CVE-2026-69264 Flowise CSVAgentにおけるPythonコードインジェクション脆弱性とAI Security視点の緊急対応法

結論
- 危険度: 情報なし
- 対象: flowise <= 3.1.2 / flowise-components <= 3.1.2
- 修正: 3.1.3
- KEV: No (NVD Critical由来。CISA KEVには未登録)
タイトルの緊急度プレフィックス(【至急】【最重大】等)の意味
| 表記 | 条件 | 意味 | 対応目安 |
|---|---|---|---|
| 【至急/ランサム悪用】 | CISA KEV登録 + ランサムウェア悪用観測 | ランサムグループが現在進行形で悪用 | 本日中に対応開始 |
| 【至急/重大】 | CISA KEV登録 + CVSS 9.0以上 | 実世界で攻撃観測あり + スコア極めて高い | 本日中に対応開始 |
| 【重大/KEV登録】 | CISA KEV登録(CVSS低またはNVD未反映) | 実世界で攻撃観測あり | 数日以内 |
| 【最重大】 | CVSS 9.5以上(KEV未登録) | 理論上の危険度ほぼ満点、攻撃観測はまだない | 1週間以内に対応計画 |
| 【重大】 | CVSS 9.0〜9.4(KEV未登録) | Critical帯の理論的高リスク | 1〜2週間以内 |
| 【高】 | CVSS 7.0〜8.9(KEV未登録) | High帯のリスク | 計画的に対応 |
| (プレフィックスなし) | CVSS 7.0未満 | Medium以下のリスク | 通常メンテで対応 |
「至急」と「最重大」の違い: 「至急」は CISA(米国政府機関)が 実際に悪用を観測した CVEに付与されます。「最重大」は CVSS スコア上は最高峰だが、まだ悪用観測がない ものです。同じCVSS 9.8でもKEV登録の有無で扱いが変わります。
最終更新: 2026-08-04 | 本記事は公式情報をもとに作成しています。最新情報はベンダー公式アドバイザリを必ずご確認ください。
| STEP | やること | かかる目安 |
|---|---|---|
| STEP 1 | 何が起きているか理解する | 5分 |
| STEP 2 | 急ぎ対応すべきか判断する | 3分 |
| STEP 3 | 自分の環境が対象か確認する | 10分 |
| STEP 4 | 修正を適用する | 環境による |
| STEP 5 | 修正されたことを確認する | 5分 |
STEP 1: 何が起きているか
一言でいうと
CVE-2026-69264は、FlowiseのCSVAgentにある脆弱性で、攻撃者が認証不要でリモートコード実行できてしまいます。LLMゲートウェイの運用者にとって最優先で対応すべき重大な問題です。
やさしく説明すると
FlowiseのCSVAgentはCSVファイルからデータを読み込む機能です。この脆弱性は、CSVファイルの中身をそのままコードに埋め込んで実行してしまう仕組みにあります。例えるなら、玄関の鍵を渡したら中に悪者が自由に出入りできるようになるようなものです。これにより、攻撃者はFlowiseの裏側で自由に操作ができてしまいます。
技術的な原因
この脆弱性は、CWE-94「不適切なコードの実行(Improper Control of Generation of Code)」とCWE-95「コードインジェクション(Code Injection)」に分類されます。FlowiseのCSVAgentは、攻撃者が制御するcsvFileのデータURIの一部を、そのままPythonソースコードのテンプレート内に埋め込みます。Pyodide(Pythonをブラウザ上で実行する仕組み)を通じてJavaScriptのeval関数や動的importが使えるため、Node.js上で動作するFlowiseのプロセスとして任意のOSコマンド実行が可能になります。なお、この危険なコードは一部の検証関数が適用されず、そのまま実行されてしまいます。
影響を受けると何が困るか
- APIキー(OpenAIやAnthropicなど)の漏洩・悪用
- LLMのコンテキストや顧客データが盗まれる
- プロンプトインジェクションでAgentを乗っ取られる
- モデルやRAG(Retrieval-Augmented Generation)データの改ざん
- 請求コストの急増・リソースの浪費
- マルチテナント環境での情報漏洩
- インフラ全体への横展開による大規模被害
- AIコーディングツール(Cursor/Clineなど)経由のローカルファイル読み取りや任意コード実行
- IDE拡張機能の遠隔操作
- .envや他の認証情報の漏洩
もっと詳しく調べたい人へ — 公式情報源マップ
本記事は以下の公式・準公式の情報源から内容を集約しています。一次情報を確認したい場合や英語で詳細を読みたい場合は、各リンクから直接アクセスできます。
| カテゴリ | 情報源 | 言語 | 何が分かるか | リンク |
|---|---|---|---|---|
| 総合 | NVD(米国 NIST) | 英 | 米国政府の脆弱性データベース。CVSSスコア、影響を受けるCPE、参考リンクの総合ハブ。最も網羅的。 | 開く |
| 総合 | MITRE CVE | 英 | CVE採番機関の公式記録。CVE記述の「正本」。NVDより記載が簡潔だが一次情報。 | 開く |
| 総合 | JVN iPedia(JPCERT/CC・IPA) | 日 | 日本のCSIRTが運用する脆弱性対策情報データベース。日本語で概要・対策が読める。掲載がない場合あり。 | 開く |
