CVE-2026-5029 MCP Serverの認証なしRCE脆弱性解説とAIインフラ運用者向け緊急対応策

結論
- 危険度: 情報なし
- 対象: (詳細はベンダーアドバイザリ参照)
- 修正: ベンダーアドバイザリ参照
- KEV: No (NVD Critical由来。CISA KEVには未登録)
タイトルの緊急度プレフィックス(【至急】【最重大】等)の意味
| 表記 | 条件 | 意味 | 対応目安 |
|---|---|---|---|
| 【至急/ランサム悪用】 | CISA KEV登録 + ランサムウェア悪用観測 | ランサムグループが現在進行形で悪用 | 本日中に対応開始 |
| 【至急/重大】 | CISA KEV登録 + CVSS 9.0以上 | 実世界で攻撃観測あり + スコア極めて高い | 本日中に対応開始 |
| 【重大/KEV登録】 | CISA KEV登録(CVSS低またはNVD未反映) | 実世界で攻撃観測あり | 数日以内 |
| 【最重大】 | CVSS 9.5以上(KEV未登録) | 理論上の危険度ほぼ満点、攻撃観測はまだない | 1週間以内に対応計画 |
| 【重大】 | CVSS 9.0〜9.4(KEV未登録) | Critical帯の理論的高リスク | 1〜2週間以内 |
| 【高】 | CVSS 7.0〜8.9(KEV未登録) | High帯のリスク | 計画的に対応 |
| (プレフィックスなし) | CVSS 7.0未満 | Medium以下のリスク | 通常メンテで対応 |
「至急」と「最重大」の違い: 「至急」は CISA(米国政府機関)が 実際に悪用を観測した CVEに付与されます。「最重大」は CVSS スコア上は最高峰だが、まだ悪用観測がない ものです。同じCVSS 9.8でもKEV登録の有無で扱いが変わります。
最終更新: 2026-05-12 | 本記事は公式情報をもとに作成しています。最新情報はベンダー公式アドバイザリを必ずご確認ください。
| STEP | やること | かかる目安 |
|---|---|---|
| 1 | 何が起きているか理解する | 3分 |
| 2 | 急ぎ対応すべきか判断する | 3分 |
| 3 | 自分の環境が対象か確認する | 5〜10分 |
| 4 | 修正を適用する | 環境による |
| 5 | 修正されたことを確認する | 3〜5分 |
STEP 1: 何が起きているか
一言でいうと
CVE-2026-5029 は Code Runner MCP Server の脆弱性です。攻撃者は認証なしで任意コード実行(RCE、リモートコード実行)を行えます。MCP Server を使う AI 開発者や LLM 運用者にとって、最優先で確認したい AI Security の脆弱性です。
やさしく説明すると
これは、玄関の鍵がかかっていない状態に近いです。
しかも、この玄関は --transport http で公開すると、/mcp の入口が認証なしで開きます。
攻撃者はそこから run-code ツールを呼び出せます。
つまり、攻撃者はサーバ上でコードを動かせます。
実務的には、Code Runner MCP Server を AI や LLM の開発基盤で使っていると、被害がそのまま開発環境や運用環境に波及します。
技術的な原因
この脆弱性の原因は CWE-306(認証不備) です。認証を通さずに /mcp JSON-RPC エンドポイントへアクセスできる設計が問題です。
攻撃者は認証なしで run-code MCP ツールを呼び出せます。サーバは child_process.exec() を使って、指定された言語インタプリタ経由でコードを実行します。
つまり、認証のない入口とコード実行機能がつながっています。AI / LLM の文脈では、MCP Server を通じて開発支援や Agentic な処理を行う構成ほど注意が必要です。
影響を受けると何が困るか
- 攻撃者がサーバ権限で任意コードを実行できます。
.envや認証情報の漏洩につながります。- APIキー(OpenAI / Anthropic 等)の流出につながります。
- LLM コンテキスト窃取につながります。
- Agent の乗っ取りにつながります。
- AI コーディング環境のローカルファイル読み取りにつながります。
- インフラ全体への横展開につながります。
もっと詳しく調べたい人へ — 公式情報源マップ
本記事は以下の公式・準公式の情報源から内容を集約しています。一次情報を確認したい場合や英語で詳細を読みたい場合は、各リンクから直接アクセスできます。
| カテゴリ | 情報源 | 言語 | 何が分かるか | リンク |
|---|---|---|---|---|
| 総合 | NVD(米国 NIST) | 英 | 米国政府の脆弱性データベース。CVSSスコア、影響を受けるCPE、参考リンクの総合ハブ。最も網羅的。 | 開く |
| 総合 | MITRE CVE | 英 | CVE採番機関の公式記録。CVE記述の「正本」。NVDより記載が簡潔だが一次情報。 | 開く |
| 総合 | JVN iPedia(JPCERT/CC・IPA) | 日 | 日本のCSIRTが運用する脆弱性対策情報データベース。日本語で概要・対策が読める。掲載がない場合あり。 | 開く |
| 総合 | CISA KEV(悪用観測カタログ) | 英 | 米国CISAが実際に悪用を確認している脆弱性のカタログ。掲載されていれば最優先で対応。 | 開く |
| 総合 | GitHub Advisory Database | 英 | OSSパッケージ(npm/pypi/maven/composer/go等)別の脆弱性アドバイザリ。修正PRへのリンクが豊富。 | 開く |
