【高】CVE-2026-45315 Open WebUIにおけるクロスサイトスクリプティングおよびファイルアップロード脆弱性解説 AI Security実践ガイド

結論
- 危険度: High (CVSS 8.7)
- 対象: open-webui <= 0.9.2
- 修正: 0.9.3
- KEV: No (NVD Critical由来。CISA KEVには未登録)
タイトルの緊急度プレフィックス(【至急】【最重大】等)の意味
| 表記 | 条件 | 意味 | 対応目安 |
|---|---|---|---|
| 【至急/ランサム悪用】 | CISA KEV登録 + ランサムウェア悪用観測 | ランサムグループが現在進行形で悪用 | 本日中に対応開始 |
| 【至急/重大】 | CISA KEV登録 + CVSS 9.0以上 | 実世界で攻撃観測あり + スコア極めて高い | 本日中に対応開始 |
| 【重大/KEV登録】 | CISA KEV登録(CVSS低またはNVD未反映) | 実世界で攻撃観測あり | 数日以内 |
| 【最重大】 | CVSS 9.5以上(KEV未登録) | 理論上の危険度ほぼ満点、攻撃観測はまだない | 1週間以内に対応計画 |
| 【重大】 | CVSS 9.0〜9.4(KEV未登録) | Critical帯の理論的高リスク | 1〜2週間以内 |
| 【高】 | CVSS 7.0〜8.9(KEV未登録) | High帯のリスク | 計画的に対応 |
| (プレフィックスなし) | CVSS 7.0未満 | Medium以下のリスク | 通常メンテで対応 |
「至急」と「最重大」の違い: 「至急」は CISA(米国政府機関)が 実際に悪用を観測した CVEに付与されます。「最重大」は CVSS スコア上は最高峰だが、まだ悪用観測がない ものです。同じCVSS 9.8でもKEV登録の有無で扱いが変わります。
最終更新: 2026-05-15 | 本記事は公式情報をもとに作成しています。最新情報はベンダー公式アドバイザリを必ずご確認ください。
| STEP | やること | かかる目安 |
|---|---|---|
| STEP 1 | 何が起きているか理解する | 5分 |
| STEP 2 | 急ぎ対応すべきか判断する | 3分 |
| STEP 3 | 自分の環境が対象か確認する | 5分 |
| STEP 4 | 修正を適用する | 環境による |
| STEP 5 | 修正されたことを確認する | 3分 |
STEP 1: 何が起きているか
一言でいうと
CVE-2026-45315はOpen WebUI(オープンウェブユーアイ)というAIプラットフォームの脆弱性です。認証済みユーザーが悪意あるファイルをアップロードし、他ユーザーのブラウザで任意のスクリプトを実行できます。LLMゲートウェイやAIサービスを運用する担当者にとっては最優先で対応すべき脆弱性です。
やさしく説明すると
この脆弱性は、Open WebUIが音声書き起こしファイルを受け取る際に、ファイル拡張子の扱いが甘くて問題です。玄関の受付がファイルの名前をそのまま鵜呑みにしてしまい、悪い人が「.html」と名付けたファイルを送ると、そのファイルを開いた他のユーザーの画面で悪意のあるコードが走ってしまいます。つまり、合鍵を持っていないのに、鍵を勝手に作られてしまうようなイメージです。
技術的な原因
この問題はCWE-79(クロスサイトスクリプティング、XSS)、CWE-434(不適切なファイルアップロード)、CWE-646(不適切な閲覧制御)が絡んでいます。具体的には、アップロードされたファイルの拡張子をユーザーが自由に指定でき、それを根拠にサーバがContent-Type(通信時のファイルタイプ)を設定しています。そこで悪意あるHTML+音声ファイルを混在させたファイルをアップロードし、他ユーザーがアクセスすると、攻撃スクリプトが実行されてしまいます。認証済みユーザーでも被害を与えられる点が深刻です。
影響を受けると何が困るか
- APIキー(OpenAI/Anthropicなど)の漏洩リスク
- LLMコンテキスト情報の窃取(顧客情報を含む)
- プロンプトインジェクションを利用したAIエージェントの乗っ取り
- モデルやRAG(Retrieval-Augmented Generation)用データの改ざん
- 不正アクセスによる請求コストの急増
- テナント間の情報漏洩(マルチテナント環境の場合)
- AI開発ツール(Cursor/Clineなど)を介したIDEやローカル環境の攻撃
- .envや認証情報の露見・奪取
もっと詳しく調べたい人へ — 公式情報源マップ
本記事は以下の公式・準公式の情報源から内容を集約しています。一次情報を確認したい場合や英語で詳細を読みたい場合は、各リンクから直接アクセスできます。
| カテゴリ | 情報源 | 言語 | 何が分かるか | リンク |
|---|---|---|---|---|
| 総合 | NVD(米国 NIST) | 英 | 米国政府の脆弱性データベース。CVSSスコア、影響を受けるCPE、参考リンクの総合ハブ。最も網羅的。 | 開く |
