CVE-2026-10548 NousResearch Hermes-Agentの認証バイパス脆弱性が公開 ローカル攻撃対策を解説 AI Securityエンジニア必読の実務ガイド

結論
- 危険度: Medium (CVSS 5.3)
- 対象: (詳細はベンダーアドバイザリ参照)
- 修正: ベンダーアドバイザリ参照
- KEV: No (NVD Critical由来。CISA KEVには未登録)
タイトルの緊急度プレフィックス(【至急】【最重大】等)の意味
| 表記 | 条件 | 意味 | 対応目安 |
|---|---|---|---|
| 【至急/ランサム悪用】 | CISA KEV登録 + ランサムウェア悪用観測 | ランサムグループが現在進行形で悪用 | 本日中に対応開始 |
| 【至急/重大】 | CISA KEV登録 + CVSS 9.0以上 | 実世界で攻撃観測あり + スコア極めて高い | 本日中に対応開始 |
| 【重大/KEV登録】 | CISA KEV登録(CVSS低またはNVD未反映) | 実世界で攻撃観測あり | 数日以内 |
| 【最重大】 | CVSS 9.5以上(KEV未登録) | 理論上の危険度ほぼ満点、攻撃観測はまだない | 1週間以内に対応計画 |
| 【重大】 | CVSS 9.0〜9.4(KEV未登録) | Critical帯の理論的高リスク | 1〜2週間以内 |
| 【高】 | CVSS 7.0〜8.9(KEV未登録) | High帯のリスク | 計画的に対応 |
| (プレフィックスなし) | CVSS 7.0未満 | Medium以下のリスク | 通常メンテで対応 |
「至急」と「最重大」の違い: 「至急」は CISA(米国政府機関)が 実際に悪用を観測した CVEに付与されます。「最重大」は CVSS スコア上は最高峰だが、まだ悪用観測がない ものです。同じCVSS 9.8でもKEV登録の有無で扱いが変わります。
最終更新: 2026-06-02 | 本記事は公式情報をもとに作成しています。最新情報はベンダー公式アドバイザリを必ずご確認ください。
| STEP | やること | かかる目安 |
|---|---|---|
| STEP 1 | 何が起きているか理解する | 3分 |
| STEP 2 | 急ぎ対応すべきか判断する | 3分 |
| STEP 3 | 自分の環境が対象か確認する | 5分 |
| STEP 4 | 修正を適用する | 環境による |
| STEP 5 | 修正されたことを確認する | 5分 |
STEP 1: 何が起きているか
一言でいうと
CVE-2026-10548はNousResearchのhermes-agentで発見された脆弱性です。攻撃者は認証を正しく通さずに特定の同期処理を操作でき、LLMゲートウェイやAgentフレームワークの運用者にとって重要な問題となります。
やさしく説明すると
この脆弱性は、ソフトウェアの「玄関の鍵」が甘いために、社内の誰かが正しいカギなしに勝手に鍵のかかった部屋に入れるようなものです。通常は限られた人だけが使えるはずの機能に、不正にアクセスされる恐れがあります。攻撃者はローカル環境から侵入を試みますが、認証の不備で簡単に権限を超えた操作が可能となります。
技術的な原因
この問題は「CWE-287(不適切な認証)」に分類されます。具体的には、agent/credential_pool.pyの_sync_anthropic_entry_from_credentials_file関数で認証処理が適切に行われません。つまり、認証の守りが弱く設定されており、攻撃者は正規の認証をすり抜けられます。このため、プログラムが本来意図した利用者以外にも機能を操作されるリスクがあります。
影響を受けると何が困るか
- APIキー(OpenAIやAnthropicなどの認証情報)が漏洩するリスクがある
- LLMのコンテキスト情報や顧客データを攻撃者に盗まれる恐れがある
- プロンプトインジェクションを介してAgent型AIの制御を乗っ取られるリスク
- モデルやRAG(Retrieval-Augmented Generation)用のデータが改ざんされる可能性
- テナント間での情報漏洩が発生するおそれがある
- AIコーディングツール(CursorやCline、Copilotなど)経由で環境内の情報が漏れる可能性
もっと詳しく調べたい人へ — 公式情報源マップ
本記事は以下の公式・準公式の情報源から内容を集約しています。一次情報を確認したい場合や英語で詳細を読みたい場合は、各リンクから直接アクセスできます。
| カテゴリ | 情報源 | 言語 | 何が分かるか | リンク |
|---|---|---|---|---|
| 総合 | NVD(米国 NIST) | 英 | 米国政府の脆弱性データベース。CVSSスコア、影響を受けるCPE、参考リンクの総合ハブ。最も網羅的。 | 開く |
