【高】CVE-2026-44567 Open WebUIの認証バイパス脆弱性解説とAI Security対応策ガイド

結論
- 危険度: High (CVSS 7.3)
- 対象: open-webui <= 0.1.123
- 修正: 0.1.124
- KEV: No (NVD Critical由来。CISA KEVには未登録)
タイトルの緊急度プレフィックス(【至急】【最重大】等)の意味
| 表記 | 条件 | 意味 | 対応目安 |
|---|---|---|---|
| 【至急/ランサム悪用】 | CISA KEV登録 + ランサムウェア悪用観測 | ランサムグループが現在進行形で悪用 | 本日中に対応開始 |
| 【至急/重大】 | CISA KEV登録 + CVSS 9.0以上 | 実世界で攻撃観測あり + スコア極めて高い | 本日中に対応開始 |
| 【重大/KEV登録】 | CISA KEV登録(CVSS低またはNVD未反映) | 実世界で攻撃観測あり | 数日以内 |
| 【最重大】 | CVSS 9.5以上(KEV未登録) | 理論上の危険度ほぼ満点、攻撃観測はまだない | 1週間以内に対応計画 |
| 【重大】 | CVSS 9.0〜9.4(KEV未登録) | Critical帯の理論的高リスク | 1〜2週間以内 |
| 【高】 | CVSS 7.0〜8.9(KEV未登録) | High帯のリスク | 計画的に対応 |
| (プレフィックスなし) | CVSS 7.0未満 | Medium以下のリスク | 通常メンテで対応 |
「至急」と「最重大」の違い: 「至急」は CISA(米国政府機関)が 実際に悪用を観測した CVEに付与されます。「最重大」は CVSS スコア上は最高峰だが、まだ悪用観測がない ものです。同じCVSS 9.8でもKEV登録の有無で扱いが変わります。
最終更新: 2026-05-15 | 本記事は公式情報をもとに作成しています。最新情報はベンダー公式アドバイザリを必ずご確認ください。
| STEP | やること | かかる目安 |
|---|---|---|
| STEP 1 | 何が起きているか理解する | 3分 |
| STEP 2 | 急ぎ対応すべきか判断する | 3分 |
| STEP 3 | 自分の環境が対象か確認する | 5分 |
| STEP 4 | 修正を適用する | 環境による |
| STEP 5 | 修正されたことを確認する | 3分 |
STEP 1: 何が起きているか
一言でいうと
CVE-2026-44567はOpen WebUIというオフラインAIプラットフォームで発見された脆弱性です。攻撃者は認証なしでAPIを不正利用し、本来「保留中」のユーザーロールを持つアカウントで、一般ユーザー権限として操作できます。LLM GatewayやAI Agent運用者にとっては優先的に対応すべき問題です。
やさしく説明すると
ImagineOpen WebUIの「玄関」に鍵がかかっているはずが、実は一部の「保留中」の利用者が勝手に中に入り込める状態です。「保留中」はまだ正式なユーザーではなく、管理者が承認する必要があります。しかし、この脆弱性で「保留中」のユーザーが既に普通のユーザーになったかのように振る舞えます。つまり、未認証のままシステムを誤って操作される危険があります。
技術的な原因
本脆弱性はCWE-602(不適切な認証)とCWE-863(不適切な権限リセット)に該当します。APIがユーザーロールの検証を正しく行わず、「pending(保留)」ロールのユーザーに対し登録後、本来必要な管理者の役割再設定をバイパスしてしまうためです。これにより、不正ユーザーがAPIにフルアクセスしてしまうリスクが発生しています。
影響を受けると何が困るか
- APIキーの窃取や不正利用によるサービス乗っ取りリスク増大
- LLMコンテキストや顧客データの不正取得
- プロンプトインジェクションを通じたAgenticフレームワークの乗っ取り
- RAG(Retrieval-Augmented Generation)データの改ざんやスクレイピング
- 請求コストの異常増大による運用コスト問題
- テナント間情報漏洩の危険性
- AIコーディングツール(Cursor、Cline、Copilot等)での不正操作やファイルアクセス
- .envファイルや認証情報の漏洩によるシステム全体のリスク
もっと詳しく調べたい人へ — 公式情報源マップ
本記事は以下の公式・準公式の情報源から内容を集約しています。一次情報を確認したい場合や英語で詳細を読みたい場合は、各リンクから直接アクセスできます。
| カテゴリ | 情報源 | 言語 | 何が分かるか | リンク |
|---|---|---|---|---|
| 総合 | NVD(米国 NIST) | 英 | 米国政府の脆弱性データベース。CVSSスコア、影響を受けるCPE、参考リンクの総合ハブ。最も網羅的。 | 開く |