| 総合 | MITRE CVE | 英 | CVE採番機関の公式記録。CVE記述の「正本」。NVDより記載が簡潔だが一次情報。 | 開く |
| 総合 | JVN iPedia(JPCERT/CC・IPA) | 日 | 日本のCSIRTが運用する脆弱性対策情報データベース。日本語で概要・対策が読める。掲載がない場合あり。 | 開く |
| 総合 | CISA KEV(悪用観測カタログ) | 英 | 米国CISAが実際に悪用を確認している脆弱性のカタログ。掲載されていれば最優先で対応。 | 開く |
| 総合 | GitHub Advisory Database | 英 | OSSパッケージ(npm/pypi/maven/composer/go等)別の脆弱性アドバイザリ。修正PRへのリンクが豊富。 | 開く |
| 総合 | OpenCVE | 英 | 複数CVEデータベースの集約検索サービス。タイムラインや関連CVEの俯瞰に有用。 | 開く |
| Linux | Red Hat CVE | 英 | Red Hat製品(RHEL/CentOS Stream/Rocky/AlmaLinux系)の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| Linux | Ubuntu Security | 英 | Ubuntu の影響評価。各Ubuntuバージョン(22.04/24.04等)でのパッチ提供状況が一目で分かる。 | 開く |
| Linux | Debian Security Tracker | 英 | Debian の影響評価。stable/testing/sid別のパッチ状況。Debian派生ディスト利用者向け。 | 開く |
| Linux | SUSE CVE | 英 | SUSE Linux Enterprise / openSUSE の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| 悪用 | Exploit Database | 英 | 公開エクスプロイトのアーカイブ。検出ツールやペネトレーションテストでの参照用。 | 開く |
| 悪用 | Packet Storm Security | 英 | セキュリティアドバイザリ・エクスプロイトの集約サイト。古めの情報も含む。 | 開く |
| 悪用 | GitHub PoC 検索 | 英 | GitHubコード検索でCVE IDを直接検索。野良PoCの早期発見に。 | 開く |
| 悪用 | X(Twitter)検索 | 日英 | 直近の議論やニュースを観測。In-the-wild悪用の早期検知に有用。 | 開く |
| スキャナ | Snyk Vulnerability DB | 英 | パッケージ別の脆弱性詳細と修正バージョン。OSS依存ライブラリ追跡に有用。 | 開く |
| スキャナ | Tenable(Nessus) | 英 | Nessusスキャナでの検出プラグイン情報。検出ロジックの参考に。 | 開く |
| スキャナ | Rapid7(Metasploit/Nexpose) | 英 | Metasploit悪用モジュール、Nexposeでの検出情報。 | 開く |
掲載しているのは無料でアクセスできる情報源のみです。CVEによっては掲載がないサイトもあります(特にJVN iPediaは日本国内で報告された脆弱性のみ掲載)。
STEP 2: 急ぎ対応すべきか判断する
結論: 高
判断根拠
- CVSS v3.1 スコア: 8.7 (High) – ネットワーク経由で攻撃でき、攻撃の複雑度は低いがユーザー操作が必要。認証済みユーザー限定だが影響は機密性・完全性に高い。
- EPSSスコア: 提供なし(現在悪用動向は不明)。
- ランサムウェア悪用: 未確認。
- 公開PoC: なし(GitHubでの公開は確認されていない)。
- 悪用条件: 認証済みユーザー権限(chat.stt)が必要。攻撃者はファイルアップロード機能を悪用。ユーザ操作が必要。
誰が動くべきか
- Open WebUIを本番利用・運用しているAI Gateway運用チーム
- LLM ProxyやAgent環境の運用者・SecOpsチーム
- CursorやCline、CopilotなどAI駆動開発ツールユーザー(間接的リスクとして認識すること)
- AIサービス・RAGパイプラインの保守者
STEP 3: 自分の環境が対象か確認する
影響を受けるバージョン
| 製品 | 脆弱なバージョン範囲 | 修正版 |
|---|---|---|
| open-webui | ~0.9.2 | 0.9.3 |
バージョン確認コマンド
Python(pip)
pip show open-webui
出力例:
Name: open-webui
Version: 0.9.2
Summary: Open WebUI - self-hosted AI platform
判定: バージョンが 0.9.2 以下なら脆弱。0.9.3 以上なら安全。
Python(pip list)
pip list | grep open-webui