| 総合 | MITRE CVE | 英 | CVE採番機関の公式記録。CVE記述の「正本」。NVDより記載が簡潔だが一次情報。 | 開く |
| 総合 | JVN iPedia(JPCERT/CC・IPA) | 日 | 日本のCSIRTが運用する脆弱性対策情報データベース。日本語で概要・対策が読める。掲載がない場合あり。 | 開く |
| 総合 | CISA KEV(悪用観測カタログ) | 英 | 米国CISAが実際に悪用を確認している脆弱性のカタログ。掲載されていれば最優先で対応。 | 開く |
| 総合 | GitHub Advisory Database | 英 | OSSパッケージ(npm/pypi/maven/composer/go等)別の脆弱性アドバイザリ。修正PRへのリンクが豊富。 | 開く |
| 総合 | OpenCVE | 英 | 複数CVEデータベースの集約検索サービス。タイムラインや関連CVEの俯瞰に有用。 | 開く |
| Linux | Red Hat CVE | 英 | Red Hat製品(RHEL/CentOS Stream/Rocky/AlmaLinux系)の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| Linux | Ubuntu Security | 英 | Ubuntu の影響評価。各Ubuntuバージョン(22.04/24.04等)でのパッチ提供状況が一目で分かる。 | 開く |
| Linux | Debian Security Tracker | 英 | Debian の影響評価。stable/testing/sid別のパッチ状況。Debian派生ディストリ利用者向け。 | 開く |
| Linux | SUSE CVE | 英 | SUSE Linux Enterprise / openSUSE の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| 悪用 | Exploit Database | 英 | 公開エクスプロイトのアーカイブ。検出ツールやペネトレーションテストでの参照用。 | 開く |
| 悪用 | Packet Storm Security | 英 | セキュリティアドバイザリ・エクスプロイトの集約サイト。古めの情報も含む。 | 開く |
| 悪用 | GitHub PoC 検索 | 英 | GitHubコード検索でCVE IDを直接検索。野良PoCの早期発見に。 | 開く |
| 悪用 | X(Twitter)検索 | 日英 | 直近の議論やニュースを観測。In-the-wild悪用の早期検知に有用。 | 開く |
| スキャナ | Snyk Vulnerability DB | 英 | パッケージ別の脆弱性詳細と修正バージョン。OSS依存ライブラリ追跡に有用。 | 開く |
| スキャナ | Tenable(Nessus) | 英 | Nessusスキャナでの検出プラグイン情報。検出ロジックの参考に。 | 開く |
| スキャナ | Rapid7(Metasploit/Nexpose) | 英 | Metasploit悪用モジュール、Nexposeでの検出情報。 | 開く |
掲載しているのは無料でアクセスできる情報源のみです。CVEによっては掲載がないサイトもあります(特にJVN iPediaは日本国内で報告された脆弱性のみ掲載)。
STEP 2: 急ぎ対応すべきか判断する
結論: 中
判断根拠
- CVSS v3.1 スコアは 5.3(Mediumランク)。内容は攻撃元がローカルであり、必要権限が低いがネットワーク越しの攻撃は難しい
- EPSS(実際に悪用される確率)スコアは提供されていない
- ランサムウェアによる悪用情報は現時点で不明
- 公開PoCはなく、攻撃コードは未発見
- 攻撃はローカル権限が必要なため、外部からの自動悪用は困難
誰が動くべきか
- NousResearch hermes-agentを本番投入しているLLM Gateway運用チーム
- Agentフレームワーク開発者(特にCredential Pool機能を使う場合)
- バイブコーダー開発者(CursorやClineなどを安全に利用している場合)
- AIインフラやSRE/SecOpsチーム(ローカルアクセス権限管理を厳格化していることを確認)
STEP 3: 自分の環境が対象か確認する
影響を受けるバージョン
| 製品 | 脆弱なバージョン範囲 | 修正版 |
|---|---|---|
| NousResearch hermes-agent | ~2026.4.23 | ベンダーアドバイザリ参照 |
バージョン確認コマンド
Python (pip)
pip show hermes-agent
出力例:
Name: hermes-agent
Version: 2026.4.23
Summary: Agent framework for NousResearch
...
