CVE-2026-69258 Flowiseの認証バイパス脆弱性による任意プロパティ注入問題とAI Security対策ガイド

結論
- 危険度: 情報なし
- 対象: flowise <= 3.1.2
- 修正: 3.1.3
- KEV: No (NVD Critical由来。CISA KEVには未登録)
タイトルの緊急度プレフィックス(【至急】【最重大】等)の意味
| 表記 | 条件 | 意味 | 対応目安 |
|---|---|---|---|
| 【至急/ランサム悪用】 | CISA KEV登録 + ランサムウェア悪用観測 | ランサムグループが現在進行形で悪用 | 本日中に対応開始 |
| 【至急/重大】 | CISA KEV登録 + CVSS 9.0以上 | 実世界で攻撃観測あり + スコア極めて高い | 本日中に対応開始 |
| 【重大/KEV登録】 | CISA KEV登録(CVSS低またはNVD未反映) | 実世界で攻撃観測あり | 数日以内 |
| 【最重大】 | CVSS 9.5以上(KEV未登録) | 理論上の危険度ほぼ満点、攻撃観測はまだない | 1週間以内に対応計画 |
| 【重大】 | CVSS 9.0〜9.4(KEV未登録) | Critical帯の理論的高リスク | 1〜2週間以内 |
| 【高】 | CVSS 7.0〜8.9(KEV未登録) | High帯のリスク | 計画的に対応 |
| (プレフィックスなし) | CVSS 7.0未満 | Medium以下のリスク | 通常メンテで対応 |
「至急」と「最重大」の違い: 「至急」は CISA(米国政府機関)が 実際に悪用を観測した CVEに付与されます。「最重大」は CVSS スコア上は最高峰だが、まだ悪用観測がない ものです。同じCVSS 9.8でもKEV登録の有無で扱いが変わります。
最終更新: 2026-08-04 | 本記事は公式情報をもとに作成しています。最新情報はベンダー公式アドバイザリを必ずご確認ください。
| STEP | やること | かかる目安 |
|---|---|---|
| STEP 1 | 何が起きているか理解する | 5分 |
| STEP 2 | 急ぎ対応すべきか判断する | 3分 |
| STEP 3 | 自分の環境が対象か確認する | 5分 |
| STEP 4 | 修正を適用する | 環境による |
| STEP 5 | 修正されたことを確認する | 3分 |
STEP 1: 何が起きているか
一言でいうと
CVE-2026-69258はFlowiseのv3.1.2以前で、認証なしでチャットフローの設定を不正に書き換えられます。攻撃者は任意のプロパティを注入し、セッション情報を乗っ取れるため、LLMゲートウェイを運用する開発者やSREにとって最優先対応です。
やさしく説明すると
想像してください。玄関のドアが開けっぱなしで、誰でも部屋の中に入れてしまう状態を。この脆弱性は、Flowiseの一部APIで誰でも中に入れる「合鍵」を渡してしまい、部屋の中の重要な情報を書き換えられる状態に似ています。つまり、攻撃者があなたのチャットの会話履歴やセッションIDを勝手に操作できてしまうのです。
技術的な原因
この脆弱性は、Flowiseの「POST /api/v1/prediction/:id」APIが認証をせずにアクセスを許し、リクエストに含まれるoverrideConfigオブジェクトを、条件をチェックせずに内部のflowConfigやflowDataに展開(スプレッド)している点にあります。CWE-639(不適切な権限検証)とCWE-915(権限チェック漏れ)に該当する問題です。つまり、攻撃者はAPIの保護がないため、内部の重要なデータを書き換えられます。
影響を受けると何が困るか
- APIキーやセッションIDが改ざんされ、顧客データやチャット履歴の窃取や改変が可能になる
- チャット履歴(
chatHistory)の書き換えで誤った情報がLLMに伝わり、誤動作・誤解を誘発する - 複数のユーザーの情報が混ざってセキュリティ上のテナント分離が破れる可能性
- LLMフローの制御値(
$flow.*テンプレート変数)を攻撃者が操作し、AgenticなAIエージェントやRAG(Retrieval Augmented Generation)パイプラインを悪用される - AI GatewayやAgentフレームワークを本番投入しているSRE・SecOpsチームの運用を混乱させる
- バイブコーダー開発環境(CopilotやCursorなど)経由でのセッション情報改竄が連鎖的に影響を及ぼす可能性
もっと詳しく調べたい人へ — 公式情報源マップ
本記事は以下の公式・準公式の情報源から内容を集約しています。一次情報を確認したい場合や英語で詳細を読みたい場合は、各リンクから直接アクセスできます。
| カテゴリ | 情報源 | 言語 | 何が分かるか | リンク |
|---|---|---|---|---|
| 総合 | NVD(米国 NIST) | 英 | 米国政府の脆弱性データベース。CVSSスコア、影響を受けるCPE、参考リンクの総合ハブ。最も網羅的。 | 開く |
| 総合 | MITRE CVE | 英 | CVE採番機関の公式記録。CVE記述の「正本」。NVDより記載が簡潔だが一次情報。 | 開く |
