CVE-2026-2614 mlflowにおける未認証ファイル読み取りのパストラバーサル脆弱性 AI Security対策ガイド

結論
- 危険度: 情報なし
- 対象: (詳細はベンダーアドバイザリ参照)
- 修正: ベンダーアドバイザリ参照
- KEV: No (NVD Critical由来。CISA KEVには未登録)
タイトルの緊急度プレフィックス(【至急】【最重大】等)の意味
| 表記 | 条件 | 意味 | 対応目安 |
|---|---|---|---|
| 【至急/ランサム悪用】 | CISA KEV登録 + ランサムウェア悪用観測 | ランサムグループが現在進行形で悪用 | 本日中に対応開始 |
| 【至急/重大】 | CISA KEV登録 + CVSS 9.0以上 | 実世界で攻撃観測あり + スコア極めて高い | 本日中に対応開始 |
| 【重大/KEV登録】 | CISA KEV登録(CVSS低またはNVD未反映) | 実世界で攻撃観測あり | 数日以内 |
| 【最重大】 | CVSS 9.5以上(KEV未登録) | 理論上の危険度ほぼ満点、攻撃観測はまだない | 1週間以内に対応計画 |
| 【重大】 | CVSS 9.0〜9.4(KEV未登録) | Critical帯の理論的高リスク | 1〜2週間以内 |
| 【高】 | CVSS 7.0〜8.9(KEV未登録) | High帯のリスク | 計画的に対応 |
| (プレフィックスなし) | CVSS 7.0未満 | Medium以下のリスク | 通常メンテで対応 |
「至急」と「最重大」の違い: 「至急」は CISA(米国政府機関)が 実際に悪用を観測した CVEに付与されます。「最重大」は CVSS スコア上は最高峰だが、まだ悪用観測がない ものです。同じCVSS 9.8でもKEV登録の有無で扱いが変わります。
最終更新: 2026-05-12 | 本記事は公式情報をもとに作成しています。最新情報はベンダー公式アドバイザリを必ずご確認ください。
| STEP | やること | かかる目安 |
|---|---|---|
| STEP 1 | 何が起きているか理解する | 3分 |
| STEP 2 | 急ぎ対応すべきか判断する | 2分 |
| STEP 3 | 自分の環境が対象か確認する | 5分 |
| STEP 4 | 修正を適用する | 環境により変動 |
| STEP 5 | 修正されたことを確認する | 3分 |
STEP 1: 何が起きているか
一言でいうと
CVE-2026-2614 は mlflow/mlflow バージョン 3.9.0 以前にある脆弱性で、攻撃者が認証なしでサーバの任意のファイルを読み取れます。LLMゲートウェイやAIモデル管理の運用者にとっては情報漏洩の重大リスクです。
やさしく説明すると
この脆弱性は、例えるなら「玄関の鍵がかかっていない」状態です。外部の誰でも勝手にドアを開けて、家の中の大事な書類を見られてしまうようなものです。具体的には、特定のタグがついたリクエストが来ると、本来チェックすべきファイルの場所を疑わず使ってしまうため、攻撃者は自由にファイルを盗み見できます。AIセキュリティの現場では、重要な設定ファイルや秘密情報が一気に漏洩し、システム全体の信頼性が揺らぎます。
技術的な原因
原因は _create_model_version() ハンドラー(処理関数)が、外部からリクエストに含まれるタグ mlflow.prompt.is_prompt によってファイルパス検証をバイパスできる点です。
このタグがあると、サーバは「モデルバージョンの元ファイルの場所」を無検査で受け入れ、get_model_version_artifact_handler() はそのパスを信頼してファイルを配信します。これにより攻撃者は任意のファイルを読み取れます。CWEで言うと CWE-22(パス・トラバーサル) に該当します。パス・トラバーサルは不正なパス操作で予期しないファイルへのアクセスを許す脆弱性です。
影響を受けると何が困るか
- APIキー(OpenAI/Anthropic等)やトークンなどの秘密情報が漏洩する
- LLMのコンテキスト情報や顧客データが盗まれるリスクがある
- AI GatewayやAgentフレームワークの運用データが漏れてサービスの信用失墜
- プロンプトインジェクション攻撃やエージェント乗っ取りの下地となる
- モデルのバージョン管理データやRAG(Retrieval-Augmented Generation)データの改ざんや盗聴リスクが高まる
- 請求コストが増える不正利用のリスク
- 複数テナント間の情報漏洩やインフラ全体への横展開被害につながる可能性
- Cursor/Cline/ Copilot などAIコーディングツール経由でのローカルファイル読み取り・任意コード実行の起点になる恐れ
もっと詳しく調べたい人へ — 公式情報源マップ
本記事は以下の公式・準公式の情報源から内容を集約しています。一次情報を確認したい場合や英語で詳細を読みたい場合は、各リンクから直接アクセスできます。
| カテゴリ | 情報源 | 言語 | 何が分かるか | リンク |
|---|---|---|---|---|
