【高】CVE-2026-45134 LangSmith SDKのデシリアライズ脆弱性によるコードインジェクション AI Securityエンジニア必見対応ガイド

結論
- 危険度: High (CVSS 7.1)
- 対象: langsmith < 0.8.0 / langsmith < 0.6.0 / langchain-classic < 1.0.7
- 修正: 0.8.0 / 0.6.0 / 1.0.7
- KEV: No (NVD Critical由来。CISA KEVには未登録)
タイトルの緊急度プレフィックス(【至急】【最重大】等)の意味
| 表記 | 条件 | 意味 | 対応目安 |
|---|---|---|---|
| 【至急/ランサム悪用】 | CISA KEV登録 + ランサムウェア悪用観測 | ランサムグループが現在進行形で悪用 | 本日中に対応開始 |
| 【至急/重大】 | CISA KEV登録 + CVSS 9.0以上 | 実世界で攻撃観測あり + スコア極めて高い | 本日中に対応開始 |
| 【重大/KEV登録】 | CISA KEV登録(CVSS低またはNVD未反映) | 実世界で攻撃観測あり | 数日以内 |
| 【最重大】 | CVSS 9.5以上(KEV未登録) | 理論上の危険度ほぼ満点、攻撃観測はまだない | 1週間以内に対応計画 |
| 【重大】 | CVSS 9.0〜9.4(KEV未登録) | Critical帯の理論的高リスク | 1〜2週間以内 |
| 【高】 | CVSS 7.0〜8.9(KEV未登録) | High帯のリスク | 計画的に対応 |
| (プレフィックスなし) | CVSS 7.0未満 | Medium以下のリスク | 通常メンテで対応 |
「至急」と「最重大」の違い: 「至急」は CISA(米国政府機関)が 実際に悪用を観測した CVEに付与されます。「最重大」は CVSS スコア上は最高峰だが、まだ悪用観測がない ものです。同じCVSS 9.8でもKEV登録の有無で扱いが変わります。
最終更新: 2026-05-27 | 本記事は公式情報をもとに作成しています。最新情報はベンダー公式アドバイザリを必ずご確認ください。
| STEP | やること | かかる目安 |
|---|---|---|
| STEP 1 | 何が起きているか理解する | 5分 |
| STEP 2 | 急ぎ対応すべきか判断する | 3分 |
| STEP 3 | 自分の環境が対象か確認する | 5分 |
| STEP 4 | 修正を適用する | 10分~環境依存 |
| STEP 5 | 修正されたことを確認する | 3分 |
STEP 1: 何が起きているか
一言でいうと
CVE-2026-45134は、LangSmithプラットフォーム向けのLangSmith Client SDKにある脆弱性です。攻撃者は認証不要で外部制御された公開プロンプトを読み込む際に不正なコードを実行できます。LLM(大規模言語モデル)を利用するエンジニアや運用者には最優先の対応が求められます。
やさしく説明すると
この脆弱性は、ソフトウェアの「玄関の鍵が開いている」状態に例えられます。公開プロンプトを取得するときに、中身が誰にでも書き換えられるため、悪意あるコードを実行されてしまいます。まるで訪問者が勝手に合鍵を作り、家の中を自由に操作できるようなものです。安全な内部だけを対象にした操作と、外部公開ものを区別せずに処理したミスが原因です。
技術的な原因
CWE-502(不信頼なデータの逆シリアライズ)が原因です。シリアライズされたオブジェクトを、信頼できない第三者提供のデータから安全検証なしに復元(逆シリアライズ)してしまいます。LangSmith SDKの旧バージョンは外部の公開プロンプトを内部の所属オーガナイゼーションと区別できず、危険なオブジェクトを無防備に実行します。
影響を受けると何が困るか
- 攻撃者は任意のコードや設定をSDKを実行する環境で走らせられる
- APIキー(OpenAIやAnthropicなど)の盗難や漏洩につながる
- LLMのプロンプトや設定が改ざんされ、誤動作や情報漏洩が起きる
- エージェント型フレームワークの制御乗っ取りや悪用リスクが高まる
- AI駆動ツール(Cursor/Cline/Aider/GitHub Copilotなど)利用時にローカル環境に害が及ぶ可能性
- .envなどの認証情報や秘密情報が漏れる恐れがある
もっと詳しく調べたい人へ — 公式情報源マップ
本記事は以下の公式・準公式の情報源から内容を集約しています。一次情報を確認したい場合や英語で詳細を読みたい場合は、各リンクから直接アクセスできます。
| カテゴリ | 情報源 | 言語 | 何が分かるか | リンク |
|---|---|---|---|---|
| 総合 | NVD(米国 NIST) | 英 | 米国政府の脆弱性データベース。CVSSスコア、影響を受けるCPE、参考リンクの総合ハブ。最も網羅的。 | 開く |
| 総合 | MITRE CVE | 英 | CVE採番機関の公式記録。CVE記述の「正本」。NVDより記載が簡潔だが一次情報。 | 開く |
| 総合 | JVN iPedia(JPCERT/CC・IPA) | 日 | 日本のCSIRTが運用する脆弱性対策情報データベース。日本語で概要・対策が読める。掲載がない場合あり。 | 開く |
| 総合 | CISA KEV(悪用観測カタログ) | 英 | 米国CISAが実際に悪用を確認している脆弱性のカタログ。掲載されていれば最優先で対応。 | 開く |
