CVE-2026-42203 LiteLLM Proxyにおける認証済みユーザーからのリモートコード実行(RCE)脆弱性 AI Gateway運用者向け緊急対応ガイド

結論
- 危険度: 情報なし
- 対象: (詳細はベンダーアドバイザリ参照)
- 修正: ベンダーアドバイザリ参照
- KEV: No (NVD Critical由来。CISA KEVには未登録)
タイトルの緊急度プレフィックス(【至急】【最重大】等)の意味
| 表記 | 条件 | 意味 | 対応目安 |
|---|---|---|---|
| 【至急/ランサム悪用】 | CISA KEV登録 + ランサムウェア悪用観測 | ランサムグループが現在進行形で悪用 | 本日中に対応開始 |
| 【至急/重大】 | CISA KEV登録 + CVSS 9.0以上 | 実世界で攻撃観測あり + スコア極めて高い | 本日中に対応開始 |
| 【重大/KEV登録】 | CISA KEV登録(CVSS低またはNVD未反映) | 実世界で攻撃観測あり | 数日以内 |
| 【最重大】 | CVSS 9.5以上(KEV未登録) | 理論上の危険度ほぼ満点、攻撃観測はまだない | 1週間以内に対応計画 |
| 【重大】 | CVSS 9.0〜9.4(KEV未登録) | Critical帯の理論的高リスク | 1〜2週間以内 |
| 【高】 | CVSS 7.0〜8.9(KEV未登録) | High帯のリスク | 計画的に対応 |
| (プレフィックスなし) | CVSS 7.0未満 | Medium以下のリスク | 通常メンテで対応 |
「至急」と「最重大」の違い: 「至急」は CISA(米国政府機関)が 実際に悪用を観測した CVEに付与されます。「最重大」は CVSS スコア上は最高峰だが、まだ悪用観測がない ものです。同じCVSS 9.8でもKEV登録の有無で扱いが変わります。
最終更新: 2026-05-12 | 本記事は公式情報をもとに作成しています。最新情報はベンダー公式アドバイザリを必ずご確認ください。
| STEP | やること | かかる目安 |
|---|---|---|
| STEP 1 | 何が起きているか理解する | 5分 |
| STEP 2 | 急ぎ対応すべきか判断する | 3分 |
| STEP 3 | 自分の環境が対象か確認する | 5分 |
| STEP 4 | 修正を適用する | 環境による |
| STEP 5 | 修正されたことを確認する | 3分 |
STEP 1: 何が起きているか
一言でいうと
CVE-2026-42203は、LiteLLMのAIゲートウェイが認証済みユーザーに任意コード実行を許し、APIキーなど機密情報が漏洩する脆弱性です。LLMゲートウェイ運用者にとって最優先対応が必要な問題です。
やさしく説明すると
LiteLLMはAIへのリクエストを仲介する玄関のようなサーバです。しかし、その玄関の「テスト用入口(/prompts/test)」で鍵のかけ忘れがありました。そこに入った攻撃者は、自由に命令を実行でき、内部の秘密の書類(APIキーやデータベースの認証情報)を勝手に見たり使ったりできます。つまり、ご自宅の玄関の鍵が壊れていて、誰でも家の中を好き勝手にできるイメージです。
技術的な原因
問題は、LiteLLMの脆弱なバージョン(1.80.5から1.83.7未満)のPOSTリクエストの特定エンドポイント(/prompts/test)が、利用者から送られたプロンプトテンプレートをサンドボックス(隔離環境)なしでレンダリング(処理)したことにあります。サンドボックスなしでのテンプレートレンダリングは、CWE-1336「Improper Control of Dynamically-Managed Code Resources(動的管理コードリソースの不適切な制御)」に該当します。このため、認証済みユーザーは任意のコードをLiteLLMプロセス内で実行可能になりました。
影響を受けると何が困るか
- APIキー(OpenAI/Anthropicなど)の漏洩による不正利用。
- LLMのコンテキスト情報や顧客データの窃取。
- プロンプトインジェクションを通じたAgentの乗っ取り。
- RAG(情報検索強化生成)データやモデルの改ざん。
- ホストOS上のコマンド実行による権限昇格や横展開。
- AIコーディングツール(Cursor、Cline、Copilotなど)経由でのローカルファイル読み取りや任意コード実行。
もっと詳しく調べたい人へ — 公式情報源マップ
本記事は以下の公式・準公式の情報源から内容を集約しています。一次情報を確認したい場合や英語で詳細を読みたい場合は、各リンクから直接アクセスできます。
| カテゴリ | 情報源 | 言語 | 何が分かるか | リンク |
|---|---|---|---|---|
| 総合 | NVD(米国 NIST) | 英 | 米国政府の脆弱性データベース。CVSSスコア、影響を受けるCPE、参考リンクの総合ハブ。最も網羅的。 | 開く |
