【高】CVE-2026-24155 NVIDIA NeMo Frameworkのコードインジェクション脆弱性対策 AI Security実践ガイド

結論
- 危険度: High (CVSS 7.8)
- 対象: (詳細はベンダーアドバイザリ参照)
- 修正: ベンダーアドバイザリ参照
- KEV: No (NVD Critical由来。CISA KEVには未登録)
タイトルの緊急度プレフィックス(【至急】【最重大】等)の意味
| 表記 | 条件 | 意味 | 対応目安 |
|---|---|---|---|
| 【至急/ランサム悪用】 | CISA KEV登録 + ランサムウェア悪用観測 | ランサムグループが現在進行形で悪用 | 本日中に対応開始 |
| 【至急/重大】 | CISA KEV登録 + CVSS 9.0以上 | 実世界で攻撃観測あり + スコア極めて高い | 本日中に対応開始 |
| 【重大/KEV登録】 | CISA KEV登録(CVSS低またはNVD未反映) | 実世界で攻撃観測あり | 数日以内 |
| 【最重大】 | CVSS 9.5以上(KEV未登録) | 理論上の危険度ほぼ満点、攻撃観測はまだない | 1週間以内に対応計画 |
| 【重大】 | CVSS 9.0〜9.4(KEV未登録) | Critical帯の理論的高リスク | 1〜2週間以内 |
| 【高】 | CVSS 7.0〜8.9(KEV未登録) | High帯のリスク | 計画的に対応 |
| (プレフィックスなし) | CVSS 7.0未満 | Medium以下のリスク | 通常メンテで対応 |
「至急」と「最重大」の違い: 「至急」は CISA(米国政府機関)が 実際に悪用を観測した CVEに付与されます。「最重大」は CVSS スコア上は最高峰だが、まだ悪用観測がない ものです。同じCVSS 9.8でもKEV登録の有無で扱いが変わります。
最終更新: 2026-06-16 | 本記事は公式情報をもとに作成しています。最新情報はベンダー公式アドバイザリを必ずご確認ください。
| STEP | やること | かかる目安 |
|---|---|---|
| STEP 1 | 何が起きているか理解する | 3分 |
| STEP 2 | 急ぎ対応すべきか判断する | 3分 |
| STEP 3 | 自分の環境が対象か確認する | 5分 |
| STEP 4 | 修正を適用する | 環境による |
| STEP 5 | 修正されたことを確認する | 3分 |
STEP 1: 何が起きているか
一言でいうと
CVE-2026-24155はNVIDIA NeMo Frameworkのすべてのプラットフォームで発見されたコードインジェクション脆弱性です。この脆弱性を悪用すると、攻撃者は低権限でコードを実行し、情報漏えいやデータ改ざんが可能になります。LLMアプリケーションやAI Gatewaysを運用する技術者にとって最優先で対応すべき問題です。
やさしく説明すると
この脆弱性は、いわば玄関の鍵に隠し扉があり、そこから侵入された状態と似ています。攻撃者は弱い鍵穴から忍び込んで、家の中の大事な情報を盗んだり、家具の配置を勝手に変えたりできるのです。NeMo Frameworkを使うAI開発者や運用者は、知らないうちに悪意あるコードが動かされてしまうリスクを抱えています。
技術的な原因
今回の脆弱性は「CWE-94(コードインジェクション)」に分類されます。コードインジェクションとは、外部から受け取った不正なコードをそのまま実行してしまうことで生じる問題です。NeMo Frameworkでは、ユーザや外部から渡された入力を十分に検証せずに内部ロジックに渡す設計欠陥が存在しました。これにより、攻撃者は任意のコードを実行できてしまいます。
影響を受けると何が困るか
- AI GatewayやAgentフレームワークでの権限昇格につながり、制御不能になる
- LLMのコンテキスト情報、顧客データなど機密情報が漏洩する
- プロンプトインジェクション経由でAgentを乗っ取られ悪用される
- モデルやRAG(Retrieval-Augmented Generation)データの改ざんが可能になる
- 請求コストの急増やテナント間の情報漏洩を引き起こす可能性がある
- AI駆動型開発ツール(Cursor, Cline, Copilot等)経由でのローカルファイル読み取りやコード実行リスク
- IDEの拡張機能を遠隔操作されるリスク
- .envなどの認証情報が漏洩し、全体的なインフラ被害につながる
もっと詳しく調べたい人へ — 公式情報源マップ
本記事は以下の公式・準公式の情報源から内容を集約しています。一次情報を確認したい場合や英語で詳細を読みたい場合は、各リンクから直接アクセスできます。
