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【高】CVE-2026-44843 LangChainのデシリアライズ脆弱性によるコードインジェクション攻撃の実態とAI Security対策完全ガイド

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本記事は公開時点の情報をもとにした速報記事です。内容が更新される場合があるため、必要に応じてベンダー公式情報や一次情報もあわせて確認してください。

目次

結論

  • 危険度: High (CVSS 8.2)
  • 対象: langchain-core >= 1.0.0, <= 1.3.2 / langchain-core <= 0.3.84
  • 修正: 1.3.3 / 0.3.85
  • KEV: No (NVD Critical由来。CISA KEVには未登録)
タイトルの緊急度プレフィックス(【至急】【最重大】等)の意味
表記 条件 意味 対応目安
【至急/ランサム悪用】 CISA KEV登録 + ランサムウェア悪用観測 ランサムグループが現在進行形で悪用 本日中に対応開始
【至急/重大】 CISA KEV登録 + CVSS 9.0以上 実世界で攻撃観測あり + スコア極めて高い 本日中に対応開始
【重大/KEV登録】 CISA KEV登録(CVSS低またはNVD未反映) 実世界で攻撃観測あり 数日以内
【最重大】 CVSS 9.5以上(KEV未登録) 理論上の危険度ほぼ満点、攻撃観測はまだない 1週間以内に対応計画
【重大】 CVSS 9.0〜9.4(KEV未登録) Critical帯の理論的高リスク 1〜2週間以内
【高】 CVSS 7.0〜8.9(KEV未登録) High帯のリスク 計画的に対応
(プレフィックスなし) CVSS 7.0未満 Medium以下のリスク 通常メンテで対応

「至急」と「最重大」の違い: 「至急」は CISA(米国政府機関)が 実際に悪用を観測した CVEに付与されます。「最重大」は CVSS スコア上は最高峰だが、まだ悪用観測がない ものです。同じCVSS 9.8でもKEV登録の有無で扱いが変わります。

最終更新: 2026-05-26 | 本記事は公式情報をもとに作成しています。最新情報はベンダー公式アドバイザリを必ずご確認ください。

STEP やること かかる目安
STEP 1 何が起きているか理解する 3分
STEP 2 急ぎ対応すべきか判断する 3分
STEP 3 自分の環境が対象か確認する 5分
STEP 4 修正を適用する 環境による
STEP 5 修正されたことを確認する 3分

STEP 1: 何が起きているか

一言でいうと

CVE-2026-44843は、LLMアプリケーション開発用フレームワークのLangChainに存在する脆弱性です。この脆弱性により攻撃者は、認証なしで細工したデータを送信し、任意の信頼されたPythonオブジェクトを生成できます。LLMゲートウェイ運用者やAgentフレームワーク開発者にとって最優先対応が必要です。

やさしく説明すると

LangChainはAIアプリを動かすための「パーツを組み合わせる道具」です。この脆弱性は、玄関の鍵が古くて特定の合鍵で簡単に開けられてしまうようなものです。攻撃者が悪意のある合鍵を作り込むと、家の中に勝手に入って好きな家具を動かせる状況に似ています。特にバイブコーダー開発者が利用するツール経由で影響が大きくなります。

技術的な原因

LangChainの古いバージョンでは、Pythonのシリアライズ解除処理で使うオブジェクト許容リストが過剰に緩められていました。具体的には、allowed_objects=”all”という設定で広範囲のオブジェクトを復元可能にしていました。これにより、攻撃者が制御するシリアライズされたコンストラクタ情報で不正なクラスのインスタンス化が起きる可能性があり、

CWE-502(不安全なデシリアライズ)として分類されます。つまり、信頼できないデータから任意のオブジェクトを呼び出せる状態で安全性が侵害されています。

影響を受けると何が困るか

  • APIキー(OpenAIやAnthropicなど)の漏洩リスクが高まる
  • LLMのコンテキスト情報(顧客データ含む)が盗まれる
  • プロンプトインジェクションを通じたAgentの乗っ取りが可能になる
  • モデルやRAG(検索型生成)データの改ざんにつながる
  • 請求コストの意図しない激増が起こる
  • マルチテナント環境での情報漏洩が発生する
  • AIコーディングツール(Cursor、Cline、Copilotなど)経由でローカルファイルにアクセスされる可能性
  • IDE拡張機能のリモート操作を介した被害が発生しうる
  • .envファイルや認証情報全般の漏洩リスクがある