| 総合 | JVN iPedia(JPCERT/CC・IPA) | 日 | 日本のCSIRTが運用する脆弱性対策情報データベース。日本語で概要・対策が読める。掲載がない場合あり。 | 開く |
| 総合 | CISA KEV(悪用観測カタログ) | 英 | 米国CISAが実際に悪用を確認している脆弱性のカタログ。掲載されていれば最優先で対応。 | 開く |
| 総合 | GitHub Advisory Database | 英 | OSSパッケージ(npm/pypi/maven/composer/go等)別の脆弱性アドバイザリ。修正PRへのリンクが豊富。 | 開く |
| 総合 | OpenCVE | 英 | 複数CVEデータベースの集約検索サービス。タイムラインや関連CVEの俯瞰に有用。 | 開く |
| Linux | Red Hat CVE | 英 | Red Hat製品(RHEL/CentOS Stream/Rocky/AlmaLinux系)の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| Linux | Ubuntu Security | 英 | Ubuntu の影響評価。各Ubuntuバージョン(22.04/24.04等)でのパッチ提供状況が一目で分かる。 | 開く |
| Linux | Debian Security Tracker | 英 | Debian の影響評価。stable/testing/sid別のパッチ状況。Debian派生ディストリ利用者向け。 | 開く |
| Linux | SUSE CVE | 英 | SUSE Linux Enterprise / openSUSE の影響評価とパッチ状況。 | 開く |
| 悪用 | Exploit Database | 英 | 公開エクスプロイトのアーカイブ。検出ツールやペネトレーションテストでの参照用。 | 開く |
| 悪用 | Packet Storm Security | 英 | セキュリティアドバイザリ・エクスプロイトの集約サイト。古めの情報も含む。 | 開く |
| 悪用 | GitHub PoC 検索 | 英 | GitHubコード検索でCVE IDを直接検索。野良PoCの早期発見に。 | 開く |
| 悪用 | X(Twitter)検索 | 日英 | 直近の議論やニュースを観測。In-the-wild悪用の早期検知に有用。 | 開く |
| スキャナ | Snyk Vulnerability DB | 英 | パッケージ別の脆弱性詳細と修正バージョン。OSS依存ライブラリ追跡に有用。 | 開く |
| スキャナ | Tenable(Nessus) | 英 | Nessusスキャナでの検出プラグイン情報。検出ロジックの参考に。 | 開く |
| スキャナ | Rapid7(Metasploit/Nexpose) | 英 | Metasploit悪用モジュール、Nexposeでの検出情報。 | 開く |
掲載しているのは無料でアクセスできる情報源のみです。CVEによっては掲載がないサイトもあります(特にJVN iPediaは日本国内で報告された脆弱性のみ掲載)。
STEP 2: 急ぎ対応すべきか判断する
結論: 中
判断根拠
- CISA KEVに未登録で、ランサムウェア悪用情報も現在のところありません。
- CVSSスコアは未公開のため正確な深刻度は不明ですが、不適切な権限管理で攻撃可能なため中リスクと判断します。
- 公開PoC、ExploitタグはGitHub Advisory Databaseでの詳細含め現時点で存在しません。
- 認証なしのAPIアクセスで攻撃可能な点から、本番環境での使用者は計画的に早めの対応が望ましいです。
誰が動くべきか
- Flowiseを使っているLLMアプリケーションの開発・運用チーム
- LLM GatewayやAgentフレームワークを本番投入しているSecOps/SREチーム
- バイブコーダー(Cursor、Cline、Copilot等)環境でFlowiseを組み込んでいる開発者
STEP 3: 自分の環境が対象か確認する
影響を受けるバージョン
| 製品 | 脆弱なバージョン範囲 | 修正版 |
|---|---|---|
| flowise (npmパッケージ) | 3.1.2以下 | 3.1.3以上 |
バージョン確認コマンド
Node.js (npm)
npm list flowise
出力例:
project-name@version
└── flowise@3.1.2
判定: flowise@3.1.2以下なら脆弱、3.1.3以上で安全
Node.js (package.json確認)
cat package.json | grep flowise
出力例:
"flowise": "^3.1.1"
判定: バージョン指定が 3.1.2 以下なら脆弱
設定確認
この脆弱性は設定依存ではなく、対象バージョンのFlowiseは認証なしのAPIが脆弱です。したがって設定を変えても脆弱な場合があります。必ずバージョンアップしてください。
Nucleiテンプレートでの検出
公開されたNucleiテンプレートは現時点でありません。バージョン確認で検出してください。
STEP 4: 修正を適用する
パッチ適用
Node.js (npm)
npm install flowise@3.1.3
出力例:
+ flowise@3.1.3