| 総合 | GitHub Advisory Database | 英 | OSSパッケージ(npm/pypi/maven/composer/go等)別の脆弱性アドバイザリ。修正PRへのリンクが豊富。 | 開く |
| 総合 | OpenCVE | 英 | 複数CVEデータベースの集約検索サービス。タイムラインや関連CVEの俯瞰に有用。 | 開く |
| Linux | Red Hat CVE | 英 | Red Hat製品(RHEL/CentOS Stream/Rocky/AlmaLinux系)の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| Linux | Ubuntu Security | 英 | Ubuntu の影響評価。各Ubuntuバージョン(22.04/24.04等)でのパッチ提供状況が一目で分かる。 | 開く |
| Linux | Debian Security Tracker | 英 | Debian の影響評価。stable/testing/sid別のパッチ状況。Debian派生ディスト利用者向け。 | 開く |
| Linux | SUSE CVE | 英 | SUSE Linux Enterprise / openSUSE の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| 悪用 | Exploit Database | 英 | 公開エクスプロイトのアーカイブ。検出ツールやペネトレーションテストでの参照用。 | 開く |
| 悪用 | Packet Storm Security | 英 | セキュリティアドバイザリ・エクスプロイトの集約サイト。古めの情報も含む。 | 開く |
| 悪用 | GitHub PoC 検索 | 英 | GitHubコード検索でCVE IDを直接検索。野良PoCの早期発見に。 | 開く |
| 悪用 | X(Twitter)検索 | 日英 | 直近の議論やニュースを観測。In-the-wild悪用の早期検知に有用。 | 開く |
| スキャナ | Snyk Vulnerability DB | 英 | パッケージ別の脆弱性詳細と修正バージョン。OSS依存ライブラリ追跡に有用。 | 開く |
| スキャナ | Tenable(Nessus) | 英 | Nessusスキャナでの検出プラグイン情報。検出ロジックの参考に。 | 開く |
| スキャナ | Rapid7(Metasploit/Nexpose) | 英 | Metasploit悪用モジュール、Nexposeでの検出情報。 | 開く |
掲載しているのは無料でアクセスできる情報源のみです。CVEによっては掲載がないサイトもあります(特にJVN iPediaは日本国内で報告された脆弱性のみ掲載)。
STEP 2: 急ぎ対応すべきか判断する
結論: 中〜高
判断根拠
- CVSSスコアは
7.1でHighレベル。実務的には「悪用されると重大な情報漏えいが起きるが即時のシステム停止リスクは低い」程度の深刻度。 - EPSS(悪用予測スコア)データは未提供であり、当面は悪用拡大は限定的と考えられる。
- ランサムウェア等の悪用は現時点で未確認。深刻な流行は今のところなし。
- 公開PoCコードは存在しないため、攻撃が広がっていないと見られる。
- 攻撃者はネットワーク経由で認証なしのユーザ操作が一回必要。攻撃の敷居は低め。
- デフォルト設定のまま利用している場合は対象となる。
誰が動くべきか
- LangSmith SDKやLangChain等のAI GatewayやAgentフレームワークの開発・運用者
- LLMプロキシーやMCPサーバーを含むAI/LLMインフラ担当チーム
- バイブコーダー開発者、特にCursor/Cline/Aider/Claude Code/GitHub Copilotユーザー
- AI駆動開発のためにLangSmith SDKを使うソフトウェア開発者
STEP 3: 自分の環境が対象か確認する
影響を受けるバージョン
| 製品 | 脆弱なバージョン範囲 | 修正版 |
|---|---|---|
| langsmith (Python SDK) | < 0.8.0 | 0.8.0 |
| langsmith (JS/TS SDK) | < 0.6.0 | 0.6.0 |
| langchain-classic (Python) | < 1.0.7 | 1.0.7 |
| langchain (Python) | < 0.3.30 | 0.3.30 |
バージョン確認コマンド
Python (pip)
pip show langsmith
出力例:
Name: langsmith
Version: 0.7.9
Summary: LangSmith Python SDK
判定: Versionが0.8.0未満なら脆弱。0.8.0以上であれば安全。
Python (pip)
pip show langchain-classic
出力例:
Name: langchain-classic
Version: 1.0.5
Summary: LangChain Classic SDK
判定: Versionが1.0.7未満なら脆弱。1.0.7以上であれば安全。
Node.js (npm)
npm list langsmith
出力例:
langsmith@0.5.0
判定: 0.6.0未満なら脆弱。0.6.0以上であれば安全。
設定確認
本脆弱性はSDKのバージョンに依存し、特別な設定に依存しません。よってバージョンが対象範囲内なら脆弱です。
Nucleiテンプレートでの検出