出力例:
open-webui 0.9.2
判定: 0.9.2 以下なら脆弱。0.9.3 以上なら安全。
設定確認
本脆弱性はファイルアップロード処理の設計問題であり、設定依存はありません。つまり、影響バージョンを使っていれば脆弱です。
補足: Nucleiテンプレートでの検出
本CVEに対する公開Nucleiテンプレートは現在存在しません。検出はバージョン確認で実施してください。
STEP 4: 修正を適用する
パッチ適用
Python環境
pip install --upgrade open-webui
出力例:
Successfully installed open-webui-0.9.3
判定: バージョンが 0.9.3 以上になれば修正済み。
注意: パッチ適用前に必ず現在の環境とデータのバックアップを取得してください。ステージング環境でアップグレードを検証し、本番環境での動作確認を計画してください。
パッチ即時適用ができない場合の暫定対応
ベンダーから公式の暫定対応策は公表されていません。可能な場合は、以下対応を検討してください。
- ファイルアップロード機能の利用制限または一時的な無効化
- ネットワークセグメントの分離やアクセス制御強化
- WAF(Web Application Firewall)で怪しいリクエストのブロック
STEP 5: 修正されたことを確認する
STEP 3で実行したバージョン確認コマンドを再度実行してください。
期待される出力
Python(pip)
pip show open-webui
出力例:
Name: open-webui
Version: 0.9.3
Summary: Open WebUI - self-hosted AI platform
判定: バージョンが 0.9.3 以上なら修正済みで安全。
追加で確認すべきこと
- サーバログを確認し、不正なファイルアップロードや怪しいアクセスがないか監視する
- 利用中のAIサービスやフレームワークに影響が波及していないか運用状況をチェックする
- 公開Nucleiテンプレートが登場した場合は再度スキャンをかける
補足: 悪用観測状況
現時点でCISA KEVには本CVEの登録がなく、ランサムウェアグループによる悪用も報告されていません。公開されたPoCコードも確認されていないため、悪用の差し迫った兆候はありません。
しかし、CVSSスコアは高いため、今後の監視と迅速な対応が必要です。
補足: CVSSメトリクス詳細
- AV (Attack Vector): NETWORK – 攻撃はネットワーク経由で可能
- AC (Attack Complexity): LOW – 攻撃の実行は比較的容易
- PR (Privileges Required): LOW – 低権限の認証ユーザー権限で十分
- UI (User Interaction): REQUIRED – 攻撃には被害者の操作が必要
- S (Scope): CHANGED – 攻撃による影響範囲が拡大する可能性あり
- C (Confidentiality): HIGH – 機密情報が漏洩する可能性が高い
- I (Integrity): HIGH – データの完全性が破壊される可能性が高い
- A (Availability): NONE – 可用性への影響はない
よくある質問(FAQ)
Q. このCVEに対応するために最低限すべきことは何ですか?
A. まずSTEP 3で自分の環境が影響を受けるか確認し、STEP 4で必ず 0.9.3 以上へのアップグレードを行ってください。最後にSTEP 5で修正が反映されているか再確認しましょう。
Q. パッチが適用できない場合、どうすればよいですか?
A. STEP 4で示した暫定対応を実施してください。具体的にはファイルアップロード機能の制限やアクセス制御の強化、WAFの導入などが考えられます。
Q. 既に攻撃を受けているか確認する方法はありますか?
A. 現在公開されたPoCはなく悪用観測も報告されていませんが、WebサーバやAIサービスのログで不審なファイルアップロードや異常アクセスがないか確認してください。
Q. なぜEPSSスコアが重要なのですか?
A. CVSSは技術的な脆弱度の深刻度を示しますが、EPSS(Exploit Prediction Scoring System)は「実際に悪用される確率」を表します。両方を見ると優先度判断がより正確になります。
Q. このCVEと類似の脆弱性は他にもありますか?
A. CWE-79やCWE-434に該当する脆弱性はWebアプリやAIサービスで多く報告されています。類似ケースとして他製品のクロスサイトスクリプティングや不適切ファイルアップロード問題を管理してください。
参考文献
- NVD – CVE-2026-45315
- GitHub Advisory – Open WebUI Stored XSS
- GitHub Advisory Database Search
- Snyk Vulnerability DB
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