| 総合 | CISA KEV(悪用観測カタログ) | 英 | 米国CISAが実際に悪用を確認している脆弱性のカタログ。掲載されていれば最優先で対応。 | 開く |
| 総合 | GitHub Advisory Database | 英 | OSSパッケージ(npm/pypi/maven/composer/go等)別の脆弱性アドバイザリ。修正PRへのリンクが豊富。 | 開く |
| 総合 | OpenCVE | 英 | 複数CVEデータベースの集約検索サービス。タイムラインや関連CVEの俯瞰に有用。 | 開く |
| Linux | Red Hat CVE | 英 | Red Hat製品(RHEL/CentOS Stream/Rocky/AlmaLinux系)の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| Linux | Ubuntu Security | 英 | Ubuntu の影響評価。各Ubuntuバージョン(22.04/24.04等)でのパッチ提供状況が一目で分かる。 | 開く |
| Linux | Debian Security Tracker | 英 | Debian の影響評価。stable/testing/sid別のパッチ状況。Debian派生ディストリ利用者向け。 | 開く |
| Linux | SUSE CVE | 英 | SUSE Linux Enterprise / openSUSE の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| 悪用 | Exploit Database | 英 | 公開エクスプロイトのアーカイブ。検出ツールやペネトレーションテストでの参照用。 | 開く |
| 悪用 | Packet Storm Security | 英 | セキュリティアドバイザリ・エクスプロイトの集約サイト。古めの情報も含む。 | 開く |
| 悪用 | GitHub PoC 検索 | 英 | GitHubコード検索でCVE IDを直接検索。野良PoCの早期発見に。 | 開く |
| 悪用 | X(Twitter)検索 | 日英 | 直近の議論やニュースを観測。In-the-wild悪用の早期検知に有用。 | 開く |
| スキャナ | Snyk Vulnerability DB | 英 | パッケージ別の脆弱性詳細と修正バージョン。OSS依存ライブラリ追跡に有用。 | 開く |
| スキャナ | Tenable(Nessus) | 英 | Nessusスキャナでの検出プラグイン情報。検出ロジックの参考に。 | 開く |
| スキャナ | Rapid7(Metasploit/Nexpose) | 英 | Metasploit悪用モジュール、Nexposeでの検出情報。 | 開く |
掲載しているのは無料でアクセスできる情報源のみです。CVEによっては掲載がないサイトもあります(特にJVN iPediaは日本国内で報告された脆弱性のみ掲載)。
STEP 2: 急ぎ対応すべきか判断する
結論: 中
判断根拠
- CVSSスコアは未公開だが、NVDのCriticalラベルは付いている。Flowiseに限った限定的影響のため最重大ではない。
- EPSS(悪用予測スコア)のデータは存在しない。
- ランサムウェア悪用の情報は不明(Unknown)で、現在のところ悪用の確認もない。
- GitHub上でPoCコード公開はない。つまり現状では武器化されていない。
- 攻撃者にチャットフローの作成・更新権限(chatflows:createやagentflows/chatflows update)が必要。更に、Flowise APIのPOST /api/v1/prediction/:idで認証なしにリモートコード実行が起きる。
- ネットワークからアクセス可能なFlowiseサービスがあり、かつ権限を持つ内部者または悪用されたアカウントが存在する場合は危険度が高まる。
誰が動くべきか
- FlowiseをLLMゲートウェイやAgentフレームワークとして本番運用しているSREやSecOpsチーム
- Flowiseのチャットフロー編集機能を社内で使っているAIアプリケーション開発者
- Agentic開発やMCP Server運用チーム、LLM Proxyを構築しているDevOps
- Cursor/ClineなどのAIコーディングツールやバイブコーダー利用者で、Flowiseを内部連携に使っている場合
STEP 3: 自分の環境が対象か確認する
影響を受けるバージョン
| 製品 | 脆弱なバージョン範囲 | 修正版 |
|---|---|---|
| flowise | ~3.1.2 |
3.1.3 |
| flowise-components | ~3.1.2 |
3.1.3 |
バージョン確認コマンド
Node.js(npm)
npm list flowise flowise-components
出力例:
flowise@3.1.2
flowise-components@3.1.2
判定: いずれかが 3.1.2 以下なら脆弱です。
設定確認
この脆弱性は静的設定依存ではなく、Flowiseのチャットフロー権限管理に依存します。つまり、該当バージョンを使い、かつ権限を持つユーザーが存在する環境は脆弱です。権限管理を厳格にしていてもアップグレードを推奨します。
Nucleiテンプレートでの検出
現時点で公開されているNucleiテンプレートはありません。脆弱性検出はバージョン確認を基本としてください。
STEP 4: 修正を適用する
パッチ適用
Node.js(npm)