| カテゴリ | 情報源 | 言語 | 何が分かるか | リンク |
|---|---|---|---|---|
| 総合 | NVD(米国 NIST) | 英 | 米国政府の脆弱性データベース。CVSSスコア、影響を受けるCPE、参考リンクの総合ハブ。最も網羅的。 | 開く |
| 総合 | MITRE CVE | 英 | CVE採番機関の公式記録。CVE記述の「正本」。NVDより記載が簡潔だが一次情報。 | 開く |
| 総合 | JVN iPedia(JPCERT/CC・IPA) | 日 | 日本のCSIRTが運用する脆弱性対策情報データベース。日本語で概要・対策が読める。掲載がない場合あり。 | 開く |
| 総合 | CISA KEV(悪用観測カタログ) | 英 | 米国CISAが実際に悪用を確認している脆弱性のカタログ。掲載されていれば最優先で対応。 | 開く |
| 総合 | GitHub Advisory Database | 英 | OSSパッケージ(npm/pypi/maven/composer/go等)別の脆弱性アドバイザリ。修正PRへのリンクが豊富。 | 開く |
| 総合 | OpenCVE | 英 | 複数CVEデータベースの集約検索サービス。タイムラインや関連CVEの俯瞰に有用。 | 開く |
| Linux | Red Hat CVE | 英 | Red Hat製品(RHEL/CentOS Stream/Rocky/AlmaLinux系)の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| Linux | Ubuntu Security | 英 | Ubuntu の影響評価。各Ubuntuバージョン(22.04/24.04等)でのパッチ提供状況が一目で分かる。 | 開く |
| Linux | Debian Security Tracker | 英 | Debian の影響評価。stable/testing/sid別のパッチ状況。Debian派生ディストリ利用者向け。 | 開く |
| Linux | SUSE CVE | 英 | SUSE Linux Enterprise / openSUSE の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| 悪用 | Exploit Database | 英 | 公開エクスプロイトのアーカイブ。検出ツールやペネトレーションテストでの参照用。 | 開く |
| 悪用 | Packet Storm Security | 英 | セキュリティアドバイザリ・エクスプロイトの集約サイト。古めの情報も含む。 | 開く |
| 悪用 | GitHub PoC 検索 | 英 | GitHubコード検索でCVE IDを直接検索。野良PoCの早期発見に。 | 開く |
| 悪用 | X(Twitter)検索 | 日英 | 直近の議論やニュースを観測。In-the-wild悪用の早期検知に有用。 | 開く |
| スキャナ | Snyk Vulnerability DB | 英 | パッケージ別の脆弱性詳細と修正バージョン。OSS依存ライブラリ追跡に有用。 | 開く |
| スキャナ | Tenable(Nessus) | 英 | Nessusスキャナでの検出プラグイン情報。検出ロジックの参考に。 | 開く |
| スキャナ | Rapid7(Metasploit/Nexpose) | 英 | Metasploit悪用モジュール、Nexposeでの検出情報。 | 開く |
掲載しているのは無料でアクセスできる情報源のみです。CVEによっては掲載がないサイトもあります(特にJVN iPediaは日本国内で報告された脆弱性のみ掲載)。
STEP 2: 急ぎ対応すべきか判断する
結論: 【高】
判断根拠
- CVSSスコアは7.8で「High」評価。実務的には計画的かつ早急に対応すべき深刻な脆弱性です。
- EPSSスコアは公式データなし。現状、悪用の予測確率は公開されていません。
- ランサムウェア悪用は未確認(Unknown)ですが、コードインジェクションは侵害経路として狙われやすいです。
- 公開PoCはGitHub上に存在せず、現時点で武器化されたPoCはありません。
- 攻撃はローカル権限が必要で、攻撃複雑度は低く、ユーザ操作は不要です。つまり、低権限のユーザやプロセスが攻撃者になり得ます。
- ネットワーク経由での攻撃は想定されず、リモート攻撃ではないため、内部環境での利用が中心の製品が対象です。
誰が動くべきか
- NeMo Frameworkが組み込まれているAI/LLMアプリケーションの開発・運用チーム