| 総合 | MITRE CVE | 英 | CVE採番機関の公式記録。CVE記述の「正本」。NVDより記載が簡潔だが一次情報。 | 開く |
| 総合 | JVN iPedia(JPCERT/CC・IPA) | 日 | 日本のCSIRTが運用する脆弱性対策情報データベース。日本語で概要・対策が読める。掲載がない場合あり。 | 開く |
| 総合 | CISA KEV(悪用観測カタログ) | 英 | 米国CISAが実際に悪用を確認している脆弱性のカタログ。掲載されていれば最優先で対応。 | 開く |
| 総合 | GitHub Advisory Database | 英 | OSSパッケージ(npm/pypi/maven/composer/go等)別の脆弱性アドバイザリ。修正PRへのリンクが豊富。 | 開く |
| 総合 | OpenCVE | 英 | 複数CVEデータベースの集約検索サービス。タイムラインや関連CVEの俯瞰に有用。 | 開く |
| Linux | Red Hat CVE | 英 | Red Hat製品(RHEL/CentOS Stream/Rocky/AlmaLinux系)の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| Linux | Ubuntu Security | 英 | Ubuntu の影響評価。各Ubuntuバージョン(22.04/24.04等)でのパッチ提供状況が一目で分かる。 | 開く |
| Linux | Debian Security Tracker | 英 | Debian の影響評価。stable/testing/sid別のパッチ状況。Debian派生ディスト利用者向け。 | 開く |
| Linux | SUSE CVE | 英 | SUSE Linux Enterprise / openSUSE の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| 悪用 | Exploit Database | 英 | 公開エクスプロイトのアーカイブ。検出ツールやペネトレーションテストでの参照用。 | 開く |
| 悪用 | Packet Storm Security | 英 | セキュリティアドバイザリ・エクスプロイトの集約サイト。古めの情報も含む。 | 開く |
| 悪用 | GitHub PoC 検索 | 英 | GitHubコード検索でCVE IDを直接検索。野良PoCの早期発見に。 | 開く |
| 悪用 | X(Twitter)検索 | 日英 | 直近の議論やニュースを観測。In-the-wild悪用の早期検知に有用。 | 開く |
| スキャナ | Snyk Vulnerability DB | 英 | パッケージ別の脆弱性詳細と修正バージョン。OSS依存ライブラリ追跡に有用。 | 開く |
| スキャナ | Tenable(Nessus) | 英 | Nessusスキャナでの検出プラグイン情報。検出ロジックの参考に。 | 開く |
| スキャナ | Rapid7(Metasploit/Nexpose) | 英 | Metasploit悪用モジュール、Nexposeでの検出情報。 | 開く |
掲載しているのは無料でアクセスできる情報源のみです。CVEによっては掲載がないサイトもあります(特にJVN iPediaは日本国内で報告された脆弱性のみ掲載)。
STEP 2: 急ぎ対応すべきか判断する
結論: 高
判断根拠
- CVSS v3.1スコアは7.3(High)。これは「ネットワーク経由で誰でも攻撃でき、攻撃が比較的簡単であるが影響は局所的」と実務では評価されます。
- EPSSスコアは公開されていませんが、CVEの性質上注視が必要です。
- ランサムウェア悪用は確認されていません。
- 公開PoCやExploitは現在存在しません。
- 攻撃は認証不要でUI/API経由に可能、管理者の書き換え前の「pending」ユーザー権限の不備に起因。
誰が動くべきか
- Open WebUIをLLM GatewayやAI Agentプラットフォームとして運用しているSRE/SecOpsチーム
- Agentフレームワーク開発者やRAGパイプライン保守者
- AI駆動開発環境でCursor、Cline、Copilot等のAIコーディングツールを利用している開発者(脆弱環境にアクセスしている恐れがあるため)
STEP 3: 自分の環境が対象か確認する
影響を受けるバージョン
| 製品 | 脆弱なバージョン範囲 | 修正版 |
|---|---|---|
| open-webui (pipパッケージ名: open-webui) | 0.1.123 以下 | 0.1.124 |
バージョン確認コマンド
Python(pip)
pip show open-webui
出力例:
Name: open-webui
Version: 0.1.123
Summary: Open WebUI Package
...