判定: バージョンが 2026.4.23 以下なら脆弱、それより新しければ安全
Python (poetry)
poetry show hermes-agent
出力例:
name : hermes-agent
version : 2026.4.23
description : Agent framework for NousResearch
判定: バージョンが 2026.4.23 以下なら脆弱、それより新しければ安全
設定確認
この脆弱性は機能の認証処理に起因し、設定による制御はされていません。設定変更の有無にかかわらず、対象バージョンであれば脆弱です。
Nucleiテンプレートでの検出
現時点でCVE-2026-10548を検出する公開Nucleiテンプレートは存在しません。バージョン確認での対応が基本です。
STEP 4: 修正を適用する
パッチ適用
Python (pip) 環境アップグレード例
pip install --upgrade hermes-agent
出力例:
Successfully installed hermes-agent-2026.5.1
判定: バージョンが 2026.4.23 より新しければ修正済み
注意: パッチ適用前に必ずバックアップを取得してください。ステージング環境での検証を行い、本番環境のダウンタイム計画を策定しましょう。
パッチ即時適用ができない場合の暫定対応
ベンダーやCISAからの公式な暫定措置は示されていません。ローカルアカウントのアクセス制限を強化し、不要なユーザ権限を削減してリスクを最小化してください。
STEP 5: 修正されたことを確認する
STEP 3で実行したバージョン確認コマンドを再度実行してください。
期待される出力
Python (pip)
pip show hermes-agent
出力例:
Name: hermes-agent
Version: 2026.5.1
Summary: Agent framework for NousResearch
...
判定: バージョンが 2026.4.24 以上なら修正済みで安全
Python (poetry)
poetry show hermes-agent
出力例:
name : hermes-agent
version : 2026.5.1
description : Agent framework for NousResearch
判定: バージョンが 2026.4.24 以上なら修正済みで安全
追加で確認すべきこと
公開Nucleiテンプレートがないためスキャンは利用できません。ログ監視で不審な認証失敗や権限昇格の試行をチェックしてください。
補足: 悪用観測状況
CVE-2026-10548は、攻撃コードの公開やランサムウェアによる悪用は現時点で報告されていません。CISA KEVにも登録されていますが、ランサムウェア悪用の確認は不明です。積極的な悪用観測はありませんが、攻撃コードが公開され次第、注意が必要です。
補足: CVSSメトリクス詳細
- AV(攻撃元): LOCAL(ローカル)で攻撃者は対象システムのローカルアクセス権限を持つ
- AC(攻撃複雑度): LOW(低)で攻撃は比較的容易
- PR(必要権限): LOW(低)で制限されたユーザー権限でも攻撃可能
- UI(ユーザ操作): NONE(不要)で攻撃にユーザの操作は不要
- S(スコープ): UNCHANGED(変更なし)で攻撃がシステムの範囲内に限定
- C(機密性影響): LOW(低)で情報漏洩の影響は限定的
- I(完全性影響): LOW(低)で改ざん被害は限定的
- A(可用性影響): LOW(低)でサービス停止などの影響は限定的
よくある質問(FAQ)
