CVE-2026-73602 Flowiseのvm2サンドボックス脱出によるRCE脆弱性解説とAI Security対策ガイド

結論
- 危険度: 情報なし
- 対象: (詳細はベンダーアドバイザリ参照)
- 修正: ベンダーアドバイザリ参照
- KEV: No (NVD Critical由来。CISA KEVには未登録)
タイトルの緊急度プレフィックス(【至急】【最重大】等)の意味
| 表記 | 条件 | 意味 | 対応目安 |
|---|---|---|---|
| 【至急/ランサム悪用】 | CISA KEV登録 + ランサムウェア悪用観測 | ランサムグループが現在進行形で悪用 | 本日中に対応開始 |
| 【至急/重大】 | CISA KEV登録 + CVSS 9.0以上 | 実世界で攻撃観測あり + スコア極めて高い | 本日中に対応開始 |
| 【重大/KEV登録】 | CISA KEV登録(CVSS低またはNVD未反映) | 実世界で攻撃観測あり | 数日以内 |
| 【最重大】 | CVSS 9.5以上(KEV未登録) | 理論上の危険度ほぼ満点、攻撃観測はまだない | 1週間以内に対応計画 |
| 【重大】 | CVSS 9.0〜9.4(KEV未登録) | Critical帯の理論的高リスク | 1〜2週間以内 |
| 【高】 | CVSS 7.0〜8.9(KEV未登録) | High帯のリスク | 計画的に対応 |
| (プレフィックスなし) | CVSS 7.0未満 | Medium以下のリスク | 通常メンテで対応 |
「至急」と「最重大」の違い: 「至急」は CISA(米国政府機関)が 実際に悪用を観測した CVEに付与されます。「最重大」は CVSS スコア上は最高峰だが、まだ悪用観測がない ものです。同じCVSS 9.8でもKEV登録の有無で扱いが変わります。
最終更新: 2026-08-13 | 本記事は公式情報をもとに作成しています。最新情報はベンダー公式アドバイザリを必ずご確認ください。
| STEP | やること | かかる目安 |
|---|---|---|
| STEP 1 | 何が起きているか理解する | 5分 |
| STEP 2 | 急ぎ対応すべきか判断する | 3分 |
| STEP 3 | 自分の環境が対象か確認する | 5分~環境による |
| STEP 4 | 修正を適用する | 環境による |
| STEP 5 | 修正されたことを確認する | 5分 |
STEP 1: 何が起きているか
一言でいうと
CVE-2026-73602はFlowise(3.1.3未満)にある、認証済みユーザーがJavaScriptサンドボックス(vm2)を突破し任意コード実行できる脆弱性です。LLMゲートウェイ運用者にとって最優先対応すべき問題です。
やさしく説明すると
この脆弱性は、例えると「安全な部屋(サンドボックス)の中に泥棒が入れる」ようなものです。通常はサンドボックスが悪さを止めますが、特定の検証を騙して抜け出せます。攻撃者は悪意あるコードを外から持ち込めるのです。
つまり、アプリの管理者権限を持つユーザーが、制限されるべき領域の外に勝手にコードを実行できます。これは開発や運用の安全性を大きく損ないます。
技術的な原因
この脆弱性はCWE-95(不適切なコード評価)に分類されます。Flowiseはvm2というJavaScriptサンドボックスを使い安全な実行環境を提供していますが、「moment locale」での特定のバリデーション回避によりサンドボックスの境界が破られます。
攻撃者は偽のStringオブジェクトを作成し、match関数でパス・トラバーサルチェックを突破して、ドキュメントストア外部の悪意あるJavaScriptファイルを読み込み実行します。これでサンドボックス逃脱が可能になります。
影響を受けると何が困るか
- 管理APIの認証を突破し、任意のコードが実行されるリスク
- 攻撃者がLLMゲートウェイの内部情報・設定を改ざんできる
- LLMコンテキストやプロンプト内容の漏洩が発生し、顧客データ保護が破綻
- AI AgentやRAGパイプラインの不正操作、乗っ取りリスク
- AI開発者が使うツール(Cursor/Cline/GitHub Copilotなど)の背後での環境汚染・情報漏洩リスク増大
- インフラ全体への横展開による深刻な影響・サービス停止
もっと詳しく調べたい人へ — 公式情報源マップ
本記事は以下の公式・準公式の情報源から内容を集約しています。一次情報を確認したい場合や英語で詳細を読みたい場合は、各リンクから直接アクセスできます。
| カテゴリ | 情報源 | 言語 | 何が分かるか | リンク |
|---|---|---|---|---|
| 総合 | NVD(米国 NIST) | 英 | 米国政府の脆弱性データベース。CVSSスコア、影響を受けるCPE、参考リンクの総合ハブ。最も網羅的。 | 開く |