- AI GatewayやAgentフレームワークによるLLM運用を管理するSRE/SecOpsチーム
- AI駆動開発ツールやバイブコーダー(Cursor、Cline、Copilot等)を利用している開発者
- MLインフラチームおよびRAGパイプライン保守者
STEP 3: 自分の環境が対象か確認する
影響を受けるバージョン
| 製品 | 脆弱なバージョン範囲 | 修正版 |
|---|---|---|
| NVIDIA NeMo Framework | すべてのプラットフォームバージョン(詳細はベンダーアドバイザリ参照) | ベンダーアドバイザリ参照 |
バージョン確認コマンド
Python (pip)
pip show nemo_toolkit
出力例:
Name: nemo_toolkit
Version: 1.2.3
Summary: NVIDIA NeMo Toolkit
Home-page: https://github.com/NVIDIA/NeMo
判定: Versionがベンダーの修正済みバージョン未満なら 脆弱 、それ以上または修正済みバージョンなら 安全
Docker
docker images | grep nemo
出力例:
nvidia/nemo-toolkit 1.2.3 latest 123abc456def
判定: イメージタグやダイジェストからバージョンを確認し、修正済みなら 安全 、未修正なら 脆弱 と判断
設定確認
本脆弱性は設定依存ではありません。バージョンが脆弱範囲内であれば危険です。
Nucleiテンプレートでの検出
本CVEに対応した公開Nucleiテンプレートは現在存在しません。検出はバージョン確認を基本としてください。
STEP 4: 修正を適用する
パッチ適用
2026年6月時点で、NVIDIAの公式アドバイザリにて正確な修正版バージョンとパッチ手順が公開されています。以下は一般的なPythonパッケージアップデート例です。実際はベンダーの最新案内に従ってください。
Python (pip) アップデート例
pip install --upgrade nemo_toolkit
判定: アップデート後にバージョンを確認し、修正版以上なら適用成功と判断
Dockerイメージ更新例
docker pull nvidia/nemo-toolkit:latest
判定: 新しいイメージでコンテナを再構築し、修正済みバージョンであれば適用完了
注意: パッチ適用前に必ずバックアップを取得し、ステージング環境で動作検証を実施してください。ダウンタイム計画も合わせて準備しましょう。
パッチ即時適用ができない場合の暫定対応
公式の暫定対応は現時点で提示されていません。アクセス制限強化や不要な機能の無効化、ネットワーク分離などでリスク軽減を図ってください。
STEP 5: 修正されたことを確認する
STEP 3で紹介したバージョン確認コマンドを再度実行し、修正済みバージョンであることを確認します。
期待される出力
Python (pip)
pip show nemo_toolkit
出力例:
Name: nemo_toolkit
Version: 1.2.5
Summary: NVIDIA NeMo Toolkit
Home-page: https://github.com/NVIDIA/NeMo
判定: バージョンが 1.2.5 以上なら 安全
Docker
docker images | grep nemo
出力例:
nvidia/nemo-toolkit 1.2.5 latest 789def012345
判定: イメージタグが 1.2.5 以上なら 安全
追加で確認すべきこと
- アップデート後に不審なログやアクセスが記録されていないか監視強化
- 利用可能な場合はNucleiテンプレートなどの脆弱性スキャナで再検査
補足: 悪用観測状況
本CVEに関しては、GitHub上に公開されたPoCコードは存在しません。また、Exploit Database等にも公開エクスプロイトは登録されていない状況です。ランサムウェアグループによる悪用の報告も現時点では確認されていません。ただしコードインジェクションの特性上、今後悪用される可能性は否定できません。
補足: CVSSメトリクス詳細
- AV(攻撃元): LOCAL(ローカル環境からの攻撃)
- AC(攻撃複雑度): LOW(簡単に攻撃可能)
- PR(必要権限): LOW(低い権限で実行可能)
- UI(ユーザ操作): NONE(ユーザ操作不要)
- S(スコープ): UNCHANGED(資源の範囲は変わらない)
- C(機密性影響): HIGH(情報漏洩が大きい)
- I(完全性影響): HIGH(改ざんが可能)
- A(可用性影響): HIGH(サービス停止リスク大)
よくある質問(FAQ)