npm install flowise@3.1.3 flowise-components@3.1.3
出力例:
+ flowise@3.1.3
+ flowise-components@3.1.3
updated 2 packages in 10s
判定: バージョンが 3.1.3 以上なら安全です。
注意: パッチ適用前に必ず現在のFlowise設定やチャットフローをバックアップしてください。また、ステージング環境で動作確認を行い、ダウンタイム計画を立てることを推奨します。
パッチ即時適用ができない場合の暫定対応
公式からの暫定対応策は提示されていません。可能であれば、脆弱なFlowiseインスタンスへのネットワークアクセスを制限し、権限を持つユーザーの利用を停止してください。
STEP 5: 修正されたことを確認する
STEP 3で実行したバージョン確認コマンドを再度実行してください。
期待される出力
Node.js(npm)
npm list flowise flowise-components
出力例:
flowise@3.1.3
flowise-components@3.1.3
判定: バージョンが 3.1.3 以上ならOKです。
追加で確認すべきこと
- パッチ適用後にFlowiseのAPIログを確認し、不審なPOSTリクエストがないか調べてください。
- Nucleiテンプレートが無いため、ログ監視やユーザー権限管理の強化も継続してください。
補足: 悪用観測状況
現時点でGitHubやExploit Databaseに本脆弱性の公開PoCコードは存在しません。CISA KEVカタログにも未登録で、ランサムウェアグループの悪用報告もありません。したがって、実際の攻撃はまだ観測されていませんが、Node.js環境で任意コード実行が可能なため注視が必要です。
補足: CVSSメトリクス詳細
- AV(Attack Vector, 攻撃経路): ネットワーク経由で攻撃可能
- AC(Attack Complexity, 攻撃の難しさ): 攻撃に複雑な条件なし
- PR(Privileges Required, 必要な権限): チャットフロー作成・更新権限が必要
- UI(User Interaction, ユーザー操作): ユーザー操作不要
- S(Scope, 影響範囲の拡大): Flowiseプロセスに影響
- C(Confidentiality, 機密性への影響): 大きな情報漏洩の可能性
- I(Integrity, 完全性への影響): コード・データの改ざん可能
- A(Availability, 可用性への影響): サービス停止を引き起こす可能性あり
よくある質問(FAQ)
Q. このCVEに対応するために最低限すべきことは何ですか?
A. まず自分の環境でFlowiseとflowise-components のバージョンを確認(STEP 3)。脆弱なら3.1.3以降にアップグレードし(STEP 4)、修正が反映されているか再確認してください(STEP 5)。
Q. パッチが適用できない場合、どうすればよいですか?
A. ネットワーク経路を制限し、Flowiseの権限管理を強化してください。公式の暫定対応はなく、アップデート以外の根本回避は難しいです。
Q. 既に攻撃を受けているか確認する方法はありますか?
A. FlowiseのAPIおよびシステムログを調査し、不審なPOSTリクエストや未知のファイル操作やコマンド実行がないか監視してください。
Q. なぜEPSSスコアが重要なのですか?
A. CVSSは技術的な深刻度指標ですが、EPSSは実際に攻撃で悪用される確率を示します。両方確認すると対応の優先順位を正しく見極められます。
Q. このCVEと類似の脆弱性は他にもありますか?
A. CWE-94・CWE-95に分類されるコードインジェクション型の脆弱性は他製品でも報告されています。類似の攻撃パターンに注意してください。
参考文献
- NVD: CVE-2026-69264 詳細
- Flowise GitHub コミット(修正)
- Flowise GitHub プルリクエスト
- Flowise 3.1.3 リリースノート
- GitHub Advisory Database 脆弱性情報
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2026-08-05 追記
本記事の公開後、以下の重要な変化が確認されました(公開からの経過: 0日)。
| 項目 | 公開時点 | 2026-08-05時点 | 変化の意味 |
|---|---|---|---|
| タイトルプレフィックス未付与 | (プレフィックスなし) | 【重大】 | 公開時はタイトルに危険度プレフィックスが付いていない。最新状況では付与が妥当(記事生成時の凡ミス補正) |
タイトルプレフィックス未付与
公開時点で当該記事タイトルには危険度を示すプレフィックスが付与されていませんでしたが、最新の判断により「【重大】」を付与することが適切であると修正されました(記事生成時の凡ミス補正)。CVSS 9.4(Critical)というスコアや、脆弱性内容の深刻さを踏まえ、管理者・運用者が即座に優先度を把握できるよう危険度表示を更新しています。
本種のプレフィックスは、脆弱性対応の現場判断や優先順位づけに大きく影響します。タイトルの危険度表記がないことで見落とされるリスクもあったため、今後は「【重大】」区分での管理・監視・パッチ適用を強く推奨します。関連システム担当者は、同様の表記更新にも注意し、管理台帳や通知システムでも優先対応対象として扱うことが望ましいでしょう。