| 総合 | NVD(米国 NIST) | 英 | 米国政府の脆弱性データベース。CVSSスコア、影響を受けるCPE、参考リンクの総合ハブ。最も網羅的。 | 開く |
| 総合 | MITRE CVE | 英 | CVE採番機関の公式記録。CVE記述の「正本」。NVDより記載が簡潔だが一次情報。 | 開く |
| 総合 | JVN iPedia(JPCERT/CC・IPA) | 日 | 日本のCSIRTが運用する脆弱性対策情報データベース。日本語で概要・対策が読める。掲載がない場合あり。 | 開く |
| 総合 | CISA KEV(悪用観測カタログ) | 英 | 米国CISAが実際に悪用を確認している脆弱性のカタログ。掲載されていれば最優先で対応。 | 開く |
| 総合 | GitHub Advisory Database | 英 | OSSパッケージ(npm/pypi/maven/composer/go等)別の脆弱性アドバイザリ。修正PRへのリンクが豊富。 | 開く |
| 総合 | OpenCVE | 英 | 複数CVEデータベースの集約検索サービス。タイムラインや関連CVEの俯瞰に有用。 | 開く |
| Linux | Red Hat CVE | 英 | Red Hat製品(RHEL/CentOS Stream/Rocky/AlmaLinux系)の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| Linux | Ubuntu Security | 英 | Ubuntu の影響評価。各Ubuntuバージョン(22.04/24.04等)でのパッチ提供状況が一目で分かる。 | 開く |
| Linux | Debian Security Tracker | 英 | Debian の影響評価。stable/testing/sid別のパッチ状況。Debian派生ディストリ利用者向け。 | 開く |
| Linux | SUSE CVE | 英 | SUSE Linux Enterprise / openSUSE の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| 悪用 | Exploit Database | 英 | 公開エクスプロイトのアーカイブ。検出ツールやペネトレーションテストでの参照用。 | 開く |
| 悪用 | Packet Storm Security | 英 | セキュリティアドバイザリ・エクスプロイトの集約サイト。古めの情報も含む。 | 開く |
| 悪用 | GitHub PoC 検索 | 英 | GitHubコード検索でCVE IDを直接検索。野良PoCの早期発見に。 | 開く |
| 悪用 | X(Twitter)検索 | 日英 | 直近の議論やニュースを観測。In-the-wild悪用の早期検知に有用。 | 開く |
| スキャナ | Snyk Vulnerability DB | 英 | パッケージ別の脆弱性詳細と修正バージョン。OSS依存ライブラリ追跡に有用。 | 開く |
| スキャナ | Tenable(Nessus) | 英 | Nessusスキャナでの検出プラグイン情報。検出ロジックの参考に。 | 開く |
| スキャナ | Rapid7(Metasploit/Nexpose) | 英 | Metasploit悪用モジュール、Nexposeでの検出情報。 | 開く |
掲載しているのは無料でアクセスできる情報源のみです。CVEによっては掲載がないサイトもあります(特にJVN iPediaは日本国内で報告された脆弱性のみ掲載)。
STEP 2: 急ぎ対応すべきか判断する
結論: 低
判断根拠
- CVSSスコアは未公開だが、CWE-22パス・トラバーサルであり重要な情報漏洩リスクを含む
- EPSSスコアは0.04%(直近30日で悪用される確率)で低く、即時の大量悪用は報告されていない
- CISA KEV(Known Exploited Vulnerabilities、既知悪用脆弱性カタログ)には登録されていない
- ランサムウェアによる悪用は確認されていない
- 公開PoC(Proof of Concept、実証コード)は存在しない
- ネットワーク経由で認証不要というリスクは高いが、現在のところ悪用の観測がないため、緊急度は低い
誰が動くべきか
- LLMアプリケーションやAI Gatewayを運用しているエンジニアおよび運用チーム
- Agentフレームワーク開発者(LangChainやAutoGenなど)
- MLインフラチーム(vLLM/Triton等)
- RAGパイプライン保守者
- バイブコーダー開発者(Cursor/Cline/Aider/GitHub Copilot/Claude Code等利用者)
STEP 3: 自分の環境が対象か確認する
影響を受けるバージョン
| 製品 | 脆弱なバージョン範囲 | 修正版 |
|---|---|---|
| mlflow/mlflow | <= 3.9.0 | 3.10.0 以上 |
バージョン確認コマンド
Python(pip)
pip show mlflow
出力例:
Name: mlflow
Version: 3.9.0
Summary: MLflow: An open source platform for the machine learning lifecycle
...