もっと詳しく調べたい人へ — 公式情報源マップ

本記事は以下の公式・準公式の情報源から内容を集約しています。一次情報を確認したい場合や英語で詳細を読みたい場合は、各リンクから直接アクセスできます。

カテゴリ 情報源 言語 何が分かるか リンク
総合 NVD(米国 NIST) 米国政府の脆弱性データベース。CVSSスコア、影響を受けるCPE、参考リンクの総合ハブ。最も網羅的。 開く
総合 MITRE CVE CVE採番機関の公式記録。CVE記述の「正本」。NVDより記載が簡潔だが一次情報。 開く
総合 JVN iPedia(JPCERT/CC・IPA) 日本のCSIRTが運用する脆弱性対策情報データベース。日本語で概要・対策が読める。掲載がない場合あり。 開く
総合 CISA KEV(悪用観測カタログ) 米国CISAが実際に悪用を確認している脆弱性のカタログ。掲載されていれば最優先で対応。 開く
総合 GitHub Advisory Database OSSパッケージ(npm/pypi/maven/composer/go等)別の脆弱性アドバイザリ。修正PRへのリンクが豊富。 開く
総合 OpenCVE 複数CVEデータベースの集約検索サービス。タイムラインや関連CVEの俯瞰に有用。 開く
Linux Red Hat CVE Red Hat製品(RHEL/CentOS Stream/Rocky/AlmaLinux系)の影響評価とパッチ状況。 開く
Linux Ubuntu Security Ubuntu の影響評価。各Ubuntuバージョン(22.04/24.04等)でのパッチ提供状況が一目で分かる。 開く
Linux Debian Security Tracker Debian の影響評価。stable/testing/sid別のパッチ状況。Debian派生ディストリ利用者向け。 開く
Linux SUSE CVE SUSE Linux Enterprise / openSUSE の影響評価とパッチ状況。 開く
悪用 Exploit Database 公開エクスプロイトのアーカイブ。検出ツールやペネトレーションテストでの参照用。 開く
悪用 Packet Storm Security セキュリティアドバイザリ・エクスプロイトの集約サイト。古めの情報も含む。 開く
悪用 GitHub PoC 検索 GitHubコード検索でCVE IDを直接検索。野良PoCの早期発見に。 開く
悪用 X(Twitter)検索 日英 直近の議論やニュースを観測。In-the-wild悪用の早期検知に有用。 開く
スキャナ Snyk Vulnerability DB パッケージ別の脆弱性詳細と修正バージョン。OSS依存ライブラリ追跡に有用。 開く
スキャナ Tenable(Nessus) Nessusスキャナでの検出プラグイン情報。検出ロジックの参考に。 開く
スキャナ Rapid7(Metasploit/Nexpose) Metasploit悪用モジュール、Nexposeでの検出情報。 開く

掲載しているのは無料でアクセスできる情報源のみです。CVEによっては掲載がないサイトもあります(特にJVN iPediaは日本国内で報告された脆弱性のみ掲載)。

STEP 2: 急ぎ対応すべきか判断する

結論: 高

判断根拠

  • CVSS v3.1スコアは8.2でHighランクです。これは重大なリスクを示し、認証不要でネットワーク経由で攻撃可能であるため実務上危険です。
  • EPSS(悪用予測スコア)は未提供で、公開PoCや攻撃観測もありませんが、攻撃の条件が緩く攻撃しやすい点を考慮します。
  • ランサムウェアグループによる悪用観測は確認されていません(Unknown)。
  • 攻撃は認証やユーザ操作を必要とせず、ネットワーク経由で不正なシリアライズデータを送るだけで成立します。
  • したがって、計画的に速やかに対応する必要があります。特にLLM Gateway、Agentフレームワーク運用者は優先してください。

誰が動くべきか

  • LLM Gateway運用チーム(例: LiteLLM、OpenRouterなど)
  • Agentフレームワーク開発者(LangChain、AutoGenなど)
  • MLインフラチーム(vLLM、Tritonなど)
  • RAGパイプライン保守者
  • バイブコーダー開発者(Cursor、Cline、Aider、GitHub Copilot、Claude Code等のユーザ)
  • AIコーディングサンドボックス利用者

STEP 3: 自分の環境が対象か確認する

影響を受けるバージョン

製品 脆弱なバージョン範囲 修正版
langchain-core >= 1.0.0 かつ <= 1.3.2 1.3.3
langchain-core <= 0.3.84 0.3.85

バージョン確認コマンド

Python (pip)

pip show langchain-core

出力例:

Name: langchain-core
Version: 1.3.2
Summary: A framework for LLM-powered agents and applications
...

