードして実行可能であるため実務的なリスクが高い
- FlowiseはAI GatewayやAgenticシステムの構築等に使われることが多く、LLM運用者には影響が大きい
誰が動くべきか
- Flowiseを利用してLLMフローを構築・運用している開発者・運用者
- Agent フレームワークをFlowise上で組み込んでいるチーム(LangChain等連携含む)
- AI Gateway や LLM Proxy を運用するSRE/SecOpsチーム
- バイブコーダー開発者でCursorやClineなどを使い、Flowise連携モジュールを組み込む人
STEP 3: 自分の環境が対象か確認する
影響を受けるバージョン
| 製品 | 脆弱なバージョン範囲 | 修正版 |
|---|---|---|
| flowise (npmパッケージ) | ~3.1.2 | 3.1.3 |
| flowise-components (npmパッケージ) | ~3.1.2 | 3.1.3 |
バージョン確認コマンド
Node.js/npm 環境
npm list flowise
出力例:
flowise@3.1.2
└─ flowise-components@3.1.2
判定: 3.1.2 以下なら脆弱。3.1.3 以上なら安全。
Node.js/pnpm 環境
pnpm list flowise
出力例:
flowise@3.1.2
flowise-components@3.1.2
判定: 3.1.2 以下なら脆弱。3.1.3 以上なら安全。
設定確認
本脆弱性はTypeORM DataSourceのオプションを任意に設定できることに起因します。設定依存ではなく、バージョン3.1.2以下であれば脆弱です。特別な設定確認は不要です。
Nucleiテンプレートでの検出
公開されているNucleiテンプレートは見つかっていません。検出はバージョン確認により実施してください。
STEP 4: 修正を適用する
パッチ適用
Node.js/npm
npm install flowise@3.1.3 flowise-components@3.1.3
出力例:
(npm ci / install の成功メッセージ)
判定: エラーなく 3.1.3 以上にアップグレードできれば完了。
Node.js/pnpm
pnpm update flowise@3.1.3 flowise-components@3.1.3
出力例:
(pnpm update の成功メッセージ)
判定: エラーなく 3.1.3 以上にアップデートできれば完了。
注意: パッチ適用前に必ずバックアップを取得し、ステージング環境で動作検証してください。ダウンタイム計画も場合に応じて検討しましょう。
パッチ即時適用ができない場合の暫定対応
Flowise公式からは暫定的な対策は特に提示されていません。可能なら該当機能の利用停止や認証強化で影響範囲を限定してください。
STEP 5: 修正されたことを確認する
STEP 3で実行したバージョン確認コマンドを再度実行してください。
期待される出力
Node.js/npm 環境
npm list flowise
出力例:
flowise@3.1.3
└─ flowise-components@3.1.3
判定: バージョンが 3.1.3 以上ならOK。
Node.js/pnpm 環境
pnpm list flowise
出力例:
flowise@3.1.3
flowise-components@3.1.3
判定: バージョンが 3.1.3 以上ならOK。
追加で確認すべきこと
ログに不審なアクセスや実行コードの痕跡がないかチェックしてください。また公開Nucleiテンプレートは現時点でありませんが、今後リリースされる可能性があるため定期的に確認してください。
補足: 悪用観測状況
現時点でCISA KEVカタログには登録されておらず、ランサムウェアグループによる悪用は確認されていません。公開されたPoCもなく、悪用は今のところ報告されていません。
補足: CVSSメトリクス詳細
- AV (Attack Vector, 攻撃経路): NVD未掲載のため詳細不明
- AC (Attack Complexity, 攻撃の複雑さ): 認証済みユーザー権限が前提
- PR (Privileges Required, 必要な権限): 認証ユーザー
- UI (User Interaction, ユーザ操作): なし(操作は認証ユーザーから可能)
- S (Scope, スコープ): サーバーの権限まで影響が及ぶ
- C (Confidentiality, 機密性への影響): 高(顧客データやAPIキーの漏洩可能)
- I (Integrity, 完全性への影響): 高(コード改ざんやエージェントの乗っ取り)
- A (Availability, 可用性への影響): 中〜高(システム停止や悪影響の可能性)
よくある質問(FAQ)
Q. このCVEに対応するために最低限すべきことは何ですか?
A. STEP 3のバージョン確認を実施し、該当バージョンならSTEP 4で3.1.3以上へアップグレードしてください。
Q. パッチが適用できない場合、どうすればよいですか?
A. 公式の暫定対応はありませんが、認証強化や影響範囲の限定、該当機能の利用停止などでリスクを減らしてください。
Q. 既に攻撃を受けているか確認する方法はありますか?
A. ログに不審なJavaScriptファイルアップロードや想定外の動作があるかを調査し、GitHub Advisory DatabaseやCISAのIOC情報を参照してください。
Q. なぜEPSSスコアが重要なのですか?
A. CVSSは脆弱性の理論的深刻度を示しますが、EPSSは実際にどれくらい悪用されやすいかの確率を示すため、対応優先度の判断に役立ちます。
Q. このCVEと類似の脆弱性は他にもありますか?
A. CWE-94に分類される任意コード実行脆弱性は他にも多く存在し、同様の経路(コードの動的読み込み)でのリスクがあります。
参考文献
- GitHub Advisory Database GHSA-g32j-mmxr-gfq5
- NVD – CVE-2026-69251
- Snyk Vulnerability Database
- CISA KEV Catalog
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2026-08-05 追記
本記事の公開後、以下の重要な変化が確認されました(公開からの経過: 0日)。
| 項目 | 公開時点 | 2026-08-05時点 | 変化の意味 |
|---|---|---|---|
| タイトルプレフィックス未付与 | (プレフィックスなし) | 【重大】 | 公開時はタイトルに危険度プレフィックスが付いていない。最新状況では付与が妥当(記事生成時の凡ミス補正) |
タイトルプレフィックス未付与
記事公開時点では、タイトルに危険度を示す「【重大】」プレフィックスが未付与となっていましたが、現在はこのプレフィックスが適切であると判断され自動的に付与されました。これは記事公開時の単純な付与漏れによるもので、内容の緊急性や危険度そのものが新たに変化したわけではありません。
本脆弱性(CVE-2026-69251)はCVSSスコア9.0(CRITICAL)であり、当サイトの基準に照らしても「【重大】」と区分されます。読者の皆様には、今後はタイトルのプレフィックスを参考に優先度を判断されることを推奨します。既に方針に基づき適切なラベルに修正済みですが、運用ご担当者はこのような緊急度プレフィックスの有無で優先順位付けが変わる場合、早急なご確認と対応検討をお願いします。