| 総合 | MITRE CVE | 英 | CVE採番機関の公式記録。CVE記述の「正本」。NVDより記載が簡潔だが一次情報。 | 開く |
| 総合 | JVN iPedia(JPCERT/CC・IPA) | 日 | 日本のCSIRTが運用する脆弱性対策情報データベース。日本語で概要・対策が読める。掲載がない場合あり。 | 開く |
| 総合 | CISA KEV(悪用観測カタログ) | 英 | 米国CISAが実際に悪用を確認している脆弱性のカタログ。掲載されていれば最優先で対応。 | 開く |
| 総合 | GitHub Advisory Database | 英 | OSSパッケージ(npm/pypi/maven/composer/go等)別の脆弱性アドバイザリ。修正PRへのリンクが豊富。 | 開く |
| 総合 | OpenCVE | 英 | 複数CVEデータベースの集約検索サービス。タイムラインや関連CVEの俯瞰に有用。 | 開く |
| Linux | Red Hat CVE | 英 | Red Hat製品(RHEL/CentOS Stream/Rocky/AlmaLinux系)の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| Linux | Ubuntu Security | 英 | Ubuntu の影響評価。各Ubuntuバージョン(22.04/24.04等)でのパッチ提供状況が一目で分かる。 | 開く |
| Linux | Debian Security Tracker | 英 | Debian の影響評価。stable/testing/sid別のパッチ状況。Debian派生ディストリ利用者向け。 | 開く |
| Linux | SUSE CVE | 英 | SUSE Linux Enterprise / openSUSE の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| 悪用 | Exploit Database | 英 | 公開エクスプロイトのアーカイブ。検出ツールやペネトレーションテストでの参照用。 | 開く |
| 悪用 | Packet Storm Security | 英 | セキュリティアドバイザリ・エクスプロイトの集約サイト。古めの情報も含む。 | 開く |
| 悪用 | GitHub PoC 検索 | 英 | GitHubコード検索でCVE IDを直接検索。野良PoCの早期発見に。 | 開く |
| 悪用 | X(Twitter)検索 | 日英 | 直近の議論やニュースを観測。In-the-wild悪用の早期検知に有用。 | 開く |
| スキャナ | Snyk Vulnerability DB | 英 | パッケージ別の脆弱性詳細と修正バージョン。OSS依存ライブラリ追跡に有用。 | 開く |
| スキャナ | Tenable(Nessus) | 英 | Nessusスキャナでの検出プラグイン情報。検出ロジックの参考に。 | 開く |
| スキャナ | Rapid7(Metasploit/Nexpose) | 英 | Metasploit悪用モジュール、Nexposeでの検出情報。 | 開く |
掲載しているのは無料でアクセスできる情報源のみです。CVEによっては掲載がないサイトもあります(特にJVN iPediaは日本国内で報告された脆弱性のみ掲載)。
STEP 2: 急ぎ対応すべきか判断する
結論: 中
判断根拠
- CVSSスコアは未公表のため定量評価なし。CWE-1336の中程度のリスク。
- EPSSスコアは
0.05%(14.4パーセンタイル)、直近30日間の悪用予測確率は低い。 - ランサムウェアによる悪用観測は確認されていない。
- 公開PoCコードは存在しない。
- 攻撃のために認証済みのプロキシAPIキーが必要だが、内部利用者や侵害された認証者が悪用可能。
- デフォルト設定で脆弱かは不明。展開方法に依存する。
誰が動くべきか
- LiteLLMを含むAI Gateway / LLM Proxy運用者
- Agentフレームワーク開発・運用者(LangChain、AutoGen等を含む)
- MLインフラチームおよびRAG(検索強化生成)パイプライン管理者
- バイブコーダー開発者(Cursor、Cline、Copilotなどを利用するAI駆動開発者)
STEP 3: 自分の環境が対象か確認する
影響を受けるバージョン
| 製品 | 脆弱なバージョン範囲 | 修正版 |
|---|---|---|
| LiteLLM(AI Gateway/LLM Proxy) | 1.80.5 以上 1.83.7 未満 |
1.83.7 以上 |
バージョン確認コマンド
Python環境(pip)
pip show litellm
出力例:
Name: litellm
Version: 1.83.5
Summary: LiteLLM Proxy Server
...