判定: バージョンが 1.3.2 以下なら脆弱。1.3.3 以上なら安全。

Python (pip, grep)

pip list | grep langchain-core

出力例:

langchain-core         0.3.84

判定: バージョンが 0.3.84 以下なら脆弱。0.3.85 以上なら安全。

設定確認

本脆弱性はコード内の古い実行経路において、allowed_objects=”all” のような緩い設定でデシリアライズしていることが原因です。したがって設定依存の問題ですが、現状のLangChainの公開実装においては該当設定を使う場合が限定的なので、設定を直接確認してください。設定を変更できない場合は、バージョンアップによる修正が必須です。

Nucleiテンプレートでの検出

公開Nucleiテンプレートは存在しません。バージョンチェックを必ず実施してください。

STEP 4: 修正を適用する

パッチ適用

Python (pip アップグレード)

pip install --upgrade langchain-core

出力例:

Successfully installed langchain-core-1.3.3

判定: バージョンが 1.3.3 以上になれば修正済み。

Python (特定バージョン指定アップグレード)

pip install langchain-core==0.3.85

出力例:

Successfully installed langchain-core-0.3.85

判定: バージョンが 0.3.85 以上ならOK。

注意: アップグレード前に必ず動作確認環境でテストし、本番環境のバックアップを取得してください。依存関係や下位互換性にも注意が必要です。

パッチ即時適用ができない場合の暫定対応

ベンダーの公式暫定対応は提示されていません。可能なら攻撃に通じる外部からの入力を受ける経路をネットワークで隔離するか、APIの入力検証を強化してください。

STEP 5: 修正されたことを確認する

STEP 3で使ったバージョン確認コマンドを再度実行して、アップグレードが反映されているか確認してください。

期待される出力

Python (pip)

pip show langchain-core

出力例:

Name: langchain-core
Version: 1.3.3
Summary: A framework for LLM-powered agents and applications
...

判定: バージョンが 1.3.3 以上なら修正済みで安全。

Python (pip grep)

pip list | grep langchain-core

出力例:

langchain-core         0.3.85

判定: バージョンが 0.3.85 以上なら問題なし。

追加で確認すべきこと

もし利用可能ならば、Nucleiテンプレート(存在する場合)を再度実行してください。また、不審なアクセスログや不正なカスタムオブジェクトの生成履歴がないか監視します。

補足: 悪用観測状況

現在、CVE-2026-44843に関する公開PoCや攻撃コードは確認されていません。ランサムウェアグループによる悪用も未確認であり、実際の攻撃観測は現時点で報告されていません。ただし、攻撃条件は緩く広範囲に影響するため注意が必要です。

補足: CVSSメトリクス詳細

  • AV (Attack Vector: 攻撃元): NETWORK — 攻撃はネットワーク経由で可能
  • AC (Attack Complexity: 攻撃複雑度): LOW — 攻撃は簡単に実行できる
  • PR (Privileges Required: 必要権限): NONE — 認証など権限不要
  • UI (User Interaction: ユーザ操作): NONE — ユーザ操作も不要
  • S (Scope: スコープ): UNCHANGED — 影響範囲は同一プロセス内に限定
  • C (Confidentiality Impact: 機密性影響): HIGH — 機密情報が漏洩する可能性が高い
  • I (Integrity Impact: 完全性影響): LOW — データの改ざんが一部可能
  • A (Availability Impact: 可用性影響): NONE — システム停止等の影響はなし

よくある質問(FAQ)

Q. このCVEに対応するために最低限すべきことは何ですか?

A. まずSTEP 3で自分の環境のバージョンを確認し、脆弱なlangchain-coreを使っていたらSTEP 4のパッチ適用を行います。最後にSTEP 5でバージョンアップが完了したことを再確認してください。

Q. パッチが適用できない場合、どうすればよいですか?

A. 本脆弱性は設定による緩みの部分もあるため、外部からの入力検証を強化したり、該当の実行経路をネットワーク的に隔離してください。公式の暫定対応は公開されていません。

Q. 既に攻撃を受けているか確認する方法はありますか?

A. 公式に公開されているIoCはありませんが、ログ監視で不審なシリアライズ形式の入力や、通常と異なるコンストラクタ呼び出しを検知してください。

Q. なぜEPSSスコアが重要なのですか?

A. CVSSは技術的な深刻度を評価しますが、EPSSは実際に脆弱性がどの程度悪用されやすいかを示します。両方を見ると優先度の判断が適切になります。

Q. このCVEと類似の脆弱性は他にもありますか?

A. CWE-502(不安全なデシリアライズ)は他のコードベースでも繰り返し見られる重大問題です。同様に外部入力の扱いに注意してください。

参考文献

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