| 総合 | MITRE CVE | 英 | CVE採番機関の公式記録。CVE記述の「正本」。NVDより記載が簡潔だが一次情報。 | 開く |
| 総合 | JVN iPedia(JPCERT/CC・IPA) | 日 | 日本のCSIRTが運用する脆弱性対策情報データベース。日本語で概要・対策が読める。掲載がない場合あり。 | 開く |
| 総合 | CISA KEV(悪用観測カタログ) | 英 | 米国CISAが実際に悪用を確認している脆弱性のカタログ。掲載されていれば最優先で対応。 | 開く |
| 総合 | GitHub Advisory Database | 英 | OSSパッケージ(npm/pypi/maven/composer/go等)別の脆弱性アドバイザリ。修正PRへのリンクが豊富。 | 開く |
| 総合 | OpenCVE | 英 | 複数CVEデータベースの集約検索サービス。タイムラインや関連CVEの俯瞰に有用。 | 開く |
| Linux | Red Hat CVE | 英 | Red Hat製品(RHEL/CentOS Stream/Rocky/AlmaLinux系)の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| Linux | Ubuntu Security | 英 | Ubuntu の影響評価。各Ubuntuバージョン(22.04/24.04等)でのパッチ提供状況が一目で分かる。 | 開く |
| Linux | Debian Security Tracker | 英 | Debian の影響評価。stable/testing/sid別のパッチ状況。Debian派生ディストリ利用者向け。 | 開く |
| Linux | SUSE CVE | 英 | SUSE Linux Enterprise / openSUSE の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| 悪用 | Exploit Database | 英 | 公開エクスプロイトのアーカイブ。検出ツールやペネトレーションテストでの参照用。 | 開く |
| 悪用 | Packet Storm Security | 英 | セキュリティアドバイザリ・エクスプロイトの集約サイト。古めの情報も含む。 | 開く |
| 悪用 | GitHub PoC 検索 | 英 | GitHubコード検索でCVE IDを直接検索。野良PoCの早期発見に。 | 開く |
| 悪用 | X(Twitter)検索 | 日英 | 直近の議論やニュースを観測。In-the-wild悪用の早期検知に有用。 | 開く |
| スキャナ | Snyk Vulnerability DB | 英 | パッケージ別の脆弱性詳細と修正バージョン。OSS依存ライブラリ追跡に有用。 | 開く |
| スキャナ | Tenable(Nessus) | 英 | Nessusスキャナでの検出プラグイン情報。検出ロジックの参考に。 | 開く |
| スキャナ | Rapid7(Metasploit/Nexpose) | 英 | Metasploit悪用モジュール、Nexposeでの検出情報。 | 開く |
掲載しているのは無料でアクセスできる情報源のみです。CVEによっては掲載がないサイトもあります(特にJVN iPediaは日本国内で報告された脆弱性のみ掲載)。
STEP 2: 急ぎ対応すべきか判断する
結論: 低
判断根拠
- CVSSスコアは現時点で公表されていません。よって深刻度評価が未確定です。
- EPSSスコア(直近30日で悪用される予測確率)はデータなしです。
- ランサムウェアによる悪用観測は不明です。
- 公開されたPoC(概念実証)コードは存在しません。
- 攻撃には認証済みユーザーであることが必要であり、外部からの無認証攻撃ではありません。
- 対象のFlowiseバージョンを利用している限定的な運用環境向けの脆弱性です。
誰が動くべきか
- Flowiseを3.1.3未満のバージョンで本番運用しているLLM Gateway運用チーム
- AI AgentフレームワークやLLM Proxyを内部で使うSRE/SecOpsチーム
- バイブコーダー開発者でFlowiseを開発・統合ツールとして利用している場合
STEP 3: 自分の環境が対象か確認する
影響を受けるバージョン
| 製品 | 脆弱なバージョン範囲 | 修正版 |
|---|---|---|
| Flowise | 3.1.3未満 | 3.1.3以上 |
バージョン確認コマンド
Python(pip)
pip show flowise
出力例:
Name: flowise
Version: 3.1.2
Summary: LLM application framework
...