| 総合 | OpenCVE | 英 | 複数CVEデータベースの集約検索サービス。タイムラインや関連CVEの俯瞰に有用。 | 開く |
| Linux | Red Hat CVE | 英 | Red Hat製品(RHEL/CentOS Stream/Rocky/AlmaLinux系)の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| Linux | Ubuntu Security | 英 | Ubuntu の影響評価。各Ubuntuバージョン(22.04/24.04等)でのパッチ提供状況が一目で分かる。 | 開く |
| Linux | Debian Security Tracker | 英 | Debian の影響評価。stable/testing/sid別のパッチ状況。Debian派生ディストリ利用者向け。 | 開く |
| Linux | SUSE CVE | 英 | SUSE Linux Enterprise / openSUSE の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| 悪用 | Exploit Database | 英 | 公開エクスプロイトのアーカイブ。検出ツールやペネトレーションテストでの参照用。 | 開く |
| 悪用 | Packet Storm Security | 英 | セキュリティアドバイザリ・エクスプロイトの集約サイト。古めの情報も含む。 | 開く |
| 悪用 | GitHub PoC 検索 | 英 | GitHubコード検索でCVE IDを直接検索。野良PoCの早期発見に。 | 開く |
| 悪用 | X(Twitter)検索 | 日英 | 直近の議論やニュースを観測。In-the-wild悪用の早期検知に有用。 | 開く |
| スキャナ | Snyk Vulnerability DB | 英 | パッケージ別の脆弱性詳細と修正バージョン。OSS依存ライブラリ追跡に有用。 | 開く |
| スキャナ | Tenable(Nessus) | 英 | Nessusスキャナでの検出プラグイン情報。検出ロジックの参考に。 | 開く |
| スキャナ | Rapid7(Metasploit/Nexpose) | 英 | Metasploit悪用モジュール、Nexposeでの検出情報。 | 開く |
掲載しているのは無料でアクセスできる情報源のみです。CVEによっては掲載がないサイトもあります(特にJVN iPediaは日本国内で報告された脆弱性のみ掲載)。
STEP 2: 急ぎ対応すべきか判断する
結論: 【高】
注意: CISA KEV には未登録ですが、認証なしRCEです。Code Runner MCP Server を本番で使っているなら、本日中の確認を強く推奨します。
判断根拠
- CVSS スコアは NVD で未提供です。実務的には、認証なしRCEなので高リスクです。
- EPSS スコアは
0.05%です。直近30日で悪用される予測確率としては低い値です。 - ランサムウェア悪用は
Unknownです。 - 公開PoCリポジトリ数は
0です。現時点で武器化PoCは確認できません。 - 悪用に必要な条件は、
--transport httpで起動していることです。ネットワーク到達性があり、認証がなく、ユーザ操作も不要です。
誰が動くべきか
- Code Runner MCP Server を運用しているチーム。
- MCP Server を AI / LLM ワークフローに組み込んでいる開発者。
- Agentic な自動実行基盤を扱う SecOps / SRE チーム。
- Cursor、Cline、Aider、GitHub Copilot、Claude Code を使うバイブコーダー開発者で、ローカルや社内に MCP Server を立てている人。
STEP 3: 自分の環境が対象か確認する
影響を受けるバージョン
| 製品 | 脆弱なバージョン範囲 | 修正版 |
|---|---|---|
| Code Runner MCP Server | all versions と記載あり | ベンダーアドバイザリ参照 |
バージョン確認コマンド
Linux / macOS(npm)
npm list -g --depth=0 | grep -i "code-runner-mcp-server"
出力例:
/usr/local/lib
└── code-runner-mcp-server@1.2.3
判定: code-runner-mcp-server が表示されたら対象です。--transport http で起動していないかも確認してください。
Linux / macOS(プロセス確認)
ps aux | grep -i "code-runner-mcp-server\|--transport http" | grep -v grep
出力例:
user 1234 0.0 ... node /opt/code-runner-mcp-server/index.js --transport http
判定: --transport http が見えたら、認証なしで /mcp を公開している前提で確認を進めてください。
Windows(PowerShell)
Get-Process | Where-Object { $_.Path -match "code-runner-mcp-server" -or $_.CommandLine -match "--transport http" }
出力例:
Handles NPM(K) PM(K) WS(K) CPU(s) Id SI ProcessName
----- ------ ----- ----- ------ -- -- -----------
...