Q. このCVEに対応するために最低限すべきことは何ですか?
A. まず自分の環境のバージョンを確認し、脆弱な場合は最新の修正版へアップデートしてください。対応手順はSTEP 3からSTEP 5で詳述しています。
Q. パッチが適用できない場合、どうすればよいですか?
A. ローカルアクセス権限の制限を強化し、不必要なユーザ権限を削除してください。現在は公式の暫定対応策は公開されていません。
Q. 既に攻撃を受けているか確認する方法はありますか?
A. 直近のログで認証失敗の多発や、権限昇格を試みる不審な操作を監視してください。公式のIOCはありません。
Q. なぜEPSSスコアが重要なのですか?
A. CVSSは脆弱性の深刻度を示しますが、EPSSは実際に悪用される確率を表します。両方見ることで対応の優先度をより正確に判断できます。
Q. このCVEと類似の脆弱性は他にもありますか?
A. CWE-287に該当する不適切な認証の脆弱性は他にも存在します。認証処理の実装や検証を厳格に行うことが重要です。
参考文献
- NVD – CVE-2026-10548
- MITRE CVE – CVE-2026-10548
- JVN iPedia – CVE-2026-10548
- CISA KEV Catalog
- Debian Security Tracker – CVE-2026-10548
- Ubuntu Security Notices – CVE-2026-10548
- Red Hat CVE – CVE-2026-10548
- SUSE CVE – CVE-2026-10548
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2026-06-09 追記
本記事の公開後、以下の重要な変化が確認されました(公開からの経過: 6日)。
| 項目 | 公開時点 | 2026-06-09時点 | 変化の意味 |
|---|---|---|---|
| 新規GHSAアドバイザリ | 0件 | 1件 | 新たなGitHub Security Advisoryが発行 |
新規GHSAアドバイザリの発行
2026年6月9日までの間に、CVE-2026-10548に関して新たなGitHub Security Advisory(GHSA)が発行されました。これにより、本脆弱性に対するセキュリティ上の注意喚起や、被害・影響範囲、ベストプラクティスに関する具体情報がGitHub上で追加公開されたことになります。
GHSAが発行されたことで、開発者や運用担当者が依存パッケージやCI/CD環境において脆弱性管理を自動化しやすくなり、npm/auditやDependabotなどのツール経由での検出・追跡も強化されます。今後は、GHSA記載の詳細・対応策も確認のうえ、該当パッケージ利用有無や運用ポリシーの見直し、アップデート計画を検討することを推奨します。
2026-06-16 追記
本記事の公開後、以下の重要な変化が確認されました(公開からの経過: 13日)。
| 項目 | 公開時点 | 2026-06-16時点 | 変化の意味 |
|---|---|---|---|
| 新規GHSAアドバイザリ | 0件 | 1件 | 新たなGitHub Security Advisoryが発行 |
新規GHSAアドバイザリの発行
2026-06-16時点で「新規GHSAアドバイザリ」の項目が、「0件」から「1件」へと変化しました。これは、脆弱性CVE-2026-10548について、新たにGitHub Security Advisory(GHSA)が発行されたことを意味します。
GHSAは、オープンソースプロジェクトやパッケージ管理の現場で広く参照される第一級の脆弱性アドバイザリであり、特にソフトウェア開発者やDevOps運用者にとって、信頼性の高い公式ソースです。GHSAの発行によって、該当パッケージ利用者の脆弱性管理ツール(例:DependabotやGitHub Advanced Security)が自動的に検知・通知できるようになります。運用面では、該当ライブラリや依存パッケージの脆弱性検査を再実施し、関連プロジェクトでの影響調査および迅速なアップデートの検討を推奨します。今後もGHSAで公開される修正・緩和策の情報を必ずご確認ください。