判定: Version が 3.1.3未満なら脆弱。3.1.3以上なら安全。
Python(pip)※パッケージリストから絞る場合
pip list | grep flowise
出力例:
flowise 3.1.2
判定: 3.1.3未満なら脆弱。
設定確認
この脆弱性は設定依存ではありません。Flowiseのバージョンが3.1.3未満であれば脆弱です。
Nucleiテンプレートでの検出
現時点でCVE-2026-73602専用の公開Nucleiテンプレートは存在しません。バージョン確認による判定を推奨します。
STEP 4: 修正を適用する
パッチ適用
Python(pip)
pip install --upgrade flowise
判定: バージョンが 3.1.3以上に更新されると脆弱性が修正されます。
注意: パッチ適用前には必ずバックアップを取得し、ステージング環境で動作検証を行ってください。本番環境での適用時はサービス停止時間を考慮してください。
パッチ即時適用ができない場合の暫定対応
公式の暫定対応は提示されていません。ネットワークレベルでのアクセス制限や信頼できないユーザーの認証制御強化を実施してください。
STEP 5: 修正されたことを確認する
STEP 3で紹介したバージョン確認コマンドを再度実行してください。
期待される出力
Python(pip)
pip show flowise
出力例:
Name: flowise
Version: 3.1.3
...
判定: バージョンが 3.1.3以上ならOK。安全な状態です。
追加で確認すべきこと
もしNucleiテンプレートが今後公開された場合は再度スキャンを実施してください。また、ログに不審な認証活動やアクセスがないか継続的に監視してください。
補足: 悪用観測状況
現状、CVE-2026-73602について悪用を観測した報告はなく、公開されたPoCコードもありません。CISA KEVカタログには登録されていますが、ランサムウェアグループの悪用報告は不明です。実際の攻撃・悪用は未確認です。
補足: CVSSメトリクス詳細
- AV (Attack Vector、攻撃ベクトル): 認証されたユーザー限定の攻撃で、リモートからの無認証攻撃ではありません。
- AC (Attack Complexity、攻撃の複雑さ): 攻撃者は特定のバイパス手法を用いてサンドボックスの制限を解除します。
- PR (Privileges Required、必要な権限): 認証済みユーザー権限が必要です。
- UI (User Interaction、ユーザー操作): 攻撃実行時に別のユーザーの操作は不要です。
- C (Confidentiality、機密性への影響): 重大。内部情報や顧客データが漏洩する可能性があります。
- I (Integrity、完全性への影響): 重大。コード改ざんや不正操作が可能です。
- A (Availability、可用性への影響): 中程度。攻撃によりサービス停止または機能障害を招く恐れがあります。
よくある質問(FAQ)
Q. このCVEに対応するために最低限すべきことは何ですか?
A. STEP 3で自環境のFlowiseバージョンを確認し、3.1.3未満ならSTEP 4のアップグレードを実施してください。具体的なバージョン確認コマンドは本記事に記載しています。
Q. パッチが適用できない場合、どうすればよいですか?
A. 公式の暫定対応はありませんが、認証済みユーザーのアクセス制御強化やネットワーク隔離を実施してください。疑わしい権限ユーザーは最小限に留めましょう。
Q. 既に攻撃を受けているか確認する方法はありますか?
A. 現時点で攻撃のIOC(侵入痕跡)は公開されていません。ログ監視で不審な認証成功やサンドボックス外でのコード実行疑いがないか注意してください。
Q. なぜEPSSスコアが重要なのですか?
A. CVSSは技術的な深刻度評価ですが、EPSSは「実際に悪用される確率」を示します。両方を確認すると対応の優先順位をより適切に判断できます。
Q. このCVEと類似の脆弱性は他にもありますか?
A. CWE-95分類のサンドボックス逃脱脆弱性は過去にも存在しました。特にvm2などJavaScriptサンドボックスで類似問題が報告されています。最新状況を追うことが重要です。
参考文献
- NVD – CVE-2026-73602
- Flowise GitHub 修正コミット
- GitHub Advisory Database – Flowise sandbox escape vulnerability
- VulnCheck 脆弱性解説
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