判定: 実行プロセスの起動引数に --transport http があれば対象です。
設定確認
この脆弱性は設定依存です。--transport http で起動しているかを確認してください。
設定が有効なら、/mcp JSON-RPC エンドポイントは認証なしで開きます。バージョンだけでなく起動オプションの確認が必須です。
Nucleiテンプレートでの検出
公開Nucleiテンプレートは見つかりませんでした。検出はバージョン確認と設定確認で行ってください。
STEP 4: 修正を適用する
パッチ適用
ベンダー側の修正版は提示されていません。したがって、公式アドバイザリの更新を待ちつつ、対象構成を止めるか隔離してください。
注意: 本番環境で停止や設定変更を行う前に、設定ファイルと稼働状態のバックアップを取得してください。AI / LLM 基盤では、MCP Server の停止が開発フローに直接影響します。
パッチ即時適用ができない場合の暫定対応
--transport httpを使わず、認証付きの構成へ切り替えてください。/mcpエンドポイントを外部ネットワークから遮断してください。- リバースプロキシや API Gateway で認証を追加してください。
- 不要なら Code Runner MCP Server を停止してください。
STEP 5: 修正されたことを確認する
STEP 3 で実行したバージョン確認コマンドを、再度実行します。
期待される出力
Linux / macOS(npm)
npm list -g --depth=0 | grep -i "code-runner-mcp-server"
出力例:
出力なし
判定: code-runner-mcp-server が表示されないか、ベンダーアドバイザリで示された修正版以上ならOKです。
Linux / macOS(プロセス確認)
ps aux | grep -i "code-runner-mcp-server\|--transport http" | grep -v grep
出力例:
出力なし
判定: --transport http を含むプロセスが出ていなければOKです。
Windows(PowerShell)
Get-Process | Where-Object { $_.Path -match "code-runner-mcp-server" -or $_.CommandLine -match "--transport http" }
出力例:
出力なし
判定: 対象プロセスが検出されなければOKです。
追加で確認すべきこと
- アクセスログに
/mcpへの不審なアクセスがないか確認してください。 - 外部公開ポート
3088が残っていないか確認してください。 - MCP Server 経由で実行したコードに不審な挙動がないか確認してください。
補足: 悪用観測状況
CISA KEV には登録されています。これは、CISA が実際の悪用を観測したことを意味します。ただし、ランサムウェア悪用は Unknown です。
NVD の Exploit タグリンク数は 0 です。公開PoCリポジトリ数も 0 です。現時点では、広く公開された武器化コードは確認できません。
補足: CVSSメトリクス詳細
NVD では CVSS v3.1 の情報が未提供です。そのため、AV / AC / PR / UI / S / C / I / A の各値は公表されていません。
- AV: 攻撃元区分です。
- AC: 攻撃条件の複雑さです。
- PR: 必要権限です。
- UI: ユーザ操作の要否です。
- S: スコープです。
- C: 機密性への影響です。
- I: 完全性への影響です。
- A: 可用性への影響です。
よくある質問(FAQ)
Q. このCVEに対応するために最低限すべきことは何ですか?
A. STEP 3 で対象か確認し、STEP 4 で --transport http を止めるか隔離してください。最後に STEP 5 で再確認してください。
Q. パッチが適用できない場合、どうすればよいですか?
A. STEP 4 の暫定対応を実施してください。外部公開の停止、認証付き構成への変更、不要ならサービス停止が基本です。
Q. 既に攻撃を受けているか確認する方法はありますか?
A. アクセスログで /mcp と 3088 を確認してください。ベンダーが IOC を出している場合は、公式情報を参照してください。
Q. なぜEPSSスコアが重要なのですか?
A. EPSS は「直近30日で悪用される予測確率」です。CVSS が深刻度、EPSS が実際の狙われやすさを示します。
Q. このCVEと類似の脆弱性は他にもありますか?
A. 同じ CWE-306 の脆弱性は、認証なしで管理機能や実行機能を公開する構成で発生します。MCP Server、LLM Proxy、AI Gateway でも同じ考え方で点検してください。
参考文献
- NVD: CVE-2026-5029
- MITRE CVE: CVE-2026-5029
- CERT.PL: CVE-2026-5029
- GitHub Advisory Database: GHSA-jv4w-6p47-rhcx
- CISA KEV Catalog
関連トピック・タグから探す
本記事に関連するキーワードから、他のAIセキュリティ記事を探せます。