判定: Version が 1.80.5〜1.83.6 なら脆弱。1.83.7 以上なら安全。
Python環境(poetry)
poetry show litellm
出力例:
name : litellm
version : 1.83.4
description: LiteLLM Proxy Server
...
判定: version が 脆弱範囲内なら対応必要。
Docker環境
docker images | grep litellm
出力例:
litellm 1.83.4 sha256:...
判定: タグのバージョン番号から判定。1.80.5〜1.83.6は脆弱、1.83.7以降は安全。
設定確認
この脆弱性は特定の設定に依存せず、POST /prompts/test エンドポイントの挙動に起因します。したがって、バージョンが脆弱範囲内なら設定に関わらず攻撃可能です。
(Nucleiテンプレートでの検出)
本CVEに対応した公開Nucleiテンプレートは現時点で提供されていません。バージョン確認での判定を推奨します。
STEP 4: 修正を適用する
パッチ適用
Python環境(pip)
pip install --upgrade litellm
判定: バージョンが 1.83.7 以上に更新されることを確認
Docker環境
docker pull berriai/litellm:1.83.7
docker stop
docker rm
docker run --name berriai/litellm:1.83.7 [オプション]
判定: コンテナイメージが 1.83.7 以上のタグに更新されていることを確認
注意: アップグレードは必ず事前にバックアップを取得し、ステージング環境で動作検証を行ってください。ダウンタイムが発生する可能性があるため、運用計画を立てて対応してください。
パッチ即時適用ができない場合の暫定対応
公式の暫定対応策は示されていません。認証済みユーザーのアクセス制限や、当該エンドポイントのネットワークアクセス制御を強化してください。
STEP 5: 修正されたことを確認する
STEP 3 と同様のバージョン確認コマンドを再度実行します。
期待される出力
Python環境(pip)
pip show litellm
出力例:
Name: litellm
Version: 1.83.7
Summary: LiteLLM Proxy Server
...
判定: バージョンが 1.83.7 以上ならOK
Docker環境
docker images | grep litellm
出力例:
litellm 1.83.7 sha256:...
判定: タグが 1.83.7 以上ならOK
追加で確認すべきこと
不審なアクセスログの有無を確認し、問題が発生していた可能性がないか運用ログを精査してください。Nucleiテンプレートは現状存在しないため、将来的に提供された場合は再度スキャンを行うことを推奨します。
補足: 悪用観測状況
CISA KEVには本脆弱性は登録されていません。また、ランサムウェアグループによる悪用も確認されていません。公開PoCコードも存在しません。現時点での悪用観測は報告されていないため、深刻度は比較的低いと判断されます。
補足: CVSSメトリクス詳細
- AV(Attack Vector:攻撃元の範囲): 未公開
- AC(Attack Complexity:攻撃の難易度): 未公開
- PR(Privileges Required:必要な権限): 認証済みのプロキシAPIアクセス権必要
- UI(User Interaction:ユーザー操作の必要性): 認証済みユーザーがAPIを呼び出す必要あり
- S(Scope:影響の範囲): LiteLLMプロセス内部、ホスト環境に影響可能
- C(Confidentiality Impact:機密性への影響): 高い(APIキー、認証情報漏洩)
- I(Integrity Impact:完全性への影響): 高い(コード実行による改ざん可能)
- A(Availability Impact:可用性への影響): 中程度(攻撃によりサービス停止可能性あり)
よくある質問(FAQ)
Q. このCVEに対応するために最低限すべきことは何ですか?
A. STEP 3で自環境のバージョン確認を行い、脆弱ならSTEP 4のアップデートを実施してください。対応済みのバージョンは1.83.7以上です。
Q. パッチが適用できない場合、どうすればよいですか?
A. 認証済みユーザーのアクセス制限を強化し、/prompts/testエンドポイントへの不要なアクセスをネットワークレベルで遮断してください。
Q. 既に攻撃を受けているか確認する方法はありますか?
A. 不審なAPIキーの使用履歴や、/prompts/testへの異常なアクセスログを調査してください。公式のIOC情報は現時点で公開されていません。
Q. なぜEPSSスコアが重要なのですか?
A. CVSSは脆弱性の深刻度を示しますが、EPSSは実際に悪用される可能性を示します。両方見ることで優先的に対応すべき脆弱性が分かります。
Q. このCVEと類似の脆弱性は他にもありますか?
A. CWE-1336に関連する動的コード実行リスクは他AIゲートウェイやLLMプロキシでも発生しうるため、同様のパターンに注意が必要です。
参考文献
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