2026年5月時点で公開されたNucleiテンプレートは存在しません。検出はバージョン確認で実施してください。
STEP 4: 修正を適用する
パッチ適用
Python (pip)
pip install --upgrade langsmith
判定: アップグレード後、バージョンが0.8.0以上であれば修正済み
Python (pip)
pip install --upgrade langchain-classic
判定: バージョンが1.0.7以上であれば修正済み
Node.js (npm)
npm install langsmith@latest
判定: バージョンが0.6.0以上であれば修正済み
注意: パッチ適用前に必ず依存関係や動作検証環境でのテストを実施してください。特にLangChainやAgent系の連携部分は動作を十分確認してください。
パッチ即時適用ができない場合の暫定対応
公式の暫定対応は提示されていません。パッチ適用が難しい場合は、対象SDKの公開プロンプト取得機能を無効化するか、外部公開Promptの利用を中止してネットワーク隔離を検討してください。
STEP 5: 修正されたことを確認する
STEP 3で実行したバージョン確認コマンドを、修正適用後に再度実行します。
期待される出力
Python (pip)
pip show langsmith
出力例:
Name: langsmith
Version: 0.8.0
Summary: LangSmith Python SDK
判定: バージョンが 0.8.0 以上ならOKです。
Python (pip)
pip show langchain-classic
出力例:
Name: langchain-classic
Version: 1.0.7
Summary: LangChain Classic SDK
判定: バージョンが 1.0.7 以上ならOKです。
Node.js (npm)
npm list langsmith
出力例:
langsmith@0.6.0
判定: バージョンが 0.6.0 以上ならOKです。
追加で確認すべきこと
- 不審なアクセスログがないか運用ログを監視し続けてください。
- 公開Nucleiテンプレートはないため静的検査ができませんが、今後提供されたら再実行を推奨します。
- AI GatewayやAgentオーケストレーションのフローで想定外の動作がないか追加確認してください。
補足: 悪用観測状況
2026年5月時点でCISA KEV(Known Exploited Vulnerabilities)には登録されていません。また、ランサムウェアの悪用報告もありません。GitHub上にもPoC(実証コード)は未公開です。現時点では実際の攻撃による悪用は確認されていませんが、高いCVSSスコアなどから中長期的に注視が必要です。
補足: CVSSメトリクス詳細
- AV (Attack Vector, 攻撃元): NETWORK(ネットワーク経由で攻撃可能)
- AC (Attack Complexity, 攻撃複雑度): LOW(攻撃は比較的容易)
- PR (Privileges Required, 必要権限): NONE(認証不要)
- UI (User Interaction, ユーザ操作): REQUIRED(攻撃にはユーザの操作が一度必要)
- S (Scope, 影響範囲): UNCHANGED(境界を越えた影響はなし)
- C (Confidentiality Impact, 機密性影響): HIGH(重要情報漏洩の可能性あり)
- I (Integrity Impact, 完全性影響): LOW(一部設定改ざんの可能性)
- A (Availability Impact, 可用性影響): NONE(サービス停止は発生しない)
よくある質問(FAQ)
Q. このCVEに対応するために最低限すべきことは何ですか?
A. STEP 3のバージョン確認から始め、STEP 4で修正バージョンへアップグレードし、STEP 5でアップデートが適用されたことを確認してください。
Q. パッチが適用できない場合、どうすればよいですか?
A. 公開プロンプトの利用を停止するか、ネットワークレベルでSDKの外部公開機能を制限してください。外部からの不正アクセス経路を遮断する暫定対応を検討してください。
Q. 既に攻撃を受けているか確認する方法はありますか?
A. SDKが提供するログや監査記録を確認し、外部からの不正なプロンプト取得や異常動作を検知してください。現状、悪用の具体的IOCは公開されていません。
Q. なぜEPSSスコアが重要なのですか?
A. CVSSは脆弱性の理論的な深刻度を示しますが、EPSSは実際にどれだけ悪用される可能性があるかを示します。両方参照することで対応の優先度判断が正確になります。
Q. このCVEと類似の脆弱性は他にもありますか?
A. CWE-502の逆シリアライズ関連脆弱性は他のSDKやフレームワークでも見られるため、類似のリスク管理が必要です。特に外部入力を信頼する設計は注意してください。
参考文献
- GitHub Advisory Database – GHSA-3644-q5cj-c5c7
- NVD – CVE-2026-45134
- Snyk Vulnerability DB – CVE-2026-45134
- Tenable Nessus – CVE-2026-45134
- Rapid7 Metasploit/Nexpose – CVE-2026-45134
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