updated 1 package and audited 100 packages in 3s
found 0 vulnerabilities
判定: バージョンが 3.1.3 以上になればパッチ適用済み
注意: アップグレード前に必ずバックアップを取得してください。ステージング環境で動作検証を行い、本番環境のダウンタイム計画を立てることを推奨します。
パッチ即時適用ができない場合の暫定対応
ベンダーによる公式の暫定対応は提示されていません。ネットワークレベルで対象APIへのアクセスを制限するなどの対策を検討してください。
STEP 5: 修正されたことを確認する
STEP 3で確認したバージョン確認コマンドを再度実行してください。
期待される出力
Node.js (npm)
npm list flowise
出力例:
project-name@version
└── flowise@3.1.3
判定: バージョンが 3.1.3 以上ならOK
追加で確認すべきこと
- ログにAPIの不審なPOSTアクセスがないか監視すること
- 利用可能ならば公式検出ツールやGitHub Advisory Databaseのアップデートを定期的に確認すること
補足: 悪用観測状況
本脆弱性に関して、CISA KEVカタログに登録されていません。つまり、現在ランサムウェアなどの悪用は確認されていません。GitHub上でもPoCは公開されておらず、実際の攻撃につながるコードの存在は現時点で報告されていません。
補足: CVSSメトリクス詳細
- AV (攻撃ベクター): 情報なし(通常はネットワーク経由)
- AC (攻撃難易度): 情報なし(ただし認証なしなので低いと思われる)
- PR (権限): 不要(認証が不要)
- UI (ユーザ操作): 不要(攻撃者が直接APIを呼び出せる)
- S (スコープ): 影響範囲はFlowise内部のチャットフロー設定及びセッションデータ
- C (機密性影響): 改ざん・漏洩の可能性あり
- I (完全性影響): データが攻撃者により改ざんされる可能性あり
- A (可用性影響): 直接の可用性影響の記述なし
よくある質問(FAQ)
Q. このCVEに対応するために最低限すべきことは何ですか?
A. STEP 3で自分の環境のFlowiseのバージョンを確認し、STEP 4で3.1.3以上へアップデートしてください。最後にSTEP 5で修正を確認することが重要です。
Q. パッチが適用できない場合、どうすればよいですか?
A. 公式の暫定対応はありませんが、APIへの不正アクセスを防ぐためネットワーク制限を設定してください。可能ならば対象APIを一時的に無効化することも検討してください。
Q. 既に攻撃を受けているか確認する方法はありますか?
A. APIサーバのログを確認し、認証なしのPOST /api/v1/prediction/:idへのアクセスが不自然に多い場合は調査してください。GitHub Advisory Databaseの情報も注視してください。
Q. なぜEPSSスコアが重要なのですか?
A. CVSSは理論的な脆弱性の危険度を示しますが、EPSS(Exploit Prediction Scoring System)は実際に悪用される確率を示します。両者を組み合わせると優先度を正確に判断できます。
Q. このCVEと類似の脆弱性は他にもありますか?
A. CWE-639(不適切な権限検証)、CWE-915(権限チェック漏れ)に該当する脆弱性は複数存在します。類似のAPI認証バイパス問題に注意してください。
参考文献
- NVD: CVE-2026-69258
- GitHub Advisory Database GHSA-6vh2-wg4h-4vwj
- Flowise 3.1.3 リリースノート
- Flowise 修正PR #6279
- Flowise 修正コミット
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2026-08-05 追記
本記事の公開後、以下の重要な変化が確認されました(公開からの経過: 0日)。
| 項目 | 公開時点 | 2026-08-05時点 | 変化の意味 |
|---|---|---|---|
| タイトルプレフィックス未付与 | (プレフィックスなし) | 【高】 | 公開時はタイトルに危険度プレフィックスが付いていない。最新状況では付与が妥当(記事生成時の凡ミス補正) |
タイトルプレフィックス未付与
公開時点では本記事のタイトルにCVSSベースの危険度を示す「【高】」プレフィックスが付与されていませんでしたが、現在は「【高】」が正しく追加されています。この修正は、記事閲覧者が一目で脆弱性の重大度を理解しやすくし、組織での優先順位判断に役立つものです。CVSS 8.8(v4.0)の重大度は、既に普段より高い水準に位置付けられますので、運用担当者やSRE、情報システム部門の方は「通常メンテナンス」レベルではなく、計画的かつ早めの対応を検討してください。
タイトルのプレフィックスは、重大度の見落としを防ぐ上で非常に重要です。本日の修正によって、今後Flowise関連のアップデートをチェックしている担当者が本インシデントのリスクに迅速に気付けるため、パッチ適用漏れの防止や情報共有にもつながります。変更内容の確認やワークフローの再点検を推奨します。