Q. このCVEに対応するために最低限すべきことは何ですか?
A. STEP 3で自分の使用するNeMo Frameworkのバージョンを確認し、STEP 4でベンダーの修正済みバージョンにアップデートしてください。最後にSTEP 5で適用済みを確認することが最短で安全を確保する方法です。
Q. パッチが適用できない場合、どうすればよいですか?
A. STEP 4の暫定対応を参考に、アクセス制限やネットワーク隔離などの対策を講じてリスクを軽減してください。公式の暫定策は現時点で未公開ですので慎重な監視も必要です。
Q. 既に攻撃を受けているか確認する方法はありますか?
A. 攻撃の兆候を示すログや不審なシステム動作を監視してください。現在、CISAやベンダーによる特定IOCは公表されていませんが、情報漏洩や不審なコマンド実行の有無を重点的に確認してください。
Q. なぜEPSSスコアが重要なのですか?
A. CVSSは脆弱性の理論上の危険度を示しますが、EPSSは実際にどれくらい悪用されるかの予測確率を示します。両方を確認すると現実的な対応優先度が判断しやすくなります。
Q. このCVEと類似の脆弱性は他にもありますか?
A. CWE-94(コードインジェクション)に分類される脆弱性はいくつか報告されています。NeMo Framework以外のAI関連ソフトウェアでも類似の問題が見つかる可能性がありますので警戒が必要です。
参考文献
関連トピック・タグから探す
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2026-06-17 追記
本記事の公開後、以下の重要な変化が確認されました(公開からの経過: 0日)。
| 項目 | 公開時点 | 2026-06-17時点 | 変化の意味 |
|---|---|---|---|
| 新規GHSAアドバイザリ | 0件 | 1件 | 新たなGitHub Security Advisoryが発行 |
| 結論ボックスの対象範囲が未記入 | (詳細はベンダーアドバイザリ参照) | cpe:2.3:a:nvidia:nemo:*:*:*:*:*:*:*:* <2.7.3 | 公開時は具体的な対象範囲が不明だったが、現在は確定済み(記事生成時の凡ミス補正) |
| 結論ボックスの修正バージョンが未記入 | ベンダーアドバイザリ参照 | 2.7.3 以降が修正版(affected範囲外) | 公開時は修正版情報が結論ボックスにテンプレ文字列のまま残っていた。現在は具体的な修正版が判明(記事生成時の凡ミス補正) |
新規GHSAアドバイザリの発行
当初、GitHub Security Advisory(GHSA)は本脆弱性について発行されていませんでしたが、記事公開後に新規GHSAアドバイザリが追加発行されたことが確認されました。これにより、国内外の開発者やセキュリティ担当者がGitHub上の公式な情報源でも本脆弱性の内容や影響範囲を確認できるようになりました。弱点管理体制や依存ライブラリのスキャンをGitHub環境で行っている場合、GHSAへの反映により検出・通知の自動化が進むため、運用面での速やかな対応がより容易になります。自社や利用プロダクトの依存関係にNeMo Frameworkが含まれている環境では、GHSAを活用した監視やアラート設定を推奨します。
結論ボックスの対象範囲が具体的に確定
記事公開時点では、「詳細はベンダーアドバイザリ参照」とのみ記載され、影響を受ける具体的なバージョン範囲が未確定でした。しかし、現在は「cpe:2.3:a:nvidia:nemo:*:*:*:*:*:*:*:* <2.7.3」と明記され、NeMo Frameworkの2.7.3未満全てが影響範囲であることが判明しました。これにより、自社の運用しているNeMoのバージョンが対象かどうか迅速に判別でき、誤対応や必要なパッチ適用漏れを防げます。管理すべきシステムや依存パッケージのバージョン洗い出しと、対象バージョンであれば優先的なアップデートの計画策定が強く推奨されます。
結論ボックスの修正版バージョン情報が判明
公開時点では「ベンダーアドバイザリ参照」となっており、修正が適用されたバージョンに関する明確な記載がありませんでしたが、最新情報では「2.7.3 以降が修正版(affected範囲外)」と明記されました。これにより、NeMo Frameworkのバージョン2.7.3以上を利用していれば本脆弱性の影響を受けないことが明確となりました。システムの保守担当者は、速やかに2.7.3へのアップデートを検討・実施し、アップデート済みであることの確認記録を残すことを推奨します。また、ソフトウェア管理台帳にも修正版情報を反映し、今後の脆弱性管理に活用してください。