判定: Version が 0.1.123 以下なら脆弱、0.1.124 以上なら修正済み
Python(pip list)
pip list | grep open-webui
出力例:
open-webui 0.1.123
判定: 出力のバージョンが 0.1.123以下 なら脆弱です
設定確認
この脆弱性は新規ユーザー登録時に「pending」(保留)ロールで登録される設定に起因します。設定を無効化しても脆弱性自体は解消しません。バージョンが対象範囲であれば脆弱です。
Nucleiテンプレートでの検出
現時点で公開Nucleiテンプレートは提供されていません。検出はバージョン確認が最も確実です。
STEP 4: 修正を適用する
パッチ適用
Python(pipアップグレード)
pip install --upgrade open-webui
出力例:
Successfully installed open-webui-0.1.124
判定: 出力で 0.1.124 以上がインストールされていれば修正済み
注意: アップグレード前に必ずバックアップを取得し、ステージング環境で動作確認を行ってください。本番環境でのダウンタイム計画も検討してください。
パッチ即時適用ができない場合の暫定対応
現在、ベンダーからの公式な暫定対応は提示されていません。できる限り新規ユーザー登録の無効化や管理者によるユーザーロールの承認を徹底し、外部からのアクセス制限を強化してください。
STEP 5: 修正されたことを確認する
STEP 3で実行したバージョン確認コマンドを、修正適用後に再度実行してください。
期待される出力
Python(pip show)
pip show open-webui
出力例:
Name: open-webui
Version: 0.1.124
Summary: Open WebUI Package
...
判定: バージョンが 0.1.124 以上なら問題ありません
追加で確認すべきこと
公開Nucleiテンプレートはありませんが、ベンダー提供の診断ツールやログ監視で不審なAPIアクセスがないか確認してください。
補足: 悪用観測状況
現時点でCISA KEVには登録されておらず、ランサムウェア悪用も未知です。GitHub上の公開PoCも存在しません。つまり、現実の広範囲な悪用は報告されていませんが、CVSSスコアが高いため計画的に優先対応する必要があります。
補足: CVSSメトリクス詳細
- AV (Attack Vector:攻撃元):NETWORK(ネットワーク越しに攻撃可能)
- AC (Attack Complexity:攻撃複雑度):LOW(攻撃は簡単に実行可能)
- PR (Privileges Required:必要権限):NONE(認証不要)
- UI (User Interaction:ユーザー操作):NONE(ユーザー操作不要)
- S (Scope:影響範囲):UNCHANGED(権限範囲は変わらない)
- C (Confidentiality Impact:機密性への影響):LOW(情報漏洩の可能性あり)
- I (Integrity Impact:完全性への影響):LOW(改ざんの可能性あり)
- A (Availability Impact:可用性への影響):LOW(サービス停止の可能性あり)
よくある質問(FAQ)
Q. このCVEに対応するために最低限すべきことは何ですか?
A. STEP 3で脆弱なバージョンを確認し、STEP 4で必ず0.1.124以上へアップグレードしてください。最後にSTEP 5で修正状況を確認することが必須です。
Q. パッチが適用できない場合、どうすればよいですか?
A. 新規登録の無効化や管理者の承認フローを厳格にし、APIへの外部アクセスを制限してください。ベンダーからの暫定対応が提供されていないため、運用側で防御を強化してください。
Q. 既に攻撃を受けているか確認する方法はありますか?
A. ログに不審なAPI呼び出しがないか監視し、管理者権限付与前の「pending」ユーザーが不正に操作されていないか確認してください。公式のIOC情報は現時点で提供されていません。
Q. なぜEPSSスコアが重要なのですか?
A. CVSSは脆弱性の技術的な深刻度を表しますが、EPSSは「攻撃が実際に悪用される確率」を示します。両方を確認することで対応の優先順位がより正確になります。
Q. このCVEと類似の脆弱性は他にもありますか?
A. 同様に不適切な認証・権限検証を原因とする脆弱性は複数存在します。過去にCWE-602やCWE-863に関連した他製品の脆弱性が報告されています。
参考文献
- NVD CVE-2026-44567
- GitHub Advisory Database: GHSA-4vg5-rp28-gvjf
- GitHub Advisory Database 検索結果
- OpenCVE CVE-2026-44567
- JVN iPedia
- CISA KEV – Known Exploited Vulnerabilities Catalog
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