判定: Version: 3.9.0 以下なら脆弱、3.10.0 以上なら安全
Python(pip list + grep)
pip list | grep mlflow
出力例:
mlflow 3.9.0
判定: 3.9.0 以下で脆弱
設定確認
この脆弱性は設定依存ではありません。脆弱なバージョンを使っていれば、すぐに攻撃される可能性があります。
Nucleiテンプレートでの検出
本CVEについては公開されたNucleiテンプレートは現状ありません。検出はバージョン確認により行ってください。
STEP 4: 修正を適用する
パッチ適用
Python(pip アップグレード)
pip install --upgrade mlflow
出力例:
Collecting mlflow
Downloading mlflow-3.10.0-py3-none-any.whl (15.4 MB)
Installing collected packages: mlflow
Successfully installed mlflow-3.10.0
判定: mlflow 3.10.0 以上になれば安全
注意: アップグレード前に必ずサービスのバックアップを取得し、ステージング環境で動作検証してください。ダウンタイムの影響も事前に評価しましょう。
パッチ即時適用ができない場合の暫定対応
現状、公式の暫定対応策は提供されていません。可能な限り外部からの不要なアクセス制御、ネットワーク分離、WAFやIPSで異常リクエストのブロックを検討してください。
STEP 5: 修正されたことを確認する
STEP 3 で実行したバージョン確認コマンドを再度実行してください。
期待される出力
Python(pip show mlflow)
pip show mlflow
出力例:
Name: mlflow
Version: 3.10.0
Summary: MLflow: An open source platform for the machine learning lifecycle
...
判定: バージョンが 3.10.0 以上なら安全
追加で確認すべきこと
- もしNucleiテンプレートが今後公開されたら再実行する
- サーバのアクセスログを調査し、該当脆弱性の悪用を試みたログがないか確認する
補足: 悪用観測状況
現在、CVE-2026-2614についてCISA KEV登録はされていますがランサムウェアなどによる悪用は判明していません。GitHub上の公開PoCコードは存在せず、ペネトレーションテストやスキャナ向けの公開エクスプロイトも報告されていません。したがって現状は低リスクですが、将来的な悪用に備えて迅速なバージョンアップが望まれます。
補足: CVSSメトリクス詳細
- AV(攻撃ベクター / Attack Vector): ネットワーク経由
- AC(攻撃の難易度 / Attack Complexity): 低(特別な条件無しに攻撃可能)
- PR(攻撃者の権限レベル / Privileges Required): なし(認証不要)
- UI(ユーザ操作の必要性 / User Interaction): なし
- S(スコープ / Scope): 脆弱なコンポーネント1つに影響
- C(機密性影響度 / Confidentiality Impact): 高(任意のファイルを読み取り可能)
- I(完全性影響度 / Integrity Impact): なし
- A(可用性影響度 / Availability Impact): なし
よくある質問(FAQ)
Q. このCVEに対応するために最低限すべきことは何ですか?
A. STEP 3のバージョン確認を行い、対象バージョンを利用している場合はSTEP 4の通りに3.10.0以上へアップデートしてください。
Q. パッチが適用できない場合、どうすればよいですか?
A. 公式の暫定対策はありませんが、WAFやIPSで不要なアクセスを遮断し、管理ネットワークに分離するなどの運用対策を検討してください。
Q. 既に攻撃を受けているか確認する方法はありますか?
A. サーバのアクセスログを調べ、「mlflow.prompt.is_prompt」タグを含む異常リクエストがないかを確認してください。
Q. なぜEPSSスコアが重要なのですか?
A. CVSSは脆弱性の理論的な深刻度を示しますが、EPSSは「実際に悪用される確率」を示します。両方を見ることで対応の優先度がより正確に判断できます。
Q. このCVEと類似の脆弱性は他にもありますか?
A. CWE-22分類のパス・トラバーサル脆弱性は他の多くのソフトウェアにも存在する可能性があります。mlflow以外のAI/LLM関連ツールでも注意が必要です。
参考文献
- NVD – CVE-2026-2614 詳細
- GitHub Advisory Database – GHSA-42h5-h8qh-vv9v
- mlflow GitHub 修正コミット
- Huntr 脆弱性報告
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2026-06-26 追記
本記事の公開後、以下の重要な変化が確認されました(公開からの経過: 6日)。
| 項目 | 公開時点 | 2026-06-26時点 | 変化の意味 |
|---|---|---|---|
| CVSSスコア変化 | 9 (Critical) | 7.5 (HIGH) | NVD再評価でスコアが下方修正 |
| 結論ボックスの対象範囲が未記入 | (詳細はベンダーアドバイザリ参照) | cpe:2.3:a:lfprojects:mlflow:*:*:*:*:*:*:*:* <3.10.0 | 公開時は具体的な対象範囲が不明だったが、現在は確定済み(記事生成時の凡ミス補正) |
| 結論ボックスの修正バージョンが未記入 | ベンダーアドバイザリ参照 | 1件のパッチリンクあり(https://github.com/mlflow/mlflow/commit/6e801f4259d96804c73107315b24cef0f6aa115a 等) | 公開時は修正版情報が結論ボックスにテンプレ文字列のまま残っていた。現在は具体的な修正版が判明(記事生成時の凡ミス補正) |
| タイトルプレフィックス未付与 | (プレフィックスなし) | 【高】 | 公開時はタイトルに危険度プレフィックスが付いていない。最新状況では付与が妥当(記事生成時の凡ミス補正) |
CVSSスコア変化
本脆弱性のCVSSスコアは、公開時点で「9 (Critical)」とされていましたが、その後NVDによる再評価により「7.5 (HIGH)」へと下方修正されています。これにより、当初想定されていたクリティカルなリスクよりも、やや低い(High帯)リスクに整理されました。現場では「即時の緊急対応」から「計画的な対応」への優先度見直しが妥当です。ただし、依然として遠隔から認証なしで攻撃が成立する実装上の弱点自体は続いていますので、放置は推奨できません。
結論ボックスの対象範囲が未記入
初回公開時には「詳細はベンダーアドバイザリ参照」として具体的な影響範囲が不明確でしたが、現時点では「cpe:2.3:a:lfprojects:mlflow:*:*:*:*:*:*:*:* <3.10.0」としてMLflow v3.10.0未満が明確な影響対象であると確定しています。自環境で運用中のMLflowのバージョンがこの範囲に該当するか早急に確認し、影響範囲を正確に把握したうえで対応計画を立ててください。範囲が定まったことで、対象外であれば不要なリスク対策作業を回避できます。
結論ボックスの修正バージョンが未記入
公開時は「ベンダーアドバイザリ参照」というテンプレ表記になっていましたが、現在は「1件のパッチリンクあり(https://github.com/mlflow/mlflow/commit/6e801f4259d96804c73107315b24cef0f6aa115a 等)」と、具体的な修正版パッチ情報が確定しています。これにより、パッケージ管理・CI/CD環境などで「どのバージョン以降で修正を適用すべきか」や「どのコミットで修正されたか」が明確になり、より迅速かつ確実なアップデート対応が可能です。セキュリティパッチ適用作業に際しては、本パッチへの追従を優先してください。
タイトルプレフィックス未付与
これまで記事タイトルに危険度プレフィックス(例:【高】)が付与されていませんでしたが、現時点の最新評価に基づき「【高】」を冠するのが妥当と判断されました。CVSSスコアのHigh帯に相当することからも、関係する担当者にとって「優先度高めの注意喚起」としての補正となります。今後もタイトル表記は適切な危険度に従い都度見直されますので、定期的に記事内容と危険度表記の両方をチェックすることを